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Bリーグ2023-24シーズン第32節バンビシャス奈良対愛媛オレンジバイキングスの個人的な試合展望

長かったリーグ戦もいよいよ最終節。残留を果たした奈良と愛媛は未来に向けてどんな戦いを見せてくれるのか楽しみにしたい1戦です

なお、今節のGAME1のみ奈良テレビでの地上波生中継があり、今回その試合で実況を担当します(バスケットLIVEでは両日、菅江隆一アナウンサーが担当されます)

私の担当はGAME1のみ、かつ奈良県の地上波(奈良テレビ)のみとはなりますが、バスケットLIVEでも視聴される方もいらっしゃるかと思うので試合の見どころを過去の戦績も踏まえてお伝えしていきます

奈良にとってはホーム最終戦。熱い試合に期待しましょう

解説:笠原 太志さん
実況:能政夕介

※加執・修正の可能性もあります

両チームの今季と前節について(4/16時点)31節終了時点

バンビシャス奈良【平均74.7得点(リーグ12位)平均77.8失点(リーグ5位)】23勝35敗で西地区6位(3連勝中)

奈良は前節アウェイで青森と対戦。ハイスコアなゲームを勝ち切り、連勝を3に伸ばした
アウトサイドシュートが好調でGAME1は14/25で56%、GAME2も10/24で41.7%と高水準だった

特に好調だったのはハインズと古牧。ハインズは2日間で8本、古牧は7本の3Pを成功させた
この2試合をけん引したのはキャメロン•ジャクソンとシャキール・ハインズの2人。2人は両日ダブルダブル(得点とリバウンド)を達成
特にジャクソンは今季最多の38得点をGAME2でマークした

100点ゲームを記録したGAME2はアシストも好調。チームで27のアシストを記録し、TOも7と非常に安定感のあるオフェンスを見せた

一方で両日、失点が90を超えた部分はしっかり修正したい。今季の奈良はハードワークから守備面では失点数が平均77.8失点でリーグ5位と健闘

リバウンドがそこまで多くない(1試合平均35.9回でリーグ11位)中で、スティールや不要なファウルをしないクリーンな守備で戦ってきた

前節に関してはペイントエリアで両日40失点以上だった。アウトサイドのケアという意識もあったかもしれないが、今節の愛媛も強力な外国籍選手がいるため、インサイドの攻防を非常に重要になる

良い守備から相手にTOを誘発させ、自分たちのリズムでバスケットを展開できるか注目していきたい

愛媛オレンジバイキングス【平均79.4得点(リーグ8位)平均84.0失点(リーグ9位)】22勝36敗で西地区7位(連敗中)

愛媛は前節ホームで静岡と対戦。福岡、熊本と同地区上位相手に勝利をおさめ3連勝を飾っていた愛媛は静岡と対戦
このカードでは、古巣対戦でもあったガドソンがコンディション不良でロスター外に

その影響もあってかGAME1は8点差、GAME2は3点差の接戦を落とし、悔しい連敗となった
ただ、福岡戦、熊本戦と大活躍だったガドソンを欠いた中でも多くの選手が奮闘を見せた

古野は両日3Pを2本以上沈め、2桁得点を記録しながらアシストもマーク
特にフェルプスはGAME1で35得点16リバウンドと攻守に圧倒して見せた

プレータイムを伸ばした、スパイクスも両日ダブルダブルと活躍を見せるもあと一歩届かなかった

ガドソンを欠く中でも、強みの1つであるリバウンドは安定感も見せ、アウトサイドシュートも確率を大きく落とすことなく決める事ができた

今季の愛媛の強みの1つはリバウンドだ
平均リバウンドは1試合あたり40.1回でリーグ3位をマーク
インサイドからのアタックも多く、そこから得点を重ねている
また、FDの数もリーグで6番目に多い1試合平均で20.4回
アグレッシブなオフェンスとリバウンドで自分たちのリズムをつくっている

またFを効果的にもらう事で得たFTの確率も高い。ここまでは1試合平均で22回のFTをもらい、15.6回成功させており、総得点の内FTが占める割合は19.6%と2割近い数字を残していおり、これはリーグ1位の数字になる

ORからの得点も多いので、必然的にペイントエリアからの得点も多くなっている。奈良は前節の青森戦でもペイントエリアからの失点が目立っていたため、愛媛としてもこの部分を効果的に狙っていきたい部分かもしれない

両チームのメンバー編成

バンビシャス奈良
HC:小野秀二(1年目)

■選手(継続)
藤髙宗一郎
古牧昌也
柳川幹也
三森啓右
シェイク・ムボジ(脳震盪のため出場可否不明)

■新加入(IN)
本多純平(福岡から加入)
林瑛司(FE名古屋から加入)
笠井康平(宇都宮から加入)
石井峻平(愛媛から加入)
シャキール・ハインズ(ドイツのクラブから加入)
キャメロン・ジャクソン
栗原翼(東京Zから加入)
西裕太郎(佐賀から加入)
中谷衿夢(特別指定選手として加入:日本経済大学)

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
板橋真平(湘南へ移籍)
藤澤尚之(福井へ移籍)
薦田拓也(現役引退)
宇都直輝(富山へ移籍)
クリスチャン・ジェームス
高岡圭汰朗
ジェレマイア・ウィルソン
中澤海斗

奈良は先日、奈良出身の藤髙選手が5人制バスケの引退を発表

チーム内外で存在感を見せていた藤髙選手が、ホーム最終戦でその雄姿を観る事ができるかも楽しみなポイントです

愛媛オレンジバイキングス

HC:保田尭之(1年目)

■選手(継続)
古野拓巳
ユージーン・フェルプス
俊野佳彦
飛田浩明
八幡圭祐
坂田央

■新加入(IN)
長谷川凌(横浜エクセレンスから加入)
バローン・マーテル(黒田電気Bullet Spiritsから加入)
奥田雄伍(金沢から加入)
本多青(福島から加入)
金本一真(滋賀から加入)
ナイジェルスパイクス(神戸から加入)
ノヴァーガドソン(富山から加入)

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
アンドリュー・フィッツジェラルド(立川へ移籍)
ライアン・クリーナー(滋賀へ移籍)
河野誠司(現役引退)
石井峻平(奈良へ移籍)
平良陽汰
タッカー・ ヘイモンド(三重から加入→3月契約解除)
ジャバリ・ナルシス(ドイツのクラブから加入→1月契約解除)

両チームの縁で見ると
古巣対戦は石井峻平が愛媛で過去2年間プレー(2021-23)
柳川選手と古野選手は広島で共にプレー(2020-21)
本多選手とスパイクス選手は福岡で共にプレー(2020-21)
林選手と飛田選手はFE名古屋で共にプレー(2018-21)

など様々な縁がある。コート内外でのコミュニケーションにも注目したい

過去の対戦成績(奈良8勝 愛媛30勝)リーグのみ

過去の対戦成績では愛媛が大きく上回っています
今季は4度対戦し全て愛媛が勝利。奈良は2023年2月4日以来となる対愛媛戦での勝利を目指す一戦。愛媛は対奈良に対しては7連勝中。相性の良い相手に勝利をして順位をひっくり返せるか?注目です

2023-24シーズン(愛媛4勝)
愛媛
72-66 奈良 2024.02.09(6点差)
愛媛 76-63 奈良 2024.02.10(13点差)
奈良 74-81 愛媛 2024.03.23(7点差)
奈良 74-83 愛媛 2024.03.24(9点差)

2022-23シーズン(奈良1勝 愛媛5勝)
愛媛
98-77 奈良 2022.10.14
愛媛 90-84 奈良 2022.10.15
愛媛 57-69 奈良 2023.02.04
愛媛 80-70 奈良 2023.02.05
奈良 78-92 愛媛 2023.04.01
奈良 76-80 愛媛 2023.04.02

2021-22シーズン(奈良1勝 愛媛5勝)
奈良
90-87 愛媛 2021.11.13※ホームで勝利したのはこの試合が最後
奈良 87-89 愛媛 2021.11.14
愛媛 90-84 奈良 2021.12.24
愛媛 89-79 奈良 2021.12.25
愛媛 86-67 奈良 2022.03.26
愛媛 78-74 奈良 2022.03.26

奈良がホームの地で愛媛に勝利したのは2021年の11月3日か最後となり、今回で勝利を飾れば実に2年半ぶりの勝利という事になる

今季は4試合戦い愛媛が4勝も、内3勝は1桁点差と接戦でもある

愛媛は対奈良戦の連勝を伸ばし、逆転の順位でシーズンを終えたい
奈良は2勝を飾ればBリーグ参入後、2016年に記録した24勝を上回る事になります

2020-21シーズン(愛媛4勝)
2019-20シーズン(奈良1勝 愛媛3勝)
2018-19シーズン(奈良3勝 愛媛3勝)
2017-18シーズン(奈良1勝 愛媛5勝)
2016-17シーズン(奈良1勝 愛媛1勝)

2020シーズン以降は愛媛に大きく分がある戦績ですが、今季徐々に調子を上げてきている奈良。ホームで有終の美を飾る事ができるか注目していきたいところだ

個人的な見どころ

今季はすでに4度対戦。お互いに特徴が理解できている中でのレギュラーシーズンの最終節。勝敗によっては順位が入れ替わるため、来季に繋げていくためにも重要な戦いとなる

奈良がアグレッシブな守備で自分たちのリズムをつくりながら戦うか?
それともインサイドの優位性を活かしながらオフェンスでリズムをつくって愛媛が勝ち切るか?

個人的な注目点は3点
①インサイドの攻防。中の守備とそこからの展開
②良い入りの守備を出せるか。攻撃の終わらせ方
③高強度でファウルを我慢できるか?それとも引き出させるか?

①インサイドの攻防。中の守備とそこからの展開
前回3月の対戦時も古野とフェルプスのコンビネーションが冴えわたった
古野はこの試合のGAME2で11アシストを記録し、フェルプスは26得点と得点源に

奈良はこのインサイドアタックをしっかりと意図を持って止めに行きたい
ピックアンドロールを行う前にハードな守備に行くのか、仮にされた際にでも上手くローテーションをしながら守備をしていきたい

逆に愛媛は前回対戦時同様に、自分たちの得意な形で展開を続けることができるかどうか?対策を講じられた際に、外のシュートへの切り替えや、他の攻撃パターンも使いながらチャンスを伺いたい

奈良はこのインサイドに対する攻撃の守備と、良い状況でリバウンドを確保できるか。特に理由はないについては、自分たちの攻撃の際にも重要になる
今季はこのORからの得点の多くはムボジが担ってきた(1試合平均3.6得点)

出場可否は分からないが、ORにも強いハインズとジャクソンの奮起にも期待がかかる

②良い入りの守備を出せるか。攻撃の終わらせ方
守備面ではスタッツ上、愛媛を上回っている奈良
平均失点数は前述通り77.8失点でリーグ5位。TOの数も1試合平均12.2回(リーグ5位)スティール数は1試合平均6回(リーグ10位)BSの数も1試合平均2.6回(リーグ5位)とリバウンド数では愛媛が上回るものの、それ以外の守備的スタッツでは奈良が優位に立っている

だからこそ平均以上の強度をスタートから集中して徹底できるかが重要になる
奈良は今季相手のTOからの得点は12.9得点でリーグ9位

ファストブレイクからの得点は9.3得点でリーグ13位と、良い守備から効率的に得点に繋げる事が出来ていない部分もある

良い守備から確実に得点に繋げる事、リバウンドでは愛媛が数値的に上回っている部分があるので、前節の青森戦同様に決めきる事と、良い状態で相手のオフェンスを受ける状況をつくりたい

一方の愛媛は相手の強度高い守備から、ファウルを引き出したい
奈良は元々ファウル数が多いチームではないものの、自分たちのストロングポイントでもあるFTに繋げる事ができれば流れを作り出す事ができる
相手の果敢な守備に対して、臆する事無く思い切ったアタックと、そこからどんな形であれば得点を取り切る部分がつくれれば流れを引き寄せる事ができるはず

あとは生命線でもあるリバウンドで相手に上回られない事。これまでの継続と集中力を持って奈良のハードな守備をかいくぐりたい

③高強度でファウルを我慢できるか?それとも引き出させるか?
②の要素でも少し触れたが、今季の奈良は1試合あたりのファウル数が18.6回でリーグ3番目に少ない水準だ。その中でスティール数は平均6回と、ある程度の強度を維持しながら不要なファウルを起こしていない
ただ、愛媛はインサイドでのシュートセレクションが多く、1試合は平均で2Pの試投数は40.8回でリーグ4位
中への積極的なアタックや、リバウンドでの展開でファウルを引き出すのが上手いチームでもある
実際に愛媛はFD(ファウルを受ける回数)が1試合平均で20.4回でリーグ6位
更にはFTの試投数は22.0回でリーグ3位となっている
ファウルで試合の流れは大きく変わっていくかもしれない

一方で奈良も積極的なアタックからファウルを引き出したい
愛媛は1試合あたりのファウル数は22.0回でリーグ14位と比較的多いチームでもある
更に奈良はFTの成功率が73.7%でリーグ3位と高確率で成功をさせている
実際に総得点におけるFT得点の割合は奈良が18.2%でリーグ3位、愛媛は19.6%でリーグ1位となっている

これを総得点で見てみると・・
奈良:平均74.7得点(内FTで平均13.6得点)
愛媛:平均79.4得点(内FTで平均15.6得点)

奈良で見るとハインズ、ムボジ、林がFTからの得点割合が高い
愛媛で見るとフェルプス、古野が圧倒的な数字になっている

誰に対して強くいくのか、ただ、その選手を止めなければ流れが変わらないなど、戦略的な難しさもあるかもしれません
そうした部分の駆け引きやHCの指示にも注目するとより面白さが増すかもしれません

私は今回地上波での奈良テレビでGAME1のみの担当になりますが、少しでも楽しんでいただけるよう臨みたいと思います

リーグ戦も最終版。是非皆さん熱い週末をお楽しみください




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