デトロイト・メタル
デトロイト・メタル。そう名付けた。
頭はモーセの海割り。
ベットから起きたばかりで、サイドギャザーの髪はヘアワックス無しで立ち上がっている。重力お構い無しだ。前澤社長。
内田裕也を彷彿とさせる目の座り方。車椅子で鎮座。シェケナベイベーでドープネス。
たっぷりとした涙袋。
両目とも赤黒い内出血でペイントされている。
転倒したんだね。
どう転んだら両目行くのか。
数日前の話だな。
その痛々しい顔面を見て、ぼくは「デトロイト・メタル」って思ってしまった。メタル、メタルすぎた。
顔立ちがコワモテのおじいちゃんなので、余計にデス・メタル。
近寄って、車椅子と並行になりひざまずく。謁見する。
「目、どうされたんですか?」
「もう痛くないから大丈夫だ。」
「ならよかったです。ほっとけば自然に戻りますよね」
「心配ない。」
内心ホッとした。
「貴様!ワガハイに向かってなんて口の聞き方だ!ブハハハハッ!お前も蝋人形にしてやろうかっ!」
そうきたら、どうしようかと思っていた。
デトロイト・メタル。もとい。ブレブレのメタル世界観は手放そう。
波平さんくらいにしておこう。
優しいおじいちゃんだった。会話が終わり席を外そうかと思って立ち上がる瞬間。閣下が再び口を開いた。
「俺を施設なんかに入れて。帰らせないつもりだ。邪魔者扱いされとる。わかとるんだ。魂胆は。どうなっとるんだ!」
デトロイト・メタルやん。ごりっごりの。
「まぁまぁ。そんなことないじゃないですか。」
そそくさと、その場を離れた。施設をあとにして。
介護現場、介護施設には、ほんとうにいろんな方がいる。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。