2021年1月16日
一年で一番しんどい時期を終えました。疲れがどんよりと身体を浸しています。
三日振りに子どもたちが起きている時間に帰ってきました。ドンジャラをして、絵本を読んで、寝かしつけます。すると2歳の娘が、パパと寝ると言います。
パパの抱っこに揺られながら、調子っ外れのお歌を聴いて寝るのが大好きなのです。今晩は「なごり雪」「海の声」「時代」「ハナミズキ」を歌ったところでようやくうとうとし始め、握ったキリンのぬいぐるみを放しそうになりました。
ここでキリンさんを落とさせてしまえば、火がついたように泣き出します。僕はキリンさんを娘にくっつけつつ、僕の肩が娘の枕になるように体勢を調整しつつ、「異邦人」を歌います。
寝ました。今夜は30分ほど。
疲れ切った身体を励ましながら、背中をトントン、トントン。
最高に幸せな時間です。
梅が枝に ふりつむ雪は うぐひすの 羽風にちるも 花かとぞ見る
(『千載和歌集』17 左京大夫顕輔)
梅の枝に 積もった雪が 鶯の 羽ばたきに散る まるで花だね
梅の枝は細いもの。その枝に雪が積もっています。きっと軽い雪です。そしてほんの少量だったことでしょう。
鶯の声を聞けば、梅と戯れるその姿を見たくなります。そして人が気配を発すれば、鶯は逃げます。その鶯の小さな羽風に、梅の枝にのる小さな雪塊は吹き散らされたのでした。
鶯の羽風に散る雪を描いた和歌には、先例があります。
鶯の おのが羽風に 散る花を たれにおほせて ここら鳴くらん
(『古今和歌六帖』)
自分の羽風で散った花を惜しんで嘆く鶯。
その鶯を慰めるかのように。今度の羽風は花を散らすのではなく咲かせたではないか、と誉めるように。
顕輔は歌うのでした。
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