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7月15日(木) ゴミ捨てと梅雨の月

 昨年からゴミ捨てに次男(五歳)と娘(三歳)がついてくるようになった。置いていくと泣く。何が君たちを駆り立てるのだ。

 梅雨の時期を迎え、道ばたでカタツムリを見かけることが増えた。彼らは白いガードレールの上にいることが多く、そういうものたちは見つけやすい。五歳が見つけると喜んでつつき、落とす。

 雨は続く。晴れの日もある。ガードレール上でカタツムリを見かける日も見かけない日も経験した。夜の内に雨が降り、朝は晴れた昨日、五歳が言い出した。

「カタツムリいないねえ」
「いないねえ」
「どうしていないのかなあ」
「どうしてかねえ」
「そうだ、ひょっとして、これ(ガードレール)がベタベタしてるからじゃない?」
「そうかもねえ」
「ベタベタしてると○△×□してくっつけないからいないんじゃない?」
「そうかもねえ」
「じゃあベタベタしてない日に見てみたら、カタツムリいるんじゃない?」
「そうだねえ」

 驚いた。
 五歳が問いを立て、経験を蓄積してデータ化し、データを比較検討して仮説を導き出し、今後検証する意志を示した。しまじろうか、それとも辞典付属のDVDの影響か。
 ともあれ息子の科学が始まった。喜ばしい。

 点Pになる日を胸にまっすぐに白き壁ゆくカタツムリの子


☆ ☆ ☆

 『玉葉和歌集 (上)』。Twitterで明治書院さんが在庫僅少だと脅していた。いつかは買うつもりだったから、hontoで購入した。今夜はその夏の部を読む。さすがにホトトギス以外にも題材が多くて楽しめる。

晴れやらぬ雲より影は洩らねども月夜はしるし五月雨の空
                 (367 平宗宜朝臣)

 梅雨の時期の夜空に雲は浮かび、月の姿は見えやしない。それでも月夜であることは分かるくらい、空が明るい。

 月は隈なきを見るものかは、と兼好法師は語ったけれど、だからといって姿がまるきり見えない景色まで想定していただろうか。さすが京極派。

すっきり晴れない
雲から月の光は
漏れてきやしないけれど
月夜だってことははっきりと分かる
この五月雨の空にも、ね




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