逆襲からの襲来(広報編②)
鳴らないメール。
「難聴の子を持つ家族会そらいろ」でプレスリリースを出して数日後。メディアからの連絡はありませんでした。あるのは、岩尾からの「河原さん、まだ連絡来んね~」のLINEだけ……。企業広報は経験がありましたが、任意団体の広報活動は未知の世界。現実は思ったより甘くありませんでした。
仕事の傍ら、難聴理解促進のために広報活動は必要だと自ら手を挙げたものの、予算もなければ、広報として大したキャリアもない。なんとかせねばと本屋に向かったところ、ある本の一部に目が釘付けになりました。
「逆襲」。
正に、当時の気持ちそのものでした。この『小さな会社 逆襲の広報PR術』には、中堅・中小企業やベンチャー企業の広報PRに特化して取り組んできた野澤直人氏(株式会社ベンチャー広報・代表取締役)が蓄積してきたノウハウが極めて具体的に書かれています。
特に「第4章 ゲリラ的広報PR秘蔵ノウハウ50連発!」は必見です!
本書に感動したあまり、野澤氏が福岡で開催したセミナーへも参加しました。当時まだ名刺すら持っていないのに、名刺交換をしてくれた野澤さん。あの時のあたたかい言葉をはっきりと覚えています。
私「最近始めたばかりで、まだ名刺が無いんです……。」
野澤さん「SNSはやっていますか?」
私「すみません、疎くてやっていません」
野澤さん「SNSをやっていない広報というのも、新しいかもしれませんね笑!」
無能だった私に、広報のスキルやマインドを授けてくれた素晴らしい本の著者である野澤さん。実に素晴らしいお人柄なのです! たまにオンエア連絡などを差し上げるのですが、あたたかいお返事をくださいます。約3年近く前に一度しか会ったことがないセミナー受講生に、いつも変わらぬ丁寧な文面……。ありがたくて仕方がありません。
メールの一言一言が、自分にとってはエール。
「また広報活動頑張ろう!」という原動力そのものです。
話を戻します。
『小さな会社 逆襲の広報PR術』を読み終えた頃、何やら勇敢な気持ちがふつふつと湧いてきました。この本に書いてあるメソッドを、諦めずに続けてみよう。
気持ちを奮い立たせ、以前お世話になったことがあるメディアの方に連絡をとってみました。一度スルー(プレスリリースで反応なし)されているから無理だろうなと半ば諦めながらあれこれ話をしてみました。
「わかりました。まず、家族会の見学に行っていいですか?」
え……。興味持ってもらえた、ってことだよね?
見学に来ていただいたことをきっかけにどんどん話が進み、取材が決まりました。取材当日の日曜日、ドキドキの朝です。
さあ、取材会場に行こう! と、当時年中の長男・2歳の次男とバタバタ支度をしていたところ、電話が鳴りました。
「西日本新聞です。本日、これから取材にお伺いしたく思います」
この時ばかりは、嬉しさよりも心配が上回りました。
「久々の取材対応なのに2社なんてさばけるの自分? しかも子ども2人が周りちょろちょろしてる中で?」
会場に着くと、TV局の自宅取材を終えた岩尾からあるものを渡されました。「河原さん。名刺、使って!」
広報という仕事に、華やかといったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ひとり広報の取材デビューは、華麗どころかカオスでした。
(続く)
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