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介護職員だからって

40歳を越えて涙腺が崩壊してきているぼくに、感情を抑制しコントロールしながら介護の仕事をするということが、できるわけがないのだ。

利用者さんにも一緒に働く職員にも介護を取り巻く世間にも、悲しみを覚えるし怒りを感じるし。プロなのだからできて当然。なんていうことは、できれば言わないでほしい。

ただ、言えるとするならば、ネガティブな感情との付き合い方を理解できているとは思う。瞬間的メタ認知。心の声や頭の中では超おしゃべり。繰り広げらたネガティブな言葉たちを、一歩引いたもうひとりの自分が瞬時に客観視し、花が咲く前に芽を摘み取ることができるようにはなってきている。
利用者さんに心無い暴言を吐かれたとしても、湧き起こり突き上げてくる怒りにはアウトオブ眼中をかまし、圧倒的無関心を装うことができる。その利用者さんとは物理的な距離を取りATフィールド(マスク)も張る。
相性の悪い職員と一緒に仕事をしなくてはいけない時。無理に目を合わせようとはしない。あらかじめプログラミングされている「私的AI言語モデル」を使い、声の抑揚をつけずに会話する技術を身につけた。

そうした能力が身についた背景には、思考を外側に吐き出して客観視するという点においてnoteがひと役買っていると思うし、芸人をしていた時の「スベりすぎて劇場の空調の音しか聞こえない舞台でも、自分が面白いと思って考えたボケを時間いっぱいやり続けなくてはいけない」あの股間を掃除機で吸われているような感覚、えげつな集団無視を耐え抜いた経験があるからだと思う。ちなみに「スベる」経験をしたことがない人に感覚を説明しておくと「後ろ向きで座っている人たちへプレゼンをする」と思ってもらえればいい。

ぼくは休憩室ではほとんど喋らない。元来物静かなタイプの人間だ。しかし休憩が終わって現場に戻ると、芸人がセンターマイクに飛び出してくときの「はいどーもー!」に似たテンションで「うわぁ!綺麗に残さず食べていただいて!嬉しいです!栄誉の積立貯金やー!」と彦摩呂を炸裂させるのである。

「帰るって言っているだろっ!」
「もう!座ってて!お願い!お願いだから!」

もちろんこんな人もいる。だから介護職は面白い。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。