ひとりかくれんぼ

きっと夢中だったんだ
あなたを好きな気持ちに
埋もれていたんだ
あなたが見えなくなる程

嫌いな煙草と香水も
甘く香るほど麻痺した嗅覚

『もぅいいかい』あなたに尋ねる
『まだだよ』を待っても
『もぅいいかい』何度尋ねても
『もぅいいよ』を待っても
あなたに届かない　ひとりかくれんぼ


そうね呆れる程にさ
あなたを好きな気持ちが
先走ってたんだ
周りが見えなくなる程

剃り残した髭も左指の硬さも
愛しく思うほど麻痺した感覚

『もぅいいかい』あなたに尋ねる
『まだだよ』を待っても
『もぅいいかい』声にならない程
『もぅいいよ』を待っても
あなたは応えない　ひとりかくれんぼ


終わったはずのかくれんぼ
懐かしい香りと声に呼び戻される

『もぅいいかい』私に尋ねる
『まだだよ』は聞こえない
『もぅいいかい』これで終わりと
『もぅいいよ』で終わろう

『もぅいいかい』あなたに尋ねる
『まだだよ』が無いのなら
『もぅいいかい』最後に尋ねる
『もぅおわり』って言ってよ
抜け出せないままの　ひとりかくれんぼ