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【ことばの指導法】みんな大好き!かくれんぼ②

言語聴覚士が実際の臨床で使っている指導法を紹介するシリーズ。今回はかくれんぼの2回目です。

前回内容はこちら

今回は「たまごかくれんぼ」。こちら、twitterで紹介したところ、同業者に大変受けがよかったものです。語連鎖(2語文や3語文のこと)の課題はたくさんありますが、いかに楽しくできるかという点で、かくれんぼはやはり魅力的ですよね。

【用意するもの】おもしろ消しゴム、イースターエッグ(ともにダイソー等)

おもしろ消しゴムの活用や購入方法については過去記事も参考にされてください。

イースターエッグは、イースターの時期(毎年4月頃)にダイソーの催事売り場で見つけました。時期がすぎてしまった今は店頭でみかけることがないのですが、また4月になれば出てくるものと信じています。

このイースターエッグ、中にお菓子やミニチュアなどを入れて隠したものを子どもたちが探す、という使い道のようですが、それをそのまま訓練に応用しました。手順はかくれんぼ①とほぼ同じです。

たまごかくれんぼの手順

①ひとりが目隠しして10秒数える

②もうひとりがその間にミニチュアを卵の中にひとつ隠す

③「もーいーかーい」「もーいいよー」のやりとりのあと、隠した人が「ヒントを出すね」(あるいは探す方が「ヒントちょうだい」)と言い、「◯色の卵の中に△△が入っているよ」などと伝える

④もうひとりが探す

⑤役割を交代する

以上です。とても簡単ですよね。以下、スムーズに運ぶための私なりのコツも紹介しておきます。

たまごかくれんぼのコツ

①ターゲットとなる文を決めておく

上記のやりとりのうち、まずは子どもが目隠しして、指導者が隠す役割をします。

この訓練は3語文以上の指導に適しています。3語なら「ピンクの中にあるよ」「ピンクにとうもろこしが入ってるよ」などですね。4語なら「ピンクの中にとうもろこしが入ってるよ」「ピンクの卵にとうもろこしが入ってるよ」など。ターゲット文を決めておいて、まずは指導者がそれをヒントとして与えますから、どんな文をお子さんに話してほしいのか、あらかじめ決めておくといいと思います。やっているうちにこちらが思う以上の文を話してくれるお子さんもいますが、それは大いにありがたいことなので受け入れています。

②卵の色や使うミニチュアを選ばせる

この卵、10個くらいあるのですが、全部並べると刺激が多すぎるので、私はいつも「3個好きな色を選んでね」と伝えています。やらされる訓練の中で「自分で選べる」という自由度はとても大事だと思っています。ミニチュアも同じです。私は大量に持っているので、全部の中から選ばせるのは時間がかかりますから、2個取り出して「どっちがいい?」と聞きながら、全部で5個くらい選んでいます。5個並べて見える位置に置いておくと「これ全部やったらおしまい」と終わりも見えますから、ちょっとした視覚的構造化にもなりますね。

③卵の補強をしておく

こちらのイースターエッグ、そもそも再利用目的に作られていませんので、開けたときに簡単にむしりとれるような構造になっています。むしりとってももう一度閉めることは可能でしょうが、バラバラになると管理も面倒なので、私はセロテープで補強しています。また「絶対にはずさないでね」と伝えてもいます。過去にむしられたのは1回だけです。

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④閉められない子どももいる

何度も開け閉めできるような構造にはなっていないため、閉めるときにちょっとしたコツがいります。手先の不器用なお子さんはできずに癇癪につながってしまう恐れもありますので、私はいつも同席しているお母さんに手伝ってもらうよう伝えています。親の同席がない場合は、あらかじめ閉められるかどうか確認するとともに、卵やミニチュアの数をさらに減らしてもいいと思います。数が多いと迷って時間がなくなり、焦ってまた閉められない、となりがちです。

⑤とはいえ壊れやすい

半年ほど使っていますが、蓋の開け閉めができなくなったものも多いので、次のイースターのときには2つ買おうと決意しています。

⑥基本自由でいい

見つけるよりも隠す方が楽しいこのゲーム。子どもは隠す方をやりたがりますが、それはむしろ表出の役割をたくさん担ってくれることになるので大歓迎。ただし悪ノリして2つ3つを1度に隠してしまい、中に入れたものを忘れてしまうということもしょっちゅうです。それを良しとするかコントロールするかは、それぞれの指導者さんの判断によってよいと思います。


いかがでしたか。このたまごかくれんぼは年齢・特性問わず大人気の指導です。ぜひとりいれてみてください。

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