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自分の聞こえを把握すること

みなさん、こんにちは!
岩尾です。

さて、今日は、「自分の聞こえを把握すること」についてですが、これについては就職する上で必要というだけではなく、学校生活でも社会生活でも必要になることです。

なぜかと言いますと、配慮のお願いをするときに、自分の聞こえがわかっていなければ、配慮のお願いができないからです。

となると、面接時にも明確に言えなくなるので、企業側も判断しづらくなります。
こうなると、他によっぽどプラス材料がない限り、採用は見送ろうかとなってしまいます。

もちろん、面接だけで100%その人のことがわかるわけではないですが、難聴となると、企業は気になるところです。
そこが曖昧だと、無理して採用するケースはあまり期待できません。

「筆談でお願いします」
と言うだけならもちろん誰でも言えますが、大切なのは、自分がコミュニケーションがとりやすく、かつ、相手も対応しやすいことです。

「筆談で」
だけになると、全ての会話を筆談ですることになりますから、
「面倒だ」と思う人は必ず出てきます。
そうすると、「採用しない方がいいかな」となることもあります。

もしくは、「筆談でOK」を安易に捉える企業もあります。
法定雇用率を達成したい企業は、「筆談するだけで済む障害を持つ人」を採用すれば助成金も入って、仕事も普通にこなせて万々歳だと難聴者を歓迎する現状も実は聞いています。
でも、それで実際に採用した後、当然、「筆談するだけで済む」なんて簡単なものではないので、こんなはずじゃなかったと言い出すケースも実は結構あるんです。
それで辞めさせられることはないでしょうが、ほしい配慮は得られませんし、お互いわだかまりが残ってしまいます。

こんな勝手な話は腹立たしいですが、これも、
「筆談ならわかります」
だけしか伝えていなかった場合、企業側の認識は担当者ごとに違っていて、おそらく難聴のことを知らない人からすると、非常に簡単に考えてしまうことも多いはずなんです。

一般的に、難聴は軽く見られがちです。
でも、就職の時は、聞こえないからと任せられる仕事はあまり多く用意されていません。
何て理不尽な扱いなんだとこれも本当に腹立たしいですが、なぜか、全般的にそのようなイメージで定着してしまっているところがあります。

でも頭にきているだけでは解決しません。
こちらができることとしましては、やはり、自分の聞こえを把握して、相手にお願いしたい配慮を正確に細かく伝えることが大切です。

ただし!

これは、伝えるタイミングがあります。
面接のときに事細かに言い過ぎると、面倒だと思われて不採用になる可能性もあります。
このあたりの、いつ、どこまで言うか?については、かけはしの就職活動セミナーでお話ししてますので、よかったらぜひご参加ください。
まだ日程は決まってませんが、決まったらご紹介します。

ということで、自分の聞こえをしっかり把握することは大事ですが、問題は把握の仕方ですね。

中途失聴なら、どのくらい聞こえてないかがわかります。
だから、こうしてくれたらわかりやすいということは考えやすいです。

でも、先天性難聴や、幼くて記憶の無い頃に難聴になった人たちは、そもそもどのくらい聞こえてないのかがわかりません。
だから、ものすごく聞こえにくい状況でも、それが普通だと思ってしまいます。

ここは、聞こえる人と協力して、こうやったら聞こえやすい、読み取りやすいという実体験をして考えていけるといいかなと思います。

そして、中途失聴の場合は、聞こえの把握はしやすいですが、聞こえないことを受け止めるのが難しいことがあると思います。

聞こえないことを受け止められなければ、配慮のお願いもできません。

お願いをしなければいけないというわけではないですが、双方の協力がないと、やはり聞こえに関してはコミュニケーションは取りづらくなります。
そして、一般の人たちは、言われなければどうしたらいいかわからないことが大半です。

だから、こちらから言う必要があるわけです。

とはいえ、受け止められていない時にはなかなか言えませんから、そんな時は、まずは受け止めることかなと思います。
全部でなくていいと思います。

簡単に言うつもりはありません。
人それぞれいろんな背景があります。

でも、もう少し、平常的に聞こえに関してもっと寛容である風土があれば、もっと受け止めやすいのかなとは思います。

本当に、難聴については、一つのことを考えると、いろいろと派生してより多くの事を考えることにつながります。

良し悪しではなく、聞こえっていろんなところにつながってるんですよね。

もちろん、聞こえることだけでなく、伝わることなので、手話についても同じです。

「手話しかわかりません」だけでなく、
こういう場合は筆談でわかる、こういうケースは手話通訳がほしいなどと、細かく共有することが大切かなと思います。

手話が第一言語でも、口話を少しできる人はいます。
でも、口話をすると、「しゃべれるんだ」と、手話などのフォローをしてもらえなくなることもある。
それだけじゃなく、口話だけしかしてくれないのに「あいつはわかってない!」とか低評価をされることさえあります。
だから口話はやめたという人はすごく多くいます。

これも非常にもったいないなと思うんです。

別に口話をした方がいいと言ってるわけではありません。
本人が口話をしてもいいと思っているなら、しっかりと細かくコミュニケーション方法を共有することで、お互いが過ごしやすくなるわけです。
それを会社側が壊してるわけですね。
だから本当にもったいないなと思います。

お互いが歩み寄ってコミュニケーション方法を考えることがすごく大切だし、それは普通の事であると思うし、それができれば、お互いにもっと良い日々になるはずなんですよね。

そんな難しいことを望んでいるわけではありません。
まずは、
ちょっとした協力、
ちょっとした工夫
なんです。

そこを拡げていきたいなと思っています。

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