介護で重いこと
体重のある人を抱えたりするのはさ、
軽いのよ、
重いのはね、
自分の想いが伝わらないこと。
介護の仕事をしていて、いちばん堪えるのは、
体力的な問題じゃなく、精神的な問題。
「あなたのためを思って」とか、
「あなたに喜んでもらいたくて」とか、
身内以上に心配をしてるかもって、思うこともある。それは思い上がりだし勘違いなのはわかってるけども、
それが「ああ、やっぱり他人なんだな」って思う瞬間ってあるというか、いやそもそも他人なんだけど。
それはお互い様か。
時間になればデイサービスを退勤して介護から離れていくわけだから。
ずっとね、和気藹々と過ごしていた利用者さんにさ、
そっけない態度とられたり、怒鳴られることもあるわけで、
仕方ない。認知症という病気。
死を身近に感じている人が、
その夜、どんな夜を過ごしているのかなんて。
わからない。
「辛いよねぇ」「痛いよねぇ」「苦しいよねぇ」なんて、
わかったような口を聞いてることも、無意識に出ている言葉かもしれないけど、知らないうちに人の心を傷つけているかもしれない。
失語している方の食事介助。
もうさ、本当に、何回聞いてもわからないのよ。
「ううい」「ううい」「いあう」「おせ」「ううい」
わかんない。
結局、聞き取ることができなくて、
その人は激情してしまって、ぼくはお役御免。
「きゅうり」だったらしい。
「きゅうり」が聞き取れないだけで、簡単に信頼関係は崩れていく。
でも、何食わぬ顔で、その後も介助に入るし明日も介助をする。
連続しているから。介護は。
要介護者も介護者も気持ちや感情の置き場所なんて作ってない。そんな準備のないまま人生は進んで介護は始まっていくんだ。
けれどね、こうして話を聞いてくれる人がいて、
励ましてくれる人がいて、
助けてくれる人もたくさんいる。
知らないだけかもしれなくて、
スポットライトはぼくに当たっているかもしれない。
そんなことに気がつくしさ。
だから落ち込んでいる場合じゃない。
命はそこにあるし。
重くなった気持ちは、
こうして白紙のノートに流していく。
きっと誰かもそうしていると思うし。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。