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【第123席】あかね噺感想

 ついに真打登場!
 の前にふと思ったことをば。「同業の芸を客席から観るのは御法度」以前、あかね、落語が身近過ぎて逆に客席から観ることがなかったのかな。あるいは幼すぎて覚えていない、もしくは幼すぎるから連れていけない、もしくは父が父ゆえに連れていかれることはなかった、理由は色々考えられそうです。ただ、あかねの場合父が弟子入りしたから信用はある前提とはいえ、一般的に弟子入りする際って高座見てからあっこの人こそはわが師匠!みたいになるものかな?って思いまして。まさにまいける兄さん、嘉一さんのパターン。ただ、ひかるは絶対そうじゃないパターンだし、魁生兄さんみたいに元々知り合いの例もあるか……。

 以上、脳内整理メモのお時間でした。
 さて、師匠の自然体の顔のアップ見開き、あかね噺の人物の描写で一番大きく描かれているかな? 存在の大きさでもあるだろうし、頼もしいシーンでした。
 そして噺本編。これはあれですか、あかね噺に影響を受けて噺家さん調べなどしていて色んな所で目にした演目『死神』ですか。最後のコマのろうそくもきっと関連してくるんですよね。
 もう一つの見開き、日本風の死神の姿、新鮮だなぁって思ったんですけど、逆にそこをポンと出すことで、私みたいな落語にわかでもきっちり世界観を共有してくれる、師匠すごい。

 (後ろ姿先代に似せてる?)
 約20年前の記事、筆者は学問先生なのか否か……。それは置いといて。
 私の個人的なこだわりというか、スタンスの話になってしまうんですけど、「人を動かす」仕事・職業ってすごいよね、って思いながら日々を過ごしているんですよ。実際に、人を運ぶ仕事、指示や誘導を与える仕事は言わずもがな、何かを買わせたり、移動させたりするきっかけとなる仕事、心を動かして行動を起こさせたりする仕事。当てはまらない仕事はあるのかというと難しいですが、きっと阿漕な商売けったいな仕事なんでしょう。志ぐま師匠は、これだけのお客さんの心を動かして集めている、この理屈でいくともちろん「すごい」に分類されるわけですが、火災報知器誤作動の事件の『落語で人を殺せる』。
 本来なら避難させないといけないし、普通ならお客さんが勝手に避難する。けれども志ぐま師匠の高座がお客さんをつかんで離さなかった。人を動かないように動かすという言い方もできなくもないですが、「人を動かさない」すごさもあるんだなって感じました。

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