メリケンサックみたいなプライド
椅子から立ち上がって食堂に向かいたい。
この方は脳梗塞の後遺症で片麻痺がある。
まず、立ち上がりやすいように椅子に浅く座ってもらいたい。ご自身で健側を足を前に出して半分だけお尻を前に出してもらう。患側は一部介助で健側のお尻の位置と合わせる。
膝下の足の位置を膝より手前に引いてもらう。前かがみになってもらい健側で手すりを持ってもらう。掛け声と共にご自身で立ってもらう。立ち上がった時にふらつきがないかを確認し、立位が安定したのを確認してからT字杖に持ち替えてもらう。杖・患側・健側の順番で足を運びご自身で歩いてもらう。転倒防止のために患側後方から見守りを行う。
今日は実務者研修のスクーリングで実習があった。
あらためて介助方法確認することなんて、介護職員になってからはほとんどなくなってしまう。
日々の現場で、立位からの歩行介助をやりすぎてしまっているせいか、いつも「立ちましょうか、セーの」で終わってしまっている。もしかしたら、立ちにく状態で無理やり立ってもらっているのではないかと反省した。
実務者研修の授業にはぼくみたいな現役から未経験の方まで幅広い年齢層の方がいる。
「わたし高校中退してて、介護の資格取ってデイサービスではたらいているんです」という「すっぴん細眉キレ長目のお嬢さん」には頼もしさしか感じなかったが、お姉様方をかき分けてグループ実習を仕切っていたことに、ちょっとしたゾワゾワ感とメリケンサックみたいなプライドを垣間見たりした。
一方、未経験の方にもグイグイ仕切りたがる方もいて。「経験では負けるけれど知識や気遣いでは負けるつもりはないわっ!」というタトゥーのような思い切りの良さをカマしてきて、他の生徒の介護実践の時には姑のごとくダメ出しを飛ばしてきていた。まぁそういう人に限って自分がやってみるとボロボロだったりするのだが。
つくづくこの仕事、介護職員の人間模様も万華鏡だと思った。
「人が足りなーい」「くっそ忙しいー!」そういった嘆きは、どこの施設も一緒のよう。
そうして日頃のストレスを「しがらみのない場所」で吐き出す。その一撃で仲良くなっていくのも、この業界の特筆すべき点だろう。
教室に男子はぼくひとり。口を挟まず。喋らず。
さすがにこの文章は見ていないだろうと願う。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。