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アイドル・シティポップ・アルバム(1987-2001) 聴いて損はないBEST17

まずはおめでとう。――皆様、盛大な拍手を!
菊池桃子氏、ラ・ムー時代を含む全楽曲、サブスクリプション解禁ですっ!

(……て、我ながら、いったい「どこから目線」で、そして誰に対して、
この祝辞を勝手に述べているのか、皆目見当がつかない。笑)

いや、もう多くの人が着目しているところだが、
このサブスク、ちゃんと「ラ・ムー」時代の楽曲を含めている所に
心からお祝い申し上げたいです。(笑)

思い起こすに、ラ・ムー結成の88年当時、私はまあ既に桃子ファンだったわけでもあるから、圧倒的に「好意的目線」を桃子のバンド活動に対しては送っていたわけですよ。
しかし、当時の世間の評価としては、ラ・ムーに対していささか懐疑的な――「何始めてんの?」「桃子陣営も血迷ったか…」的な?――目線を向けており。
で、あるからして、
当時中学生だった私なんぞは「桃子の新バンド、ラ・ムー、なかなかいいよね?」とか「聴いた?新曲」とか、クラスで話すことも憚られたのである。
――というか、いやまあ当時は「アイドルPOPS好き」であることそのものを何故か割と隠しがちだったので、その他のアイドルの作品についても、そもそもあんまり学校で話すことはなかったかも?でしたが。
……そうか。
なるほど、その、溜まりに溜まった「フラストレーション」を、今こうして、ネット上で次々と、解消炸裂させているわけか。(いい迷惑。笑)

ま、そんなこんなの、現在2021年。
……よかったよ~、今の人々の耳が肥えていて。
桃子さん自身も、まさか今頃になって、ラ・ムー時代の楽曲やアイドル期のアルバムがあらためて評価されるなんて、思ってもみなかったのではないでしょうか?


と、いうわけで、
この流れもまた「ジャパニーズ・シティ・ポップ」再評価の影響も多少あるのでは?というところから、今回の記事の話題へ入っていきたいと思うわけですけど。

今回の記事、あえて87年~2000年としたのは何故かと言いますと。

まず一つに。
86年頃までは、(以下敬称略)松田聖子はじめ、岩崎良美、薬師丸ひろ子、原田知世、菊池桃子、といった方々のアルバムって、「シティポップ御用達作家の皆様」が制作フル参加しているものが結構たくさんあるんですよね。聖子の成功例を受けて、(当時で言うところの)「ニューミュージック」の世界を、そのままアイドルのアルバムに「トレース」しよう、みたいな意識的試みもまた、とても盛んにおこなわれていた時期なわけです。シティポップオールスター、どなたかがどなたかのアルバム制作に関わっている、みたいな。
だから逆にその頃のものだとたくさんあり過ぎて、また、今現在の音楽雑誌のシティポップ特集などでも既に取り上げられていることも多すぎて、正直、その中で「今更」どれを自分がピックアップしたらいいのか、自分がピックアップする意味があるのか??と…。

あと、もう一つの理由は、
こちらの以前の記事で、自らこんなことを書いてしまったからなんです。

さて、ここまで、81年~86年リリースの楽曲を聴いてきていただいたのですが。
ここを過ぎたあたりから、リアルタイムの時系列的には何となく、私の中での「シティ・ポップ」を一度見失うような、手離していくような、感覚があるんですよねえ。

そう、楽曲単位では、(なのでそうなると「流行歌」という観点からも、)87年以降、「シティ・ポップ」的な空気は、「同時代的メインストリーム」としてバブル期のテレビやラジオの媒体から消えてしまった、少なくとも自分の耳に入ってきにくくなった、というのは正直な印象としてあるにはあるのである。

が、しかし、
アルバム単位だったら、どうだっただろう?と。
自分が80年末から90年代にかけて、「これはいいぞ!」と思ったアルバムは、結構「シティ・ポップ」的な音の傾向なり空気感なりが、溢れてはいなかっただろうか?と。
また、80年代前半までの音と、87年辺り以降の音って、ちょっとした「段差」があるように感じられて。(自分は「以前」も「以後」もどちらも大好きなのだが。)もしかすると、今の人の耳には、87年以降の音の方は「懐古趣味的」な要素を感じる部分ってあまりないんじゃないかなあ、と。つまり、その「段差」とは、今現在の音とそんなに違わなく感じられるか、「懐かしい音」と感じられるかのその「段差」でありまして。(自分が「懐古趣味ど真ん中人間」なもので、そこら辺はもう歳が10年違う世代の耳の感覚はわからないといいますか、つまるところ個人の感覚の話にすぎなくなってしまうのですが。笑)

なので。
今回は、「87年以降」の音に統一して、
且つ「アルバム単位」で、
「アイドル・シティ・ポップ」を追ってみようかと思います。

言うなればただの「個人的アルバムベスト17」なんですけど。
(でも、名盤ばかりです、自信あります!!

前回記事の反省から、今回は、(1曲を除いて)歌番組ではなく、CD音源からに統一して作品紹介をしております。なので、(静止画も多いし、)記事を読みながら聴いていただくのもいいかと!

では、いってみましょう!!




『GARDEN』原田知世/1992年8月21日リリース

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1.都会の行き先(作詞・曲/原田知世)
2.さよならを言いに(作詞・曲/鈴木慶一)
3.アバルトマン(作詞・曲/鈴木さえ子)
4.Walking(作詞・曲/大貫妙子)
5.Nocturne(作詞・曲/原田知世)
6.中庭で(作詞・曲/北田かおる)
7.リボン(作詞/北田かおる 作曲/鈴木慶一)
8.夢迷賦(作詞/原田知世 作曲/崎谷健次郎)
9.ノア(作詞/鈴木博文 作曲/鈴木慶一)
10.夢の砦(作詞/直枝政太郎 作曲/鈴木慶一)
11.早春物語(作詞/康珍化 作曲/中崎英也)
※中西俊博編曲の新録ストリングスバージョン

今度は逆に「これは原田知世の作品ではない」と思ってまず聴いてみていただきたいくらいである。「先入観」は持たないで、と。
ホント、特に80年代末~90年代前半、私達の耳は「大事なもの」をことごとく聞き逃しているね~、と思う。(なんでこのアルバム、もっと話題にならなかったんだろう??と。)
ムーンライダースの鈴木慶一氏プロデュースではあるのだが、アルバムブックレット内で鈴木氏自身が述べているように、これは元々、原田氏が鈴木氏の元に持ち込んだ「音源」から制作がスタートした作品であるからして、(「編曲:原田知世」となっている作品も見受けられるし、)相当な「主体性」を持って、知世氏自身も、この作品には臨んでおられるのではないかと。

それにしても、この1曲目「都会の行き先」(編曲:原田知世)は、先の記事で「夏のシティ・ポップ」として紹介すべきだった!!

「時をかける少女」から既にファンになっていた私(当時小学4年)であったが、このアルバムを聴いた時は、「ああ、10年間、やはり知世を聴き続けていてよかった~」と思ったものだ。いや、どう聴いても、ますます本気の音楽制作の成果だったからである。
そして何の気なしに当たり前のように「原田知世作品」を聴き続けて、早38年、である。――38年、だよ?(クドい。笑)
そしてこれからも、知世氏の作品は聴き続けるつもりだ。――何故なら、これまでどの作品にも「ガッカリ」というのがなかったからだよ。(ファンでも、つまらない作品を出し始めると、私は途端に聴かなくなる、割と「薄情な」タイプです。笑)
特に伊藤ゴロー氏とタッグを組んでいるここのところの数作が、ホントにこれまた良いのですよ。――いや~、ホント知世ファンで良かった。小学生の頃の俺、先見の明、あり過ぎだわ!(笑)



『Thanks Giving』ラ・ムー 1988年9月14日リリース

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1 Rainy Night Lady (作詞:田口俊 作曲:和泉常寛  編曲:新川博)
2 Carnaval (作詞:田口俊  作曲:松浦義和  編曲:松浦義和)
3 夏と秋のGood-Luck (作詞:麻生圭子  作曲:新川博  編曲:新川博)
4 Two Years After (作詞:売野雅勇  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)
5 少年は天使を殺す (作詞:売野雅勇  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)
6 One And Only (作詞:麻生圭子  作曲:杉山清貴  編曲:新川博)
7 TOKYO野蛮人 (作詞:康珍化  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)
8 片思い同盟 (作詞:田口俊  作曲:新川博  編曲:新川博)
9 Late Night Heartache (作詞:売野雅勇  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)
10 Love Talk (作詞:菊池桃子・藤田浩一  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)

わかってますって、時代のほうが、ずーっと、ラ・ムーが「来る」のを待っていたんでしょ?(待・た・せ・す・ぎ・だ・ゾ!)
……と、いうわけで(笑)、改めまして、
ラ・ムーとしては、唯一のアルバムのご紹介である。

いや、むしろ、アルバム1枚、シングル4枚だけしか残さなかったからこそ、「おー、現在の耳で聴いても、ラ・ムーの楽曲ってなかなかいいよね?」のクオリティーを保てたのかもよ?と、私は見てしまったりもするが。

また、ラ・ムー楽曲は15曲しか存在しないので、「アナログ化コンプリート」も、2枚組にすれば容易だ。
当時、ラ・ムーの作品のジャケットって、シングルもアルバムも、何故か桃子氏本人の写真を使わず、静物や風景のイラストか写真ばかりを使用していたのだよなー。
この機会に「ラ・ムー時代の桃子氏のポートレート」(1枚くらいはあるでしょう?)を使用してジャケットを新たに作り、「コンプリート・ラ・ムー」アナログ化してはどうでしょうかね?(なんてね。)

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※既に『Thanks Giving』は再アナログ化されていたりする。

てか、あれ?89年だから、ギリギリ最終シングル「青山killer物語」も、当時のEPが存在するのか~。(何だか高値になっていそうで、検索はしたくない。見たくない。……だってこれ、EPは持ってないんだもん。笑)
B面の「オリエンタル・プレイボーイ」も入っているこちらの音源でお楽しみください。

「青山killer物語」
(作詞:売野雅勇  作曲:和泉常寛  編曲:新川博)

「オリエンタル・プレイボーイ」
(作詞:田口俊  作曲:松浦義和  編曲:松浦義和)




『cure』中谷美紀 1997年9月26日リリース

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こちらは2ndAL。
1stの『食物連鎖』と、どちらを取り上げようか迷ったのですが、考えてみると『食物連鎖』の方は、先のシティポップ記事で取り上げていたので、今回はこちらに。(2枚とも坂本龍一教授が本気を出しまくっているとしか思えない名アルバムです。)
特にこのアルバムの、「いばらの冠」から始まって「天国より野蛮」「砂の果実」「水族館の夜」と続く流れが大好き、最高です

その中から、今回はこの曲を。

「天国より野蛮-WILDER THAN HEAVEN-」
(作詞:売野雅勇/作曲・編曲:坂本龍一)





『人喰い』Ogawa(小川範子) 2000年07月20日リリース

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『ホオズキ』Ogawa(小川範子) 2001年10月7日リリース

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で、小川範子さんが、作詞に青井紅茶氏、作曲にヲノサトル氏を迎えて制作したこのインディーズ時代の2作も、騙されたと思って兎に角聴いてみて欲しい。
詞まで読んで欲しい。まるで「聴く文芸作品」。
こういう「どぎつい」更に言えば「卑陋」ともとられかねない詞の内容を、ちゃんと「POPS作品」として「パッケージ」できたのは、やはり小川範子氏の表現力・演者力によるところが大きい。「シンプルに上手い」というだけではないのだ。
フィクションをちゃんと「フィクションという枠の中でお楽しみください」に収め、その上できちんと「本当に楽しませる」のって、技量がいると思う。(特に今の時代はね。)


「湿地帯と金魚」(作詞:蒼井紅茶/作曲・編曲:ヲノサトル)


「書斎」(CHAMBER MIX)
(作詞:蒼井紅茶/作曲:ヲノサトル/編曲:渋谷慶一郎)




『Sabrina』高岡早紀 1989年6月21日リリース

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いやー、高岡早紀氏のアルバム、選ぶの迷いましたね~。全作、クオリティーが高いもの。
でも、紹介するなら、やはり1stかな?と。
1stから3rdまでは、加藤和彦氏のプロデュース。加藤和彦氏は、元々様々な歌手への提供作品は多いお方ですが、編曲まで手掛けたものとなると、その数は限られてくる。
編曲まで手掛けている作品については、聴いていて何というか、加藤氏の「熱量」が、直に伝わってくる。
やっぱり制作魂に火をつける「歌姫」の存在って、大きいよなあ、としみじみ思う。作り手に、「これで作品を作りたい!」と強烈に思わせる「素材」って大事。アイドル作品については、その熱量で作品が決まると言ってもいいかもしれませんよね。

2ndから4thまでと比べても、この1stアルバムは割と「幕ノ内」で、色々なタイプの曲が入っている、バラエティに富んだ内容。

その中で、皆様に耳馴染みなのは、やはりシングルカットされて「マドラス」のCMソングにもなったこちらかと。
(CM2本目「眠れぬ森の美女」、3本目「悲しみよこんにちは」。)
(※CM1本目のデビュー曲「真夜中のサブリナ」は、何故かアルバム未収録なのです。)


で、収録曲の中で、1番「シティ・ポップ」感が強いのが、アルバム1曲目のこの曲ではないかと。

「野蛮な憂鬱」(作詞:森雪之丞 作曲:清水信之 編曲:清水信之)




『CRUISE』中森明菜 1989年7月25日リリース

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「明菜のこの名アルバムが、何でこんな中途半端な位置にあるのだ?」
と、思われる方が多数いるのは重々承知でございます。
が、しかし、これは「シティ・ポップ」に入れられるかなあ??と、ちょっと迷う内容ですよね。――その点は、アルバムを実際に聴いている方々なら、御納得いただけるものかと。

シングルA面で言うと85年の「SOLITUDE」あたりから、
86年「Fin」、87年「Blonde」、88年「I MISSED "THE SHOCK"」と、
「え、この曲、A面でいってみるの?」という曲は、割と「シティ・ポップ」感が強めのものが多かった気もする。
B面にもまた、これぞシティポップ!と言える作品は多数あって、「ロンリー・ジャーニー」「危ないMON AMOUR」「清教徒(アーミッシュ)」「小悪魔(ル・プアゾン)」「BILITIS」と、どの曲も都会的でカッコいい。(A面候補として競った曲もあるだろう。)
特に80年代後半の明菜さんは、こうした「都会的」な、洗練された空気感を纏った楽曲を、自らのアーティストカラーとして前面に押し出して、好んで取り上げ歌っていたと思うし、それが事実とても合っていたと思う。
但し、明菜氏が作品を更に突き詰めていくと、やはりどこか「軽さ」は消えていき、「重さ」「深さ」が残る、というところが、80年代から90年代にはあって。そんな「80年代明菜」の帰結点として私は「CRUISE」というアルバムを捉えている。
「明菜だから作れたアルバム」であることに間違いないし、それだからこそ、やはり「濃い」んだよなあ。作品として「逃げ場なく自らを追い詰める、張りつめていく空気」を感じるのだ。

が、後々もこのアルバムからの曲を歌ってくれる、つまり表現者としてこのアルバムを「スルー」しないでいてくれる、そんな明菜氏のことを、私は信じざるを得ない。これからもついていきたいし、新作アルバムくらい別にいくらでも待てます。(ホントに。もうここからは自由に、マイペースにやって欲しいです。)

「雨が降ってた…」(作詞:岩里祐穂  作曲:上田知華  編曲:若草恵)


「乱火」 (作詞:大津あきら 作曲:鈴木キサブロー 編曲:馬飼野康二)


さて、この記事内で唯一の歌番組からの動画です。
――うん、やはり明菜の生パフォーマンスは、安心して出せる。(笑)
ただ、この曲の時って、1回1回、歌に対する「感情移入」がそれぞれ結構バラけていて、そこも興味深いのであります。
複数のパフォーマンスを編集で1曲に繋げた映像です。

「LIAR」(作詞:白峰美津子  作曲:和泉一弥  編曲:西平彰)




『EVERGREEN』渡辺満里奈 1987年9月2日リリース

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全曲が山川恵津子氏編曲の名盤。
80年代当時のアイドルファンから反感をかわない程度に、程よく「シティ・ポップ」に仕上がっているのは、実に見事だと思います。
「キャンパス・ポップ」なんて言葉もまた、当時まだ生きていたでしょうか?
「都内の大学の付属高校に通う乙女のちょっと背伸びした夏休みとその夏休み明け」みたいなコンセプトかな?(と、私が勝手に考えた。笑)というところで、満里奈さんの持つ雰囲気とも相まって、というか、更に引き立たせて、アルバム通してつい聴きたくなるまとまりでありますね。
ホント、満里奈さんも作品に恵まれている(引き寄せる)お方ですよね。

「恋の日付変更線」(作詞:沢ちひろ 作曲・編曲: 山川恵津子)



満里奈氏のボーカル、声質自体は気持ちの良いアルトボイスなのだが、如何せん、歌唱自体はこの2nd時点ではやや「粗削り」かな?と。

……で、あるけれども。

2年後の90年末にリリースしたこちらのベストアルバム収録バージョンの「EVERGREEN」や、その他(AL『EVERGREEN』収録曲ではないが同じく87年リリースの)「ちいさなBreakin’ my heart」「ノーマル」等も、 歌い直した作品は、数段、ボーカルが良くなっていると思う。

『FUNNY FACE』1990年11月18日リリース

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そんな『FUNNY FACE』版の
「EVERGREEN」(作詞:川村真澄 作曲・編曲: 山川恵津子)





『Dé eaya』中山美穂 1991年3月15日

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恋の呪文は『いいわ いいわ ダメね』(帯文)。

繰り返しますが、プロデュースする人間の思い入れが強まれば強まるほど、その「熱情」って、作品にも反映されるものですよね~。
(逆に「解熱していく」過程で制作された作品もまた、見事に「その逆の意味で」――まあ、その「冷めていく様子が」、作品に反映されてしまうもののようで、それもまた、「観察として」面白いっちゃあ、面白いですが。)
このアルバムで井上ヨシマサ氏、かなり良いお仕事をされています。
シングルカットされた曲はありませんが、(時期的にはアルバム未収録シングル「Rosa」の頃ですね)中山さんのアルバムの中では、私、これが一番好きかもしれません。

え、1991年で、まだカセットも併売していたの?画像
(さすが老舗キングレコード。……って、そこ?笑)

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その上、この曲、アルバム曲なのにPVが存在するの?
…と、思ったら、ドラマの映像を、(多分)動画作成者の方が繋いだものでした。(笑)
お洒落な曲をよりお洒落にしてしまう、おまけにただのドラマ映像までPVのごとくお洒落に繋いでしまう、そんな中山美穂という、その佇まいと存在について。

「Flash Back」(作詞: 中山美穂、作曲: 上田知華、編曲: 井上日徳・ATOM)




『クレッセント』吉田真里子 1991年1月21日

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自主レーベルを立ち上げるインディーズ前、ソニー時代最後のオリジナルアルバム。(ボーナストラックとしてLIVE版の「Roman」は収録されていたが)シングル未収録、もはや「シングル主体のアイドルとして」ではなく、「アルバムアーティストとして」、音楽活動をされていた頃である。
月イチで「ハートフルギャラリー」というライブを行ったりもしていた。
シティ・ポップ感だけを追求するならインディーズ時代の『匿名希望』や『Miss Holiday』を上げても良かったかもしれないが、この『クレッセント』というアルバムは、吉田真里子氏の声の良さを「客観的に」とらえて引き出している気がしたので、こちらを選びました。
「困らせたままでごめんね」「草原の月」「樹を抱く」等々、名曲揃いのアルバムの中で、今回はこの曲を。
地味だけど、改めて聴くといい曲です。――結構せつない。

「永遠の20cm」(作詞:芹沢類 作曲:上杉洋史 編曲:上杉洋史)









『âge』斉藤由貴 1989年4月21日リリース

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時期的にはシングル「夢の中へ」の頃のアルバム。(だが「夢の中へ」はこのアルバムには未収録。)デビュー以来、一貫してアレンジを担当していた武部聡志氏からバトンタッチ、このアルバムは、全アレンジ&プロデュースを崎谷健次郎氏が担当している。
以前のシティポップ記事で「斉藤由貴はあまりシティポップのイメージがない」と書いたのだが、この「折り返し地点」アルバムだけは、ちょっと斉藤作品の中で異色な印象というか(「珍しく」斉藤由貴作詞の曲が一曲しかないアルバムなのだ。)、私の個人的印象としては「寄り道」作品のイメージなのである。
この後のオリジナルアルバム三作が再び、「更なる斉藤由貴100%(つまり濃縮して150%くらい?笑)」な世界に戻っていくので、この作品だけ「浮いている」分、――そのせいなのかは何とも言い切れぬが、結構「シティ・ポップ」な、無機的な浮遊感がある気はする。

「斉藤由貴的なアルバムはあまり好きじゃない」人は、このアルバムから斉藤由貴を聴いてみるといいのでは?と思うアルバムですね。(どういう薦め方なんだ??笑)

「N’oublie pas Mai (5月を忘れないで)」
(作詞: 谷山浩子  作曲・編曲: 崎谷健次郎)




「DOLL HOUSE」(作詞: 谷山浩子  作曲・編曲: 崎谷健次郎)





『流行歌手』荻野目洋子 1992年6月3日リリース

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強力なタイアップが次々ついたこともあって、90年代に入って久々に大ヒットし荻野目ちゃんの存在感を改めて示したアルバムである。
次作の『NUDIST』も同じく月光恵亮氏プロデュースだが、「POP」感があるのは、こちらかなあ、と。POPS=popular song=流行歌ともなるしね。

荻野目さんの今回のボーカルはクールで無機質でシャープ。
銀座ジュエリーマキ「カメリアダイアモンド」TV-CFイメージソングなので
この曲は、憶えている方も多いでしょう。

「STEAL YOUR LOVE」(作詞:みかみ麗緒 作曲:広瀬さとし 編曲:須貝幸生、神長弘一、井上龍仁)




『ジィンジャー』安田成美 1988年3月25日

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安田さんの1stAL『安田成美』については、高橋幸宏氏に絡めて先日の「アイドル・シティポップ」記事で触れてしまったので、今回はこちらを取り上げてみようかと。

なんとこのアルバム、87年にして「大貫妙子初プロデュースアルバム」とのこと。――それまで、(「提供曲」はたくさんあるにも関わらず、)他アーティストのプロデュースは、大貫さん、されていなかったんですね。意外でした。

私は元々安田成美さんの声はすごく好きなので、このアルバムは、アリ寄りのアリなのだよな~。特にこの2ndは、「拙さ」は消えて「あえてこう歌ってみました」にはなっていると思う。いや、何というか、よくありがちな話だけど、歌声というか歌い方の中に、どこか「大貫妙子」が乗り移っているぞ?と。(大貫妙子さんの声はもしかするとボーカリストの中で一番好きかも?な私である。笑)

「パパを愛したように」
(作詞:かしぶち哲郎  作曲:かしぶち哲郎  編曲:大村憲司)

とりあえず、聴いてみて、皆様各々でご判断くだされ。
悪くないと思うんですけどね~?



『Kiss』三浦理恵子 1996年3月25日リリース

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三浦さんの声のその魅力には、とり憑かれた方もこれまで多くいらっしゃったかと思うのです。
で、その「キャットボイス」はそのままに、――でも、もしかすると、このアルバムで「印象」は変わるかも?という気もします。
ポニーキャニオン時代は、「古典的アイドル」楽曲を一手に引き受けていたかのような三浦さんでしたが、移籍してEast Westからリリースした作品は割と「ナチュラル」を前面に出そうとしている感じが見受けられます。もちろん、その発声も然り。
このアルバム後のシングル作品、「French Kiss」、元旦那であるダイヤモンド・ユカイ氏作品「アリガト」等々も、East West時代の作品はなかなかお洒落で良質なPOPSが多い。もう一枚くらいアルバム作ったらよかったのに、フルアルバムがこの1枚だけなのはもったいない、と思う。

これもまた、「(言葉の)百聞は、(音の)一聴に如かず」ということで、
(私が勝手に作った「音楽用語」です。笑)この曲をぜひ聴いてみてください。

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ジャケ写からして、これまでと一味違う三浦さん。

「幸せな日々」(作詞:横山武  作曲:山口美央子  編曲:遠山淳)


生歌版は、こんな感じ。(LIVE映像から)





『I LOVE YOU > YOU DO』島田奈美 1990年4月1日

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このアルバムが、ラストオリジナルアルバムとなった。
この年の7月末で芸能界を引退され、以降は音楽ライターとして活躍されているようだ。
歌手活動は4年と少し――と、「思っていたより短い」という個人的印象。
引退理由は「自分が思っていた通りのアルバムが作れて思い残すことがないから」と御本人が述べている。
「島田奈美ファン」を置いてけぼりにして、音楽ファンである島田氏自身が音作りの面でどんどん進化してしまった感は否めないが、でも今の耳と感覚でこうしてラストアルバムを聴いてみると、「置いてけぼりになったほうが完全に悪い」と、奈美びいき丸出しで(笑)思ってしまう私である。
いや、だって、デビューして4年、そして時は1990年だったのだから。「86年当時のアイドル島田奈美」のままでずっと作品制作を、というのも、土台無理な話ではないか。
そして、なかなかいいラストアルバムであると私は思う。ボーカルの拙さは最後まであったものの、ダンスミュージックとして聴くのであれば、別にそこも違和感は私はないかなあ、と。
「I DON’T MIND」「Bad Girl」等々、素敵なダンスナンバーが並ぶ中で、やはり紹介するのは(なんとPVもあったし!)シングルカットされたこの曲かな?と。

「もっと…ずっと…I LOVE YOU」
(作詞:島田奈央子
(島田奈美)/作曲:杉山洋介/編曲:杉山洋介)

てか、この曲もまた、アナログ化されていつの間にか再発されとる…。
(90年の作品なので、当時はCDでしかリリースされていなかったはず…。)




『月夜にGOOD LUCK』岩崎良美 1989年9月21日リリース

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岩崎良美さんのアルバムは、良作が多いのでありますが、あえて80年代末、唯一CBSソニーからリリースされたこのアルバムを取り上げました。
クリストファー・カレル、ボビー・ワトソンといった面々が制作に加わっているが、不思議と、このアルバムに関しては、八神純子氏等の日本人作家の作品の方が、良い気がする。

中でも特に、シングルカットされた「硝子のカーニバル」は出色の出来映えだと私は思う。
実は、前記事の「夏のアイドルシティポップ集」で、岩崎良美さんについてはこの曲を紹介しようか、ギリギリまで迷っていたのです。ただ、生歌唱映像が、見つからなかったんですよねえ。(前記事、80年代はすべて「生歌歌唱映像」で紹介しようという意図で書いていたもので。)


「硝子のカーニバル」(作詞:横山武  作曲:都志見隆  編曲:中村哲)





『水の精』裕木奈江 1994年11月2日リリース

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1. 月夜のドルフィン
        (作詞:松本隆 作曲:松浦雅也 編曲:窪田晴男)
2. 宵待ち雪
        (作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣,コシミハル)
3. 恋人たちの水平線
        (作詞:松本隆 作曲:鈴木茂 編曲:鈴木茂)
4. めかくし
        (作詞:松本隆 作曲:楠瀬誠志郎 編曲:鈴木茂)
5. 空気みたいに愛してる
        (作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:大村雅朗)
6. 鏡の中の私
        (作詞:松本隆 作曲:楠瀬誠志郎 編曲:鈴木茂)
7. すっぴん
        (作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗)
8. サーブ・アンド・ボレー
        (作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗)
9. 時空の舞姫
        (作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣)
10. 風の音
        (作詞:松本隆 作曲:矢野顕子 編曲:井上鑑)

94年にして、松本隆氏フルプロデュースの(90年代に入ってからだから稀有ですよね)、なんともまあ完成度の高い作品。――期待は、全く裏切られない。
特にこの曲とこの曲がおすすめで~す、……と、言いたいところなのだが、これはアルバム全編通して、詞を読みながら、聴いてほしい。
水のごとく、風のごとく、流れるようなアルバムです。

女優のイメージが強い裕木さんですけれども、7枚のアルバムをリリースされていて、どれも「裕木奈江だからこそ」表現できた世界観――の割に、一作一作、結構色が違う。
最近、youtubeなどで、裕木さんご自身が、フォロワーの質問に答えるラジオコーナーのようなものを偶に不定期にやっていらっしゃって、で、特に裕木さんの音楽活動のほうに興味があった私は、以下のような質問を送ってみたことがあった。「ご自身のこれまでの音楽作品の再編集盤を出すとしたら、どのような内容を希望されますか?」と。で、その問いに対する裕木さんの答えは(記憶を頼りに意訳)「編集はしたくない。アルバムという作品を崩したくない。」というものだった。そして「自分の音楽活動は、実に幸運に恵まれ、作家陣には特に恵まれていたと思う。」というようなこともおっしゃっていた。――まあ、しかしそれについては、「素材に、才能達が引き寄せられた」の典型だったと思うのだ。つまり「運」というより「必然」。松本隆氏も、90年代前半は活発には創作活動をされていなかった時期だし(と、ご自身でもおっしゃっていた記憶が)、なので「書きたい」と思う「素材」でなければ、プロデュースを買って出るなんてこともなかったのではないかなあ??……と、ここの辺りは完全に個人の推測の域を出ませんけれど。
もう1作くらいは、松本隆プロデュースの裕木奈江アルバム作品、聴きたかった気もします。それが無理なら、――裕木さんのベストアルバムに「はっぴいえんど」のカバー曲(ご自身のライブから収録されたもの)が収録されており、そのバンド編成の音でのカバーがとてもよかったので、「はっぴいえんど」カバーで1枚、とか作ってもらっても、すごーくよかったかもなあ??なんて私は思う次第。
いやー、裕木さんって、(ご自身も多分リアルタイムではあまり記憶がない世代かと思うのだが、)70年代前半のあの時代の空気感を纏っても違和感がないのが面白い。「時代の空気感すら自由自在」なお方の歌の世界、特にアルバム単位で、もっと聴きたかった気もします。(7作も既にあるけれども、更にもっと聴きたいと思ったということです。)


『LUNARE』和久井映見 1991年7月25日リリース

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さて1st、2ndと、どちらにしようか迷ったのですが、ボーカルがグンと安定してきた感も良いので、こちらの2ndをご紹介。
あまり知られてない?いや、知られている?どちらかわかりませんが、90年から97年の間に、8枚のオリジナルアルバムをリリースしている和久井氏。長きに渡る活動期間もさることながら、定期的にシングルもリリースして結果13作あるし、女優業の「大活躍」で目立たないが、音楽活動も作品リリースについては活発に行われていたのでありました。
アルバム曲では「情熱」などが、和久井氏の声のトーンを活かしていて良い。「さらさらの雪」が舞う様子が、ちゃんと「聴こえてくる」。
そして、このアルバムならやはり、シングルカットされたこの曲を紹介しようかと。

「アキラが可哀想」(作詞:康珍化 / 作曲:小倉博和 / 編曲:門倉聡)


と、いいつつ、やはりこちらもいいのであります
1stAL『FLORA』 1990年7月21日リリース

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紹介してしまうって言うね、結局ね。(笑)

デビュー曲。
「マイ・ロンリィ・グッバイ・クラブ」
(作詞:康珍化 / 作曲:亀井登志夫 / 編曲:門倉聡)



スミマセーン、また詰め込み過ぎてしまった。
(当初は「ベスト10」にするつもりだったのに、「ベスト17」まで膨らんでしまった。笑)

(特に「ここ」まで今読んでくださっている、そこの貴方様!)
(また、いつもいつも読んでくださる皆様、本当に、)
ホント~~に、
読んでくださって、どうもありがとうございました!

(次回はもう少々短くするようにいたしますので!!笑)