何かに属さず、ありのままで・・・
自分をどこかにカテゴライズして、そこに属さない人を批判するのが好きな人は現実にもSNSにも一定数いる。なぜ、そんなに他人を枠の中にはめたがるのか?ずっと不思議で仕方がない。
私は26歳で結婚した。当時は30歳までに結婚する人が多かったので、ちょっと早いくらい。フランス留学から帰国した24歳のときから、まだ就職も決まっていないのに親に「早く結婚しろ」と言われ、それが嫌で自分は結婚したくないと思っていた。結婚したのはたまたまに過ぎない。
なぜ人に言われて結婚しなければいけないの?
次にきたのは「子どもはまだか?」の周囲からのプレッシャー。2人で働いてお金を貯めたいから、少なくとも3年は子どもを作らないつもりでいた。なのに、周りは「子ども、子ども」とうるさい。本当に余計なお世話だ。
私より遅く結婚し、先に出産した友人は、勝ち誇ったように(見えただけかもしれないけど)「早く産みなよ」と言う。
夫婦で決めることなのに、なぜ周りに言われて子どもを産まなければならないの?
うるさい周囲を黙らせたくて、私は初めて妊娠したとき、まだ初期の段階にもかかわらず妊娠を報告した。ある友人からは「えー?まだ妊娠してないの私だけじゃん。ずるい」と言われた。いや、ずるいも何も授かり物なんだから、順番なんて関係ないのに。
なぜ、出産までみんなと足並みをそろえなきゃいけないの?
結局、私は流産してしまった・・・その後、友人は私よりも早く出産した。でも私は「ずるい」なんて思わない。
それから妊娠と流産を繰り返して4年が過ぎた。結婚して8年目、子どもはいなくてもいい、このまま子どもができなければ夫婦で生きていけばいいと話し合った直後に4度目の妊娠。正直、無事に生まれてきてくれるなら、男の子でも女の子でもどちらでもよかった。
なのに、安定期に入ってから始まったのが「男の子のほうがいい」「女の子のほうがいい」という周囲の不毛な会話。
性別に優劣をつけても仕方がないのに、なぜどちらがいいと決めつけたがるの?
切迫早産で入院し、いろいろあったものの無事に出産。産んだら産んだで、今度は「母乳で育てろ」のプレッシャーがやってきた。最後まで混合で育てたが、親世代の「私は母乳が出て大変だった」話にはウンザリした。
なぜ、母乳育児がいいと押し付けたがるの?
また、産後しばらくして、母に言われたことは今でも忘れない。
「お母さんはずっと友達の孫自慢に耐えてきた。ようやく私も孫の話ができる」
別に母のために産んだわけじゃない。母に申し訳ないという気持ちにはなれなかった。
なぜ、孫がいないと友達と付き合えないの?
他人に自分の生き方をとやかく言われる筋合いはない
結婚していようがいまいが、どっちでもいいのに。
子どもがいようがいまいが、どっちでもいいのに。
母乳だろうとミルクだろうと、子が育つならどっちでもいいのに。
どちらかに属しているのは、ただの偶然。
それなのに、どうして属していないほうを批判するの?属さないことに肩身の狭い思いをしなきゃいけないの?
こんな思いを抱えて生きてきたから、私は誰かに対して「結婚したほうがいいよ」だとか「子どもがいると幸せだよ」だとか、誰かを何かの枠にはめるような言い方はしないようにしている。
逆に、そうやって枠にはめようとする人とは距離を置く。
同性愛者の友人がカミングアウトしてくれたときにかけた言葉がある。
「あなたはそのままのあなたでいい。男だから女だからという理由で付き合っているわけじゃない。人として魅力的だから友達なの」
このnoteを読んだ人にも同じ言葉をかけたい。
「どんな人生を歩んでいようとも、あなたはあなた。人生に勝ち組も負け組もない。だから、何かに属していないことを苦しまないでほしい」
私がかけられた言葉の数々に悪気はなかったのかもしれない。だけど、人を傷つけることもある。
その人のありのままを認められる世の中でありたい。
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