旅行会社でできること。(旅好きへ)

就職活動・転職活動中の皆さんへ。
10年間、旅行会社で勤務して経験したことをシェアします。

<自己紹介>
新卒で大手旅行会社に就職。
募集型企画旅行の手配、企画、販売、添乗の他、予算管理と会計など、旅行商品が生まれてお客様が旅行を楽しまれるまで、ほぼ全ての工程に8年間携わる。
その後、現場を離れ、ECサイトの改修・運営、SNSやブログなどのオウンドメディアの立ち上げと運用に携わりながら、マーケターとしてのキャリアを模索中。

旅行会社に求めることは?

気になる皆さんが会社に求めることは何でしょうか?
転職支援サイトの口コミや会社の同僚から聞いたものは次の通りでした。

<同僚の声>
・旅が好きだから仕事にしたかった
・面白いことができると思った
・人を喜ばせる仕事がしたかった
・地域活性など社会的に意義のある仕事がしたかった

<転職支援サイトに見られる声>
・旅行は成長産業だと思った
・海外に興味があった
・学生時代の旅の経験を仕事に活かしたかった
・自国の魅力を客観的に知りたかった
・学生の頃に学んだことと関係のある職に就きたかった

自分もそうですが、旅行会社で働く人の仕事への姿勢は、抽象度の高い理想を追いかける傾向がある気がします。理想と与えられた環境のギャップを自ら埋めに行ける人か否かで、できることとできないことは大きく変わってきますが、ここではそれは置いておきましょう。

旅が好き/旅行は成長産業だから旅行業界で働くことについて

旅が好き、旅行は成長産業だからという理由で旅行会社を志望する場合に考えておきたいことは、自分は旅とどう関わりたいのかということです。
旅に関わる会社や仕事は多種多様。
旅行会社の中でも、いわゆるパックツアーの企画から販売まで行う旅行会社、個人旅行の手配やパックツアーの販売のみを行う代理店、修学旅行や会社の慰安旅行など法人向けの営業を行う旅行会社など、仕事内容は様々です。
昨今ではここに旅行商品をオンラインで販売するOTAの企業も参入してきています。
さらに、ここまで記載した会社よりも直接的に旅行者へ関わりたければ、観光バス会社の乗務員、ガイド、添乗員、ホテル・旅館、観光客向けの物産・飲食、観光地や観光施設での職務も考えられますし、移動を担う空路・陸路・海路それぞれの会社も存在します。
加えて、行政の観光課、観光協会、商工会議所、旅行組合など、その土地の観光のあり方を上流から考える仕事もあります。(先述したホテル・旅館などの施設の代表が兼務していることも多々あります。)
最近では、Maasなど、旅のあり方をテクノロジーで変える会社も登場しましたね。
旅に関わる仕事は、点になる仕事、点と点を結ぶ仕事、点に人を送る仕事、それらをプロデュースする仕事、全体をマネジメントする仕事があります。人体で例えれば、赤血球であり、血管であり、肺や心臓であり、人体そのものです。

旅行会社でできること・出来ないこと

さて、旅が好き/旅行は成長産業だから旅行業界で働くという視点で募集型企画旅行(=パックツアー)を扱う旅行会社でできることとできないことを整理します。仕事で何となく旅を楽しむことはできません。


添乗が楽しいという同僚もいますが、20〜40数名のお客様に、安全に、かつ、満足して旅を楽しんでもらうために、丸腰でサービスを提供する仕事は、出発2週間前から腹痛が続くほど緊張します。観光地でも移動中でも常に、お客様の動き、迎えてくれる現地の方の動き、バスの乗務員さんやガイドさんの心身両面の動きを考えて、次の瞬間の最善の手を検討し続けるんです。正直、10年経っても、添乗中に観光地の滞在時間を楽しむ余裕は髪の毛ほどもありません。添乗が楽しいのは、100%全力の自分を媒介にして、旅先で出会う全ての人を「満足いく時間を作る」という同じベクトルに向かわせ、リアルタイムでその成否がお客様の表情から伝わってくるからです。
鮮度は違えど添乗以外の業務も同じです。
だから、旅行会社で何となく楽しい旅がある日常を手にすることは出来ないです。(こうした緊張感こそ旅であり、これが日常的に起こる暮らしが楽しいんだという猛者はいます。)

逆に、サービス業界全体を俯瞰し、魅力的なサービスや商品を発見したり、それらを掛け合わせて新しいサービスを生んだりすることは可能です。ただし、何となく口にするのではなく、口にしたらやりきる覚悟は必要です。
企画して、社内外の調整をして、集客して、お客様にサービスを提供して、関係各位に利益を残す。
いわば、企画のプロとして、キャリアを詰むことは可能です。さらに、企画も販売もサービス提供も行う旅行会社なら、マーケティングの4Pを回すことを経験しながら商品企画が出来ます。

いかがでしたでしょうか。今回は、旅行が何となく良さそうという理由で旅行会社に入社した場合に、できること出来ないことをまとめて(?)みました。
旅行会社に挑戦する前に、お役立ていただければ幸いです。

次回は、海外が好きという理由で旅行会社に入社した場合の、できること・出来ないことをまとめてみたいと思います。




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