【生活は患い】風よ、吹け
ゴールデンウィーク、青森にいた。
お陰様で?雨とは出会わずに、晴天の中暑い暑いとソフトクリーム三昧。甘味はしあわせ。
ふと気がついたのは、匂い。どこからともなく、雪の、少し苦味のある独特な匂いがしてくる。季節は春で、辺りはアスファルトがむき出しなのに。
正体は、風だった。
宮沢賢治の作品で風が吹くと、世界は現実から幻想へ移行する。
東京にいると風は無色だが、東北の風はそこにないものを運んでくる。
嗚呼、これが賢治が風を仕掛けにした理由なんだ。
もう5月も終盤に差しかかる。新生活には慣れた、とおも、いたい。
残念ながら気が滅入ってばかりで、これが五月病かしらなんて引き攣った笑いしかできないでいたら、案の定薬が一種類増えた。
……本当に笑えなくなってしまった。
望んで入った大学院。研究が進まない。時間が欲しい。生活にはお金が必要。アルバイトもこなさなければならない。研究に割ける時間は?将来の夢が叶う確率も少ない。この先に自立できる仕事は?
どこにいった?
セーフポイントを上手く作れない僕は、どんどんどんどん小さくなっていってしまって、
今、本当に苦しい。助けて欲しいと、安易に呟いてしまうくらいに。
逃げ出したい。幻聴が追い立てて、希死念慮がいつも以上に覆い被さる。
自ら、動かさねばならない。分かっているのだけれど。
今だけは、「風よ、吹け」
「ことば」で遊ぶ人。 エッセイ、作品、公開しています。 会も作りたいです。