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声の魔法!🪄vol.2 「声の硬さ」を変えてみる

高さの次は硬さの調節

ひとつ前はこちら。
https://note.com/kotobanohattatsu/n/nd744857539ac

声の硬さを変えてみよう

声の印象を変えるのに「高さ」の調節をしてみました。次にチャレンジしたいのが「硬さ」の調節。

声は「硬い声」と「軟らかい声」の2種類にわけることができます。

硬い声で話すことを「硬起声発声」(こうきせい・はっせい)、軟らかい声で話すことを「軟起声発声」(なんきせい・はっせい)と言います。

「起声」とは声の立ち上がりのこと。発声を始める瞬間、硬い声を出すか、軟らかい声を出すかで、声の印象をがらりと変えることができるんです。

さらに、前回覚えた魔法「声の高さの調節」。普通・高め・低めと掛け合わせると、高さ3種類×硬さ2種類=6種類の声が使いこなせます。七色の声にあと一歩!という、すごい魔法です。

ぴんとこない、という方は以下の音声ファイルでご確認ください。登場する順番は以下の通りです。なお、わかりやすくするために少し強調するような話し方をしています。※音声の加工はしていません。

①普通の高さ×軟らかい
②普通の高さ×硬い
③高め×軟らかい
④高め×硬い
⑤低め×軟らかい
⑥低め×硬い

6つの声の違い、おわかりいただけたでしょうか。ちなみにアナウンサーの世界で言うと、NHKアナウンサーの皆さんは軟起声が多く、民法だと硬起声が多い(というか硬起声でもOK)という印象です。

硬さの理論の話

声の硬さを調節するのも声帯の役割です。下記イラストの右側に大きく示されているのが声帯。薄い黄色の部分が閉じたり開いたりして声が出ています。

薄い黄色の部分が声門(せいもん)

声門が閉じるとき、力強く打ち付けると「硬起声」に、優しくソフトに閉じると「軟起声」になります。この当たる強さの調節で、硬さの出しわけが可能です。

硬さの感覚の話

声門を強く閉じる?優しく閉じる? よくわからない!という方へ。最初の一音を強く発声すると硬起声になります。音楽に例えるなら、最初に一音でジャーン!と打楽器も金管楽器も勢揃いの派手な音楽が鳴り響くイメージ。一方、ため息を交えるようにふわっと話し始めると軟起声になります。徐々に音が大きくなるクレッシェンドがかかっている状態と言えるでしょう。

あるいは第一声とともに、首を上から下に軽く振りながら強調すると強い声が出やすいです。逆に首や顎を下から掬い上げるようにすると、声が徐々に伸びていくイメージが掴めます。軟起声は第1音でなく、2音目以降から大きくなる感覚です。

硬さをつかめ! 練習方法

硬起声・軟起声の練習には、録音波形が見える録音アプリがお勧めです。下の図はiPhoneに実装されている「ボイスメモ」アプリで録音したときのもの。

上段が硬起声、下段が軟起声で発声しています。なお話している内容は「声の魔法をかけていきましょう」という台詞です。波形の違いが一目瞭然。

硬起声の場合は、全体的に角が強調された波形になっています。かくかくした印象ですね。

硬起声発声。全体的に角が強調された波形になる

対して軟起声。カーブが多い、丸みを帯びた波形が特徴です。

軟起声発声。全体的に丸みをおびた波形になる

このように波形を見ながら練習すると、今出している声がどちら寄りなのかがわかりやすいです。

硬いのがいいか軟らかいのがいいか、それが問題だ

場面によって変わる、適切な硬さ

硬さの変化は、好みもあると思いますが、これも前回お話ししたTPOに関わってくると思います。つまり、どんなときに、どんな場面で、どのような内容を話したいのかで、適切な硬さが選べるとベスト。

あなたがプレゼンを担当するなら、少し硬めの声の方が相手の耳に残りやすいでしょう。軟らかい声での説明は耳に心地よく、それが故に右から左に抜けていってしまうかもしれません。アニメの主人公たちは硬い声のキャラクターが多いです。際立つこと・目立つことが宿命のキャラは、強く硬い声の方が響きます。

あなたが広報担当として、インタビューに答えているとしましょう。勢いをつけたい商品やサービスなら、硬い声でアピールポイントを強調するのも手です。でもそれが癒し系のサービスや女性向け商品なら、軟らかい声であたたかい印象を醸し出すのもいいかもしれません。

あなたが企業の受付をしているなら、応対する声は優しく、誰もを不快にさせない声の方が向いているでしょう。軟起声はそうした場面にぴったりです。

電話応対はどうでしょう。電話というのは音の周波数帯を制限している関係で、そもそも少し聞き取りづらい仕組みになっています。軟起声だとはっきり伝わりにくい場合がありますので、適度な硬さは必要です。また、にこやかに応対する場面、クレーム対応で恐縮しなければならない場面でも、それぞれ硬さによる印象の変化が役立つでしょう。

伝わりやすい話し方・聞き取りやすい話し方

「相手によく聞き返されてしまう」「伝わっていないと感じる」、そんなお悩みの背後には、この硬さの問題が隠れている可能性があります。ぼそぼそ話す声はどちらかというと軟らか目。第一音を強調するような硬起声に変えてみることで、相手に伝わりやすく、聞き取りやすい話し方になりそうです。

高さと硬さの魔法を駆使して、あなたのベストの声を探してみましょう。

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