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難聴学級の目的

皆さん、こんにちは!
岩尾です。

さて、今日は、そもそも、なぜ難聴学級に通わせるのか?
難聴学級の目的についてお話しします。

今までも折に触れて話してはいますが、改めて言うと、
「勉強環境を整えるため」
です。

難聴児は、当たり前ですが聞こえにくいわけです。
当然、人が多い場所では、騒音も大きく、聞こえにくい環境です。
もちろん、みんなが黙っていれば静かですが、小学生ではなかなか難しい現状はあります。

ロジャーなどのワイヤレスマイクを使っても、聞こえる人と同じようには聞こえないので、聞こえにくいことは変わりません。

そして、先生は聞こえる子を基準に話していくので、間違いなく聞き取れない言葉が出てきます。

それは当然聞き直していいのですが、おそらく頻発するはずで、子どもの方が聞き直しを諦める可能性が高いでしょう。

つまり、授業を把握できるかというと、かなり厳しい状況があると思います。

なので、少人数クラスにして、音自体を抑えて、先生も少しゆっくり目に話して言葉を理解できるようにする。
それでも、もし聞こえなかったら、少人数なので聞き返しもしやすい。

特に小学校での国語や算数は少人数クラスでしっかりと勉強の基盤をつくることができます。

この部分をしっかり整えたいという場合に、難聴学級を選ぶわけです。

言われてみれば当たり前のことですよね(笑)

なぜ僕がこれを改めて話したかと言いますと、就学相談時に、この目的をごちゃごちゃにされてしまうことが非常に多いからです。

就学相談で一番多く選択されるのが、「通級教室」かなと思います。

通級教室と難聴学級は全く違います。
やることも違いますし、目的も違います。

通級教室は、療育をする場所です。
基本的に勉強はしません。
(基本はですよ。いい意味でも悪い意味でも勉強してる例もあるようですが)

療育というと、聞こえと言葉の訓練ですね。
発音練習とか、言葉の意味の把握とか、そういうことをするわけです。

難聴学級とは、全く目的が違います。

あ、ちなみに、難聴学級では、「自立」という時間があって、そこでは、療育的なことはします。
ただ、大きな特徴、特性は、勉強環境を整えることです。

通級教室に通っても、学校の勉強環境は整えられません!

当たり前ですけどね。

ところがです!

就学相談時に、なぜか、難聴学級と通級教室、どちらかしか選べないんです。

これをおかしいと思う人に僕はほとんど会ったことがありません。
発達教育センターにも言ったことはありますけど、理解できなかったようでノーコメントでした。

いえ、これ、おかしくないですか?

難聴児にとっては、
・勉強環境を整える
・療育をする

この両方が必要です。
少なくとも小学校では必要でしょう。

なぜ、一つしかとれないシステムなんですか?

車を買いに行って、
・タイヤか
・ハンドルか、
どちらかしか付けられませんが、どちらを付けますか?
って言われてるうようなものだと僕は思うんです。
どちらも必要でしょう!って話ですよね。

なので、難聴学級を選択した場合、療育先を別途確保しておく必要があります。

この話はまた別途詳しくお話しします。

勉強環境を整えるための、難聴学級以外の選択は、生活支援員をつけてもらうぐらいしか今のところ思いつかないですが、この生活支援員は、必ずつけられるわけではありません。
応募してくれないとついてもらえない状況です。
これも言いたいことは山ほどありますので、また後日。

このような状況なのに、就学相談のときの心理士や、関係者の人たちも、この辺のことをわかってなくて、進路相談時、難聴学級を特に新設申請したりすると、
「もし新設できなかったときのために、第二希望を書いといた方がいい。通級教室を第二希望にしとこう」
なんて言い出すんです。

「はあ?うちの目的わかってます??」

とは言いませんが(笑)、目的がわかってないんです!
全くもっておかしな話で、システムがおかしいのは置いといても、なぜ進路相談の場で、目的を話さず、手段の選択だけの話をするのか、サッパリわかりません。

つまり、就学相談時に、
第一希望:難聴学級
第二希望:通級教室
というのは、目的を考えてない選択と言えます。

もちろんですね、
第一希望:難聴学級+難聴特化放課後等デイサービス
第二希望:通級教室+生活支援員
ならあり得ますね。

また、地方では療育をする場所がないところもありますので、そうなるとなかなか難しい選択になる場合はあります。
これは、また別の問題となりますが、どの地域でも難聴児に必要なサポートは受けられるようになるべきです。

基本は、
・勉強環境を整える
・療育をする
この2つが必要なんです。

タイヤがなきゃ車は動きません。
ハンドルがなきゃ車を運転できません。

どっちも必要なんですよ。

こんな当たり前のことを、なぜ今まで誰も指摘してない?
いや、したけど全然わかってなかったですもんね。
これは、僕は猛烈に異議を唱えたいんですけど、僕がおかしいんでしょうかね?(笑)

難聴学級は、勉強環境を整えるために選ぶ
もしダメなら、今のところ生活支援員さんをつけるぐらいしかないが、これはこちらでコントロールできない。
よほど条件が合えば、難聴ではない特別支援学級という手もあるけど、これも条件が合うのはかなり稀なので選びづらい。

難聴学級だけを考えるのではダメ。
必ず療育をどこでするのかとセットで考える

地方によっては、一つしか取れないこともあるかもしれない。

何のために難聴学級はあるのか、ぜひ覚えておいてください(^^ゞ


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