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難聴学級小6向けキャリア学習講座!

皆さん、こんにちは!
岩尾です。

今日は、難聴学級の小学校6年生向けのキャリア学習講座に行ってきました!

小学校や中学、高校、大学もですが、キャリアの勉強をする時間を取りなさいとカリキュラムで決められています。

キャリアというのは、仕事に焦点を当てた人生全体のことで、将来の仕事に対する考え方や仕事の選び方などを身に付けていくものです。
小学生でもこの時間はあるんですが(何年生からかはわかりません)、小学生は、仕事に向き合うきっかけを作ることが大切だと思います。

そして、仕事を考える上で最も大切な本質を知ることですね。

特別支援学級でも、キャリア学習に何時間か振り分けられているようで、その中の3時間をいただき、ゆったりとキャリアについて一緒に考えてきました。

特に難聴児のキャリアを考える上では、「自分の聞こえの把握」が非常に重要です。
セルフアドボカシーというやつですね。
自分に必要な支援を把握し、相手に依頼できること。
難聴児特有のキャリア学習です。(他の障害を持つ子どもたちにも必要ですね)

この部分をやろうと思ったら、難聴学級でないとできません
通常クラスで、自分の聞こえの把握を考える時間は取れませんよね。
それが必要な子は難聴の子だけですから。

そういう意味では、難聴学級の大きなメリットの一つと言えます。

さあ、今日のカリキュラムは、難聴学級の担任の先生と都度打合せをして内容を決めました。

1時間目:仕事って何かを知ろう!
2時間目:私の持ち味を知ろう!
3時間目:自分の”聞こえ”を知ろう!

持ち味とは、長所のことです。
これは、本人が自信を持ってないようなので・・・ということで取り入れました。

聞こえの把握は、先生も中学を見据えて必要だと感じていました。
そして、仕事についてもなかなかイメージが持ててないのと、やはり難聴ということで、既に自分に制限をかけているフシがあるということで、可能性はもっとあるんだよということを伝える内容にしました。

仕事については、核となる本質を今日伝えました。
キャリア学習の中で、ほとんどの場合言及されないことだけど、最も大切な事。
これを知ってるかどうかは非常に大きい。
聞こえる人もこのことを学ぶ機会はほとんどありません。

それを知ってもらえたことは良かったですね。

そして、持ち味。

今回は、ストレングスカードというカードを使いました。
自分の持ち味って、自分では気づきにくいです。
さらに、大人でも、いきなり長所を聞かれてサッと答えられる人って少ないです。

どんな言葉で表せばいいのか?
小学生ならなおさらです。

それで、カードを使って選んでもらいました!
このカードは、持ち味を絵でも表しています。

やってみると、最初、安易な言葉を選んでいたので(笑)、
「まだ一杯あるからもうちょっと探してみたら」
と促すと良く読みだして、実に納得の1枚を選びましたよ!

そして、今日は、何とお母さんとお兄ちゃんも見学に来てくれていたので、有難くお力お借りしました(笑)

お母さんと、お兄ちゃん、先生にも選んでもらいました。

持ち味って、他人から言われるものって、自分では気づかないけど、的を得てるものが多いです。

何と、お母さんと先生がかぶってしまうという!
つまり、その力は非常に強く出ているということですね!

で、先生は違うものを別に挙げてくれました。

合計4つ出ましたけど、本人に聞くと、
「確かにあるなと思う」とのこと^^

明確なものを提示すれば、しっかり認識できるんですね!
自信なさげなんて感じは一切なく(笑)、自分のいいところを確認できたのかなと思います。

そして、聞こえの把握。

まず、本人は自分の聴力を知らないことが多いです(笑)

それもそのはず。
聴力は親が幼い頃から把握してます。
親も、ある段階に来たら子どもに伝える必要があります。

自分の聴力を把握して、相手に伝えられるように。
この時、50dBですとか言っても、普通の人はわからないんですよね。
なので、どのくらいの音なのかというのを言えるようにしました。

そして、授業を受けやすいように、会話がしやすいように、自分ができることと、相手にお願いしたいこと。
これを一緒に考えました。

実は、4時間目は交流クラスで「難聴を知ろう!」講座でした。
そこで、みんなに伝えてみようか?と促しました。

お願いは嫌だったようですが(笑)、自分の聞こえがどのぐらいなのかは伝えてみるということで、しっかり伝えられました!
これ、すごく大事ですね。

お願いは、前にクラスでは言ってるようでした。
だから何度も言うのが嫌だったのかもしれないし、なぜかまでは聞きませんでしたが、お願いを言ってみる?と聞いて、ちょっと黙ってしまった時、お兄ちゃんが、「わかるよ・・・」と言ったのが印象的でした。

実はお兄ちゃんも難聴です。
だから、わかるんですね。

僕には推測でしかわかりませんが、この「お願い」をなかなか言えないというのは、社会のシステムの問題、社会の雰囲気の問題が大きいと思うんです。

日本人はもともと謙虚な民族ですが、謙虚も使いどころがあります。
いわゆる、「聞こえないから、こうしてほしい」ということは、ごくごく自然なことです。

でも、多くの人は、
「迷惑がかかるかな・・・」
「あまり言い過ぎても・・・」
「普通にいければ、その方がいい」
と思ってしまうことが多いかもしれませんね。

「迷惑がかかるかな・・・」
⇒迷惑じゃないです!言っておいた方がやりとりがスムーズになってお互いにとってもいいことです!

「あまり言い過ぎても・・・」
⇒言い過ぎじゃないです!そもそもまだ何も言ってないんじゃないですか?言ったことがあるとしても、難聴の場合、細かく言うべきことは一杯ありますが、それは、スタートラインに並ぶためのことです。
スタートラインを超えた位置に並ばせようとしているんじゃありません。
極めて正当なことです。


「普通がいい。地域の小学校に来たんだから、みんなと同じ、普通がいい」
⇒普通って何ですか?難聴児は聞こえないんです。最初の時点で普通の状態ではないんです。みんなと同じ条件だと聞こえなくてヌケモレが必ず出て、勉強もできない部分がでてきますし、友達との会話もうまくできなくなります。お互いの協力があれば、お互いにやりとりがスムーズになるし、勉強の理解だって進みます!配慮のお願いをして、協力してもらって、普通の状態になるんです。

必要なことをお願いするのは大切なことです。
そして、頼んだことをやってもらったのであれば、「ありがとう」を伝える。

聞こえる、聞こえないにかかわらず、生きる上で大切なことですね。

聞こえないがための配慮をお願いするのはごくごく自然なことなんだけど、だからといって、やってもらったことにお礼を言わないのは違いますね。
ことによれば、毎回毎回言う必要はないですけど、タイミングを見てやはり感謝は伝えるべきですね。
人として当然の振舞いだと思います。

こういうことも、小学生の内から考える機会があるといいですね。

こちらが権利を振りかざして命令するわけじゃないんです。
必要なお願いは自然に言っていいことなんです。

難聴学級でキャリア学習をすることで、難聴に特化した内容ができる。
これは大きな魅力
ですね。

難聴児に関して言えば、難聴のことを考慮しないで考えるキャリア学習は、中身のない学習になってしまいます。

仕事には、「聞こえづらい」事実は必ずついてきます。
それを踏まえて考えていかないと、現実的ではないし、そもそもどう考えたらいいかわからないまま、形だけで終わってしまうことになります。

でも、「聞こえづらいこと」を踏まえての考え方がわかっていれば、現実的に考えていけます。
現実的にというのは、枠にはまって考えることではありません。
聞こえない事実を踏まえた上で、可能性を拡げて考えていくことです。

難聴のことと、キャリアのことがわかる人はかなり少ないと思いますが、そこに、僕の存在価値はあると思いますし、難聴学級でないとできないカリキュラムなので、そういう意味でも、難聴学級の存在価値がありますよね。

今日は、本人、よく考えていたと思います(笑)
キャリア学習は考える学習です。
答えが出なくてもいいのでまず考えてみること。
そして、正解はないので、何でもいいので言葉にしてみること。
ぐちゃぐちゃになって、途中でわからなくなってやめたっていいんです。
そこまで考えたことが大切。
それは次の種になるんです。

今日は、本当にやれて良かったなと思います。
本人の本音の感想は聞いてませんが(笑)、何か本当に役に立ったなと思ってもらえれば嬉しいですね。

そして、冬には職場体験があります。
今日、仕事の本質を知ってもらいました。
それを踏まえて職場体験をするから意味があるんです。
でも、ほんとんどの人ができてないんですね。

彼女はきっといい職場体験になると思います。

本当にこのプログラム、多くの難聴学級に拡げたいですね!

あ、ちなみに、ろう学校でもできます。
ろう学校や難聴学級に拡げたいですね。

児童・生徒向けは交通費実費のみで伺いますし、オンラインもできます。
(本当はリアルでやるのが一番ですが・・・)
下記よりぜひ、お気軽にお声がけください!

https://www.kotoba-bridge.org/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/


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