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「詩集 永劫」(平成31年1月~4月)

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感動したくば 本を読め 映画を観よ 音楽を聴け つまり生きろ

感動したくば 本を読め 映画を観よ 音楽を聴け つまり生きろ

無辺詩

感動したくば 本を読め 映画を観よ 音楽を聴け つまり生きろ
旧時代の幕引きだ 旧人類転生の刻だ 泣け 喚け いざ舞台へ――

人生を謳歌せんと 空へと飛び立つ 海へと漕ぎ出す 鳥になろう 魚に戻ろう
進化は退化のはじまり 退化は進化のおわり 点と点が結ばれる

希望を旗のように振れば そこを目指して集う者たちと出会えるだろう
建国のための握手を交わそう 一国だけの世界に希望という旗を立

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33. 生死者

まだ生きているからどうだと言うのだろう
生きるという選択も
死なないという意志も
滑稽に見えてくるのはどうしてだろう・・・

生きてゆこうとする者の考えなど私には分からない
死にゆくことにしか目を向けられなかったこの私には何も――

死んだらきっとその後のことなどどうでもよくなる
だから死なないでくれと願うばかりなのに
願っても祈っても
その望みが叶うことはないのである

魂だけの存在となるために

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32. その為に

〝わざわざ生まれたのは〟 生きるため――「なぜ生きるのか?」と考えるため 夢を持つため――その夢を叶えるため
それしきのことに意味を価値づける私 価値を意味づける僕 与えられた生と失くす生に惑う我ら

〝わざわざ生まれたのは〟 愛するため――それがどういうことかを知るため 誰かを笑顔にするため――自分も笑うため
それだけのことと俯いて蹲る誰か でもだけどと顔を上げ前を見据えるも誰か 真実としての誠

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31.  信仰

他人には簡単に「諦めた」と言った夢も 本当には諦めていなくて
心の中ではそう簡単に諦めてたまるかと まだ本気で思っていて
だから口では「諦めた」と言っても まだ全然諦めてなんか・・・

夢を追い続けるのは痛痛しい事で まったく救いようのない事で
きっと馬鹿のする事なんだろう 事実そうなんだろう
それなら「諦めた」と神に誓って言うべきで その証に十字の一つでも切ってみせるべきで・・・
つべこべ言わず

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30. 死

踵を返しても死はまぬかれない
向かう先にはどうしたって死が待っている
もううんざりだと回れ右をしても死はやっぱりそこにいる

回避しようのない絶対から逃れられずにいると 天上を裂き伸びてきた手がまっすぐ私を掴んだ
そのまま引き上げられるかと思いきや 手は私をその場で握り潰し 血と肉の塊に変えた
そうなってしまっては もう考えることも出来ないから とどのつまり私は楽になった

弛まぬ努力も水の泡

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29. 涙

止め処もなく溢れる何かは涙だった
この先の別れを察して溢れてきたものだった

(悲しいのは死んだときだけじゃない・・・)

一事一情の掟を破ってこれでもかと溢れた涙
その涙が出会ったあの頃へと流れることはない

想いなら今昔の狭間を何度でも行き来できるだろう
もう出会うことのない別れの先にすら行けるだろう

肩が震えたのは自然に
声が途切れるようになったのは段段と

すべてを涙の所為にするわけには

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28. 妄想

僕の鼓動はすべての音に掻き消され 刹那にして居ても居なくても同じになる
そのことは世界が正しく廻っている証拠である筈なのに 僕は僕の鼓動が止むまで居ることに拘ろうとする

「居る」が「居た」に変わることを僕は知っている
「居た」が「居る」にならないことを僕は心得ている

すべての音は僕の鼓動など飲み込み それでいてその中に僕は入れずにいる
そのことから察するに 世界の正しさに対し僕という存在は不純

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27. 自殺未遂

十分な殺意を持って自分を殺すことだけを考える

その為に向けた自分への殺意はひた隠しにし
けれど自然と浮き彫りになってきた殺気に背筋を凍らせる

後ろ手に隠している鋭利な何かをまだ見せる訳にはいかず
かと言って見せまいとして見せずにいられるものでもなく・・・

自分を殺すからこれは自殺
割には合わずとも自分を殺す価値はあるのだ

殺しても殺し足りない程の憎悪の塊が自分
なり果てた姿は掌で顔を覆うこ

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26. 好き

「好き」という気持ちを分解してみても その構造は分からない
何で出来ているのか 心の中でどんな反応が起こっているのか
「好き」という気持ちに 根拠があるのかどうかすら分かっていない

その言葉を安心して言えるうちは それ以外の言葉などきっと必要ない
お互いのことを想っているのなら それ以上の言葉などきっと必要ない

分かっていることは 「好き」が自分の中にあるということだけ――

分解するまでもな

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25. 動け、変われ、

「嫌」という気持ちでは何も動かない 足も心も 微動だにしない
駄駄をこねているだけだと気づくこともないなら何も変わらない 微塵も 何一つとして

人に言われてでは意味がない
自分で気づいてこそ 自分が気づいてこそ

動いてほしいのなら 変わりたいのなら
「嫌」という気持ちなど棄てるべき 一度でも周りを見渡してみるべき

すべきことは分かっているのに・・・ どうすべきかなど決まっているのに・・・

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24. 選択死

死ぬ勇気などなくたっていい
生きる希望に全力で縋れば死ななくていいのだから

そうは思っていても死にたくなる時がある
死ぬ勇気を欲する時がある

惨めな自分とおさらばしたくなり
死を選択してどこか高い所に上ろうとする

それを止める手立てなどきっと幾らでもあるのに
それが如何に愚かな選択か自分では気付けない

手は差し伸べられていないと思うのは
上った高い所で恐怖のあまり目を瞑ってしまっているから

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23. 人柱

私は 死を悲しむだけの生き物

静謐に身を横たえ
電球の切れた部屋で助けを待つ・・・

千古の光が地を嘗める時 空はまだ蒼いままだろうか
窓から入り込んだ明かりで 私を真似て影も膝を抱える

言い知れない不安は恐怖の色を纏い
助けの来ない部屋のカーテンを閉めさせる・・・

私は 電柱に寄り掛かり星空を仰ぐだけの存在

(2019.2.12)

22. 悔悟の念

ざわついた心を鎮めるため 僕はあの人のことを思い出す
考えてはならぬ人のことを考えるたび 僕はこれでもかと後悔を噛みしめる

しかし自業自得の後悔などいくら噛みしめたところで 血の味しかしない
そして滲み出たその血を 後悔に塗るだけで許される罪などありはしない

反省の色を示そうとしてもそれが無色透明なら きっと信じてはもらえないだろう
言葉の重みを改めて理解してももう遅く 想いの丈が届くこともな

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21. その一人

一人欠けても大丈夫なこの世界で その一人になるべく尽力する

誰かにとって必要なあの人も 誰にとっても必要な訳ではないかも知れず
誰にとっても必要なその人は 誰の一人も必要としていないかも知れない

だからだろうか そんな人たちが一人欠けても この世界は嘆く素振りも見せず回り続けた
誰かにとって必要な人が欠けたのに 誰にとっても必要な人が欠けたというのに・・・

けれど あの人もその人も そのこと

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