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Bリーグ2023-24シーズン第36節京都ハンナリーズ対長崎ヴェルカの個人的な試合展望

レギュラーシーズンはいよいよ最終節です
思えばあっという間の半年間でした。2023年10月5日の佐賀VS琉球で今季がスタート

数々の記録更新、熱狂と共にシーズンは終わりを迎えます

もちろんB2は昇格に向けてのPOがあれば、B1も今週末で順位やワイルドカード争いに決着がつきCSがスタートします

京都、長崎は今季のCS進出はありませんが未来に向けて大きな積み上げを行ったシーズンでした

京都はここまで17勝41敗と負けが先行。負傷者も出て、思い描いたシーズンではなかったかもしれません。それでもやはり個々の選手の成長や、チームとしてかみ合った瞬間の強さ。もっとこのチームを見ていたいと思ったブースターの方も多いはずです

一方の長崎もB3→B2→B1と駆け上がってきて最初のB1リーグは25勝33敗。昇格初年度で25勝以上の到達は今季の佐賀を含めて過去に3チームのみ
年々競争力が高まるBリーグの中で、存在感を示し、来季は新アリーナで戦う長崎もシーズン最後を勝利で飾りたい

お互いに前節は1勝1敗。GAME2に勝利をおさめ、勝利した状態で今節を迎える。連勝を飾るのはどちらか。熱いラストゲームに期待しましょう

解説:根間 洋一さん
実況:能政夕介

※加執・修正の可能性もあります

両チームの今季と前節について(5/1時点)35節終了時点

京都ハンナリーズ【平均77.1得点(リーグ15位)平均84.2失点(リーグ22位)】17勝41敗で西地区8位

両日接戦だった。GAME1は4Qのスタートで64-78と京都が14点リードでスタート
ただ、22点のランもあり約6分30分で得点ができず結果的には2点差で敗退と悔しい試合になってしまった
それでも、ライトが27得点、ジャクソン・岡田も2桁得点を記録
特に3Pを13/29と44.8%と内と外を効果的に使えるオフェンスを点展開できた

京都は4月で見ると5点差以内の結果が5試合(3勝2敗)接戦を勝利に結びつけている一方で、勝ち切れない試合もあった

GAME2は残り18.2秒で1点ビハインド。そこから、岡田→ジョーンズ→ジャクソンと華麗に繋ぎ逆転に成功。GAME1の悔しさを勝利という結果で晴らした

GAME2は岡田が絶好調で切れのあるドリブル、そしてアシストでチームを牽引した。記録した得点は24得点(2Pは8/10,3Pは1/6,FTは5/5)に7アシスト。エースとしてチームに貢献した

3Pは5/25とチームとして難しい展開にはなった(確率は20%とGAME1より半分以下に)
ただ、その中で前田が2本、青木も短い時間ならが1本成功させた

前節は水野、澁田、ラシードファラーズがロスター外だったが、帯同した選手が役割を発揮して粘り強く戦った

今季躍動したFE名古屋に対して得た1勝を自信に、アップテンポなバスケで破壊力のあるオフェンスを持つ長崎と戦いたい

長崎ヴェルカ【平均80.7得点(リーグ8位)平均83.5失点(リーグ21位)】25勝33敗で西地区6位

長崎のGAME2は強かだった。GAME1は点の取り合い、長崎はアウトサイドから、大阪はインサイドからしっかりと加点

ただ終盤のTOもあり、長崎はあと少しのところで勝ち切る事が出来なかった
3Pは12/30と40%成功。馬場は20得点、6リバウンド、7アシストと牽引

ブラントリーも3Pを3本成功させて試合を繋いだ
大阪はペイントエリアから48得点を奪って、最後までロングでつくったインサイドの優位性で勝ち切った

GAME2の長崎は大阪のインサイドに対する守備をより強度高く粘り強く戦った
大阪はアウトサイドのシュートを積極的に放つもなかなかこれが決まらずリズムがつくれない

長崎は小針のスピードと、誕生日を迎えた狩俣が要所で得点を決めて試合を繋ぐ
3Qには大阪の攻撃を9点に抑え、主導権を握る。GAME2はチームのTOを9に抑えて攻守でしっかりと勝ち切った

GAME2はチームのエースの1人ボンズが躍動。3P3本を含む21得点、8リバウンドを記録
狩俣、ブラントリー、小針、馬場が2桁得点を記録するなど、チーム全員でプレーをシェアしながら結果をだした

そして得点以外でもディクソンジュニアタリキ、高比良の守備、更には榎田のルーズボールへの執着心、チャンミンククの効果的な3Pなど全員で勝ち切った試合でもあった

ホーム最終戦で飾った勝利の勢いをアウェイの地でも発揮していきたい

両チームのメンバー編成

京都ハンナリーズ
HC:ロイ・ラナ(2年目)

■選手(継続)
水野幹太
小西聖也
マシュー・ライト
青木龍史

■新加入(IN)
岡田侑大(信州から加入)
前田悟(川崎から加入)→現在負傷中
澁田怜音(新潟から加入)
チャールズ・ジャクソン(横浜から加入)
ラシード ファラーズ(千葉から加入)
ケビン・ジョーンズ(SR渋谷から加入)
半澤凌太(三遠から加入)
鈴木悠介(山形から加入)
ステイシー・デイヴィス(NBA G Leagueから加入)
シェック・ディアロ(NBA復帰から再加入)11月にリリースあり12月の島根戦で復帰

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
ジェロード・ユトフ(横浜へ移籍)
小澤智将(横浜エクセレンスへ移籍)
久保田義章(三河へ移籍)
満田丈太郎(福井へ移籍)
トビンマーカス海舟(千葉へ移籍)
ザック・モーア(アースフレンズ東京Zへ移籍)
益子拓己(川崎に練習生として参加)
小室昂大(東京八王子へ移籍)
エペウドゥ(引退)
ステイシー・デイヴィス(NBA G Leagueから加入→新潟へ)

長崎ヴェルカ
HC:前田健滋朗(2年目)

■選手(継続)
松本健児リオン
小針幸也
狩俣昌也
マットボンズ
髙比良寛治
野口大介
榎田拓真

■新加入(IN)
森川正明(横浜BCから加入)
荒谷裕秀(宇都宮から加入)
チャンミンクク(韓国のクラブから加入)
ジャレル・ブラントリー(オーストラリアのクラブから加入)
馬場雄大
木林優(12/29に特別指定選手として加入発表)
ディクソンジュニアタリキ(熊本より再加入)
ジェレミーエヴァンス(3/19に契約)(アル・マナーマ(バーレーン)(2022-23)でプレー)

■他チームへ移籍、引退、契約満了など
松井智哉(鹿児島へ移籍)
山本エドワード(香川へ移籍)
ウィタカケンタ(鹿児島へ移籍)
山崎凛(滋賀へ移籍)
パブロ・アギラール(福岡へ移籍)
近藤崚太(東京Zへ移籍)
ジョーダン・ヘディング
デボーンワシントン(1/30に加入発表→その後契約解除に)過去信州や仙台、新潟でもプレー経験
ニック・パーキンズ(イタリアのクラブから加入)→3/26契約解除もコーチとして引き続きチームに帯同

両チームの縁としては
岡田と狩俣、森川は三河で共にプレー(狩俣とは2018年、森川とは2018-20)
半澤と木林は筑波大学で共にプレー(半澤が2年先輩)馬場とは大学時代一緒にプレーはしていないが同じく筑波大学の先輩にあたる

共にプレーしている経験はなくとも、対戦経験などもある選手もいる。コート内外でどんなコミュニケーションを図るかも楽しみにしたい

そして、このメンバーで戦うのは今節がラスト。京都は前節水野、澁田、ファラーズがロスター外。その中でも5/2に水野の負傷を発表

長期離脱になりますが、また来季彼の躍動に期待したいところです。実際に今季もハードな守備と果敢なアタックでチームにエナジーをもたらしました。水野選手の分までという気持ちはチームの中でも強い気持ちを生みそうです

長崎も今季はケガ人に苦しみました。主力であった森川の負傷。ブラントリーが離脱するタイミングや、北海道戦では荒谷も負傷。ただ、その中で出場機会を得た選手がステップアップも果たしました。
泣いても笑っても残り2試合。チーム一丸となって戦い切る姿を楽しみにしたいところです

過去の対戦成績(京都2勝)リーグのみ

今季はここまで2度水曜ゲームで対戦
1月に長崎のホームで対戦し、81-75で京都が勝利を飾った

このゲームはお互いにTOを17出し、接戦となった
長崎は早いテンポのバスケットを展開し、京都のインサイドに対してもある程度ストップをさせてスタッツ上では優勢に

ただ、アウトサイドのシュートで京都に上回られた点。そしてFの数が24と京都の倍記録してしまい、京都が粘って接戦をモノにした

そして、4月10日の試合は82-78とより接戦に
3Qまで優勢だった長崎だったが4Qに京都が9点差をひっくり返した
長崎はこの日最大で17点のリードがあったが、そのリードを守り切れず悔しい敗戦となった

この試合では京都が16、長崎が21とやはりTOが多くなった
ファウルの数も京都が11で長崎が20と前回同様、この数値で京都は粘り強く戦い切っての勝利だったかもしれない

この試合京都は長崎のTOから28得点を記録。ここは前回の対戦とは異なる分でもある。3Pに関しても、長崎は積極的にシュートを打ち、28.6%の成功(8/28)

京都は7/18と試投数は少ないがしっかりと要所で決めた印象だ
特に京都は苦しんだ3Qに決めたライトと青木、そして4Qに2本の3Pを沈めた前田の影響は大きかった

長崎はボンズとブラントリーがインサイドで大活躍。特にブラントリーは3Pを3本成功させ、オフェンスで特に存在感を見せた

初の週末での連戦。京都はホーム最終戦勝利で飾りたい。一方の長崎も、京都相手にここまで2敗しているので戦績を五分に戻したい一戦となる

個人的な見どころ

過去2戦は京都が勝利。長崎はスピード感ある攻守と3Pという部分では特徴のあるチームだ

一方でインサイドでの攻防で主導権を握れば京都もチャンスがあり、過去2戦はその部分が試合の中で優位に働いた

勝負を決める3Pなど多く得点を取った結果が注目される部分もあるが、そこに至るまでの流れやプロセスも是非楽しんで欲しい

▼前回31節のハイライト▼

個人的には以下の3つに着目したい

①守備の強度で相手のTOを誘発できるか

②インサイドで優位性を保てるか?そこから外へ効果的に

③勝負を分ける「ファウル」の価値。終盤で活躍する選手は?

①守備の強度で相手のTOを誘発できるか
京都は今季TOの平均が1試合あたり13.3回(リーグ18位)長崎は14.0回(リーグ21位)ミスが少ないチームとは言えないが、前回対戦時の状況を踏まえるとこのTOをいかに減らすかが勝敗を分ける可能性がある

京都は前節のGAME2はTOを9に抑えて接戦をモノにした。その前の勝利した佐賀戦はTO14を数えたが、3Pが14/32と好調だったことが勝因として挙げられる

長崎はアグレッシブな守備が1つ代名詞でもあり、スティール数は1試合平均7.9回でリーグトップ
狩俣、ボンズ、ブラントリー、馬場、エヴァンスと5人の選手が1試合平均1回以上のスティールを記録している

京都はスティールだけではなく、ローテーションや足を使った守備で長崎からミスを誘発したい
この守備の強度で重要な点は試合の入りと終盤だ。良い入りで流れをつくる事ができるか?一方試合のクローズの部分で、ミスなく遂行できるかどうか

今季この点では両チームに課題感はあった。だからこそ、このラスト2試合ではその部分からの修正を見せて勝利を呼び込みたい

京都側で見ると小西や半澤といった守備の部分で違いを出せるプレーヤーにも注目したい。長崎側でみるとやはり馬場の存在は大きいが、前節高比良やディクソンジュニアタリキも素晴らしい守備を見せた
スタッツに残らない懸命なプレーにも是非注視して欲しい

②インサイドで優位性を保てるか?そこから外へ効果的に

4月の前回対戦時はチャールズジャクソンがインサイドで優位性を見せて、京都が流れをつくる部分があった
一方の長崎はボンズのアタックと外のシュートも交えて効果的に得点を奪い接戦に持ち込んだ

長崎は大阪戦でもGAME1はロングの対応に手を焼いた。マッチアップやダブルチームに行くタイミングなどその点を修正してGAME2は上手く優位性をつくったようにも見えた

今季のスタッツで見ればペイントエリアでの得点は長崎が総数では上回る
1試合平均で36.7得点でリーグ6位。京都は34.5得点でリーグ11位

ただ、総得点での割合で見ると京都はペイントエリアの割合は44.8%でリーグ7位、そして2Pの割合が52.1%でリーグで8番目に高い。更にはFTでの得点割合は総得点の14.9%でリーグ14位とインサイドを主戦場にして、そこを中心に組み立てて得点やFTを得ている結果になる

長崎はペイントエリアでの割合は45.5%でリーグ6位と京都とほぼ同列
2Pの割合は50.1%でリーグ11位。3Pは総得点との割合で35.8%と高く、リーグ10位。内外のバランスは良く、外の割合は京都より高い

長崎は分かりやすくスティールやDRからの速攻が多い。相手のTOからの得点は15.1得点でリーグ7位。そしてファストブレイクからの得点は15.7得点でリーグ1位を記録

だからこそ京都目線で見れば、インサイドで押し込みつつしっかりと得点を重ねて相手に走らせない攻撃の終わり方をしたい
3Pは効果的であるが、ロングリバウンドになれば長崎が早いバスケをする可能性もある
だから、こそ中と外の収縮を上手く活用しながら攻撃をしかけたい

長崎はそこをやらせないためにインサイドはしっかりと前節のGAME2同様に守りつつ、誰に外のシュートを打たせたくないかを明確にしながら良いローテションを持続させたい

大阪はイヒョンジュン。京都でいうとライトが3Pの確率が高いが、ここに京都はジョーンズや前田、青木に岡田とシューターが多くいる

その点はHCの采配次第だが、どのようなバリエーションを持ってオフェンスを構築するか楽しみにしたいところだ

③勝負を分ける「ファウル」の価値。終盤で活躍する選手は?
ファウルは分かりやすくスタッツに差がある項目の1つ
京都は1試合平均のファウルの数は少ない。決して強度がないわけではなく、足を使ったアグレッシブな守備は1つのチームカラーでもある

ファウルの平均数は16.7回でリーグ2番目に少ない
一方の長崎は前述した通りスティール数が多い反面、ファウルにカウントされるケースもある。ファウルの1試合平均は20.6回とリーグで2番目に多い

一方ファウルをもらう回数は京都は1試合平均18.0回でリーグ13位
大阪程ではないが、チャールズジャクソンが1試合平均4.4回。そして岡田が4.1回とファウルを引き出している

長崎はファウルをもらう回数は1試合平均16.8回でリーグでは22位
馬場が3.9回、ボンズが3回と両エースにはやはり多くのチームがプレッシャーをかけている

このファウルは当然、試合序盤に嵩めば、プレータイムにも影響が出る
そしてFTを相手に与える事で試合の展開も変わってくる
京都は長崎のファウルを引き出したい。長崎は我慢しながらアグレッシブな守備を継続し上手くコントロールしていきたいところだ

過去2度の対戦はいずれも終盤までどちらが勝つか分からない好ゲームだった。だからこそ、終盤で勝利を手繰り寄せるプレイヤーがどの部分で出てくるのか?勝利への強い気持ちをコート上でどれだけ見せれるか楽しみなポイントだ

■接戦になる?そうなった場合の戦績は?
今季両チームの5点差以内の試合数とその勝敗も見てみよう

京都ハンナリーズ(5点差以内の試合数と結果)
14試合あって8勝6敗と勝利の半分は接戦で記録

長崎ヴェルカ(5点差以内の試合数と結果)
15試合あって7勝8敗とわずかに負けが先行している

今季2度の対戦はいずれも接戦を京都が勝利をした
週末の試合はどのようになるのか?注目です

■週末試合とGAME1、GAME2の勝率は?
京都ハンナリーズ(今季の各試合結果)
GAME1:8勝15敗
GAME2:6勝17敗
水曜ゲーム:3勝9敗

長崎ヴェルカ(今季の各試合結果)
GAME1:6勝17敗
GAME2:12勝11敗
水曜ゲーム:7勝5敗

京都はややGAME1の勝率が高く、長崎は顕著にGAME2と水曜の試合に強い今季の結果が残っている。ただ、どちらも前節はGAME2で勝利し、GAME1は連勝がかかる一戦となる
その勢いのままどんなプレーが見れるか、楽しみにしたい

いよいよ明日からレギュラーシーズンの最終節がスタート。金曜日は1試合のみですが、北海道VSA東京の一戦が
金曜日~月曜日(祝日)まで、戦いが続きます。GWの最終節、是非多くの皆さんに現地、そして中継でお楽しみください!

私も今季はCSでの担当予定はないため、ラストの担当となります。京都も長崎も複数回担当したため、思い入れのあるチームです。しっかりと今季の成長や変化をお伝えしていきます。よろしくお願いいたします。


サポートいただいた内容は今後の記事や取材等に充てさせていただきます。少しでも良い内容をお届けできるようにしていきます。