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アブソリュート・チェアーズ(愛知県美術館)

美術館で、椅子の展覧会。
そう聞いてどんなのが浮かびますか。
行く前の私は勝手にこんなのイメージしてました。

そう、富山県美術館の常設展が浮かんだんですよね。
凛として並ぶデザイン性の高い椅子たち。
これはこれで大好きなんだけど、この椅子たちには座ることはできません(床に展示されているものは、一部座れたような記憶。ちょっと曖昧)。

愛知県美の展示もそういう雰囲気かなーと思いながらゴー。
まず入口から「これは一味違うかもしれん!」と思わせる。

かっこいい!

これ見た時しびれました。
めちゃくちゃかっこよくないですか。
今回の展示は奥の方からスタート(よく常設展で使われてる方の展示室が、今回は企画展の入り口)。
通路を進むと、いきなりこんなものが。

しかもキャプションを確認すると、座っていいよ!みたいなマークがついている。
え、どこに?
正解は1枚目の白い部分にお尻を乗せて座る。
不思議な感覚でした、これ。
入口から度肝を抜いてきたのは「副産物産店」の作品で、この先の展示室にも何回も現れては「座れるよ!」マークがついています。
見た目も座り心地も全然違う作品が次々出てくるので、ぜひとも座ってお気に入りを見つけましょう。

全部、椅子!

さていよいよ展示室へ。
写真NGの作品も多々ありますが、またもや早速座れます。

岡本太郎「坐ることを拒否する椅子」

↑この色は座るのNGですが、近くにある青(紺に近い)とオレンジには座れます!
どれもその名の通り、一瞬座ることを怯みますが遠慮せず腰かけてみる。
東京の岡本太郎記念館で、この椅子に座りながら弓指寛治さんとお話しした夏を思い出す。その時、弓指さんにこの椅子は「坐ることを拒否する椅子」なんだと教えていただいたんだった。

更にポスターにも使われているこちら。

ジム・ランビー「トレイン イン ヴェイン」

椅子の機能を失う代わりにアートとして生まれ変わった作品。
あちこちに光るハンドバッグも存在感高し。

写真は不可だったけど、高松市美術館で見た草間彌生の金色の椅子や、滋賀県立美術館のアンディ・ウォーホル「電気椅子」もまとめて観られて「久しぶりだねぇ…」という気持ちに。他の美術館の作品と再会できるのも、企画展の楽しさのひとつ。

名和晃平のpixCellシリーズ
ポスターにも使われていた宮永愛子作品

それにしても。
「椅子」という言葉からは想像がつかないほど、数多の表現を見せられた。
生活とともにある椅子。
アートとして輝く椅子。
生きにくさを可視化する椅子。
老いに希望を感じさせる椅子。
権力を見せつける椅子。
差別感を浮き彫りにする椅子。
安心して身を委ねられる椅子。
失った人の不在を刻む椅子。
家族の団欒を象徴する椅子。
大切な人と向き合うための椅子。

観る人それぞれに「マイベストオブ椅子」が見つかるはず。
そういえば埼玉県立近代美術館にも、座れる個性的な椅子がたくさんあったなぁ…と思い出してたら、この展覧会は埼玉でも開催されていたのでした。

個人的には、前回の「コスチュームジュエリー」展の20倍くらい好きな展覧会。
全て終わったと思いきや、幕の向こうで観られる映像作品とその空間にも驚かされるので!プラスキューブもぜひ立ち寄ってみてくださいね。
これは会期中、おかわりしにいくぞ!

[会期]
2024年7月18日(木)―9月23日(月・振休)
[会場]
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
[開館時間]
10:00-18:00、金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
[休館日]
毎週月曜日(ただし8月12日[月・振休]、9月16日[月・祝]、9月23日[月・振休]は開館)、8月13日(火)、9月17日(火)
[観覧料]
⼀般1,500円
⾼校・⼤学⽣1,300円
中学⽣以下無料

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