幸せな夫婦はうんこの報告をしている

毎朝、母が「うんぴでた〜？」と父に聞いている。

昔からそうだったので気に留めたことがなかったのだが、たまたま電話越しでその様子が聞こえた時、
「てかなんでこの人、毎日うんこ出たか確認してるんだ…？？？」と素朴な疑問が生まれた。

直球で聞いてみると、
「もともとはお父さんがうんこ出たよって毎日報告して来てたけど、しばらくその報告がなかった時期があって、そしたら腸閉塞になってて入院になったから、心配なのよ！アハハ！」と笑っていた。

「女は男の世話をするもの」という、時代背景があったとしても、こんなに毎日楽しそうに確認してくれるお母さんがいて、お父さんは幸せ者だなぁと思った。
そんなことまで気にして、何十年もケアしてるなんてすごい労力だと思うけど、
多分母からしたら、これが楽しいんだと思う。


「毎日ちょっかい出してあげないとボケちゃうから」という理由で、気持ちよさそうに背伸びしてる父の脇腹をつついたり、伸び切ったタンクトップからはみ出てる乳首をつついてみたり、しょっちゅうそうやってイビリ倒して遊んでいるので、
「可哀想だからやめなよ」と言ったこともあるが「やだ！」と母は即答していたし、
ちょっかいを出されてる父本人も、
「やだぁー！やめてぇー！」と言いながら、あまりにも楽しそうに見えたので、私の出る幕ではなかったな…と思って注意するを辞めた。

お父さんはお母さんに「うんぴでた？」と聞くのだろうか。あんまり聞いたことがない。
でも、母は出なくて困ってたらすぐに「出なくて困る！便秘！」とか誰も聞いてなくても自己申告してくるんだろうな。父もそれを聞いたら「大丈夫？びょういんいく？」ってすぐに言いそうだし。

夫婦って、奇跡の生態系バランスで成り立っている。すごいことだなと、しみじみ思ったのであった。

その後、偶然聞いてびっくりしたのだが、兄夫婦も同じ風潮があるらしい。

奥さんが「〇〇（兄）くん、うんち出たー？」と毎日聞いていて、兄も兄で素直でいいヤツなので、「うん！でたよー！」と笑顔で答えているそうだ。
子供か？息子か？と思ったけど、
こういうのって『ケア』なんだけど、『愛』なんだよなぁと見ていて思う。　


こういう愛ゆえのケアって、相手のことを年収や仕事で選んでる人には難しいけど、
相手の考え方や人となりが好きだったら、自然と出てくるような気もする。

好きだから。興味があるから。相手そのものに興味関心があるから、相手のことを知りたいという気持ちが絶えないのだ。

相手が自分のこと、同じように選んでくれているなら、これがお節介だとも思わないんだろうな。
猿の毛繕いみたいにさ、愛情のベクトルが正しい方向に揃ってるから、与える側も、もらう側も不快な思いをしないんだ。

やっぱり、夫婦って奇跡の生態系だよな。