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「不完全という機能」


今日は、近所の銀行に行くのにカッコつけてこの「Nothing」で出かけました。すぐ着きますが。

実は、わたし昔からブドウ蔓の買い物かごを買うか買うまいかで悩み続けております。

なぜ悩むかといえば見た目と裏腹な値段の高さと機能性に悩むんです。雨にも困るし中身は丸見えだし等々本来それこそ近所に野菜や豆腐を買うためのものですし値段もそんなには高くはなかったはずですから「妥当」だったわけです。

しかしいつのまにか贅沢品になり一生使える物であり、なにより風合いがすばらしいという美術的価値が出来て、「買い物かご」なんて簡単に呼べないものになりました。

しかし今日「近所に行くのに持って行ったこのカバン」を見ていて一脈ブドウ蔓の買い物かごと通じるものを感じたのです。

この潔く口が開いたカバンは気になる人は気になりそうだし、雨には強くないし、中に小分けのブロックもありません。

しかし、中に入ったものを確認しやすいし取り出しやすい。という利点を言うつもりもなく。ただただこの「風情」を手に入れるために色々な「便利」を捨ててここにあります。

わたしのデザインは常に「不完全」と共にあります。

秋田道夫
2023/2/14

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