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どうなるのかわからない

ひとりで考えて ひとりで動いて 

そのエネルギーでやれることは

とても狭い とてもとても狭くて小さい

そこにひとり またひとり 誰かが加わるだけで

何乗にもむくむくもくもく膨れて

抱えきれないくらいに

夏の入道雲のように

気づくともう自分たちの手からは離れていって

見慣れない 奇妙な 新しい

でもどこか懐かしい 

大きさ かたち 色 におい 感触 になって

さいしょの一欠片からは

想像できなかったものになる

雲の中は 

エネルギーのいなづまが轟いている


最近、ときどき

上田の街中でリヤカーを引いている人たちがいる

リヤカー

その上に乗って 踊ったり

歌ったり

寝転んだり

引きながらギターを弾いたり

太鼓を叩いたり

花をくばったり


丈夫な足腰を披露しようとリヤカーを引いてみる

たった数百メートルだったけれど

歩道をリヤカーで引いて

パレードの先頭を歩くというのは

誇らしく恥ずかしい

なんとも言えない経験だった


街角の公園の日陰で一休みするあいだ

角の空き地で踊り始めた人がいた

じょじょに踊る人が集まり

夏の名残の強い陽射しに向かって

祈るように踊る人

ただ楽しくて体をくねくねする人

モジモジと近寄って気持ちよさそうに揺れている人

よく知るこの街が

街角で自由に踊ることができる街になった

鮮やかな絵の具で街に色が塗られたかのように

パレードが歩いた道は

鮮やかな空気が香った

ひとりひとりが、街中に色を塗って

この街にいることを宣言したり

通りすがりの人を歓待していた


3年前にコロナがやってきて

そこで生まれた見えない粘菌みたいなつながりが

磁場を 土壌を じわじわと

たしかに変容させている

街にひらくと

それを感じる

ひらく ひらく ひらく

むすんで ひらく

歌が聞こえる

誰かが踊っている

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