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詩 013 「暗礁から」

船は暗礁に乗り上げた
みんな我先にと救命ボートに乗り込んでゆく
私は舵輪にもたれて煙草をふかし
操舵室の窓から雲を眺めた

ひと気の消えた船内
とても静かな とても静かな
テーブルの上に黄ばんだ地図を広げ
辿った航路を指でなぞる

太陽と出航のファンファーレ
東を目指して西に流され 
南を目指して北を彷徨った
そしていまウミウシと寂寞のフィナーレ

私は安酒を煽る
求人誌を破いて鼻をかむ
ひるねをする
デッキに出てどじょう掬いを踊る

風は凪いでいた
海も凪いでいた
潮が引いたら舷を押してみようかしら
靴を脱いでズボンの裾を捲って待つ

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