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ぼくの肩に手を置いて、上から押しつけて体重を乗せてくる。

隣にいるじいさんは、ぼくを上から見下ろして得意気な顔をしている。

スクワットをしなければならないのはアンタや。ぼくはトレーナーとして一緒にやっているだけ。いわばパフォーマンスでしかないのに。

結局一回もスクワットはせずに、ぼくだけ皆んなより重い負荷でスクワットをしてた。
「ちょっと!〇〇さん!一回もやってないじゃないですか!ぼくの肩ずっと押さえて!」斜め上、天井を見上げてぼくと目線を合わせようとしない。

そんなふたりのやり取りを見て、周りのジジババは笑っている。

いいコンビになれそうだ。この関係性が逆で、ぼくがじいさんの肩を押さえつけていたら虐待になり得るかもしれない。笑いと虐待は表裏一体なのか。言い過ぎか。

週1回しか利用がないそのおじいちゃん。めんどくさくてデイサービスには来たくないそうだ。しかし一人暮らしで身寄りがないものだから、外出の機会をと引っ張り出している。

「おお!今日オメーいるのか!」

ぼくが目当てなか?週一回しか会わないのに旧知の友のように挨拶をしてくれる。ぼくはその馴れ馴れしさに心が温かくなる。他の職員にはそんな感じで挨拶をしない。それがまたぼくの恋心をくすぐるのだ。なんだ?昔、水商売でもしていたのか?

スクワットを抜け駆けしたあとは、レクリエーションにも参加せず、誰とも喋ることもなく、ただただ椅子に座り風景と化している。
隣に座ってゆっくり話したいところだが、作業に追われなかなか肩を並べて話すことができない。

結局、スクワットのコントを披露しただけで1日が終わっていった。

相方が来るのはまた一週間後。また、ネタ合わせもなくぶっつけ本番だ。

でも大丈夫。ぼくらは「あ・うん」だから。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。