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セパレブミニストーリー

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セパレイトブルーの物語のほんの片隅に。
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石橋家探検隊

石橋家探検隊

 鶴戸ふらんは、現在、重要な任務の真っ最中だった。
「用意はいいか?」
 ふらんの作戦行動の水先案内人をつとめる人物が低い姿勢のまま、声をひそめて確認する。
「……ちょ、ちょっと待ってよ、トンビ先輩」
 言った瞬間に、ふらんはその人物に小突かれた。
「いたいよ」
「俺の名前はトンビじゃねぇ、トビオだ。何度も言わせんな」
「い、イエッサー。トビオ君」
 ここでパートナーの信頼を失ってはまずい。ふらん

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昨日の夢と明日の予感

昨日の夢と明日の予感

 とある日曜日の朝、鶴戸美粋はいつもより早く目を覚ました。
「♪腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動から……」
 ピアノの前奏とともに、ラジオから紳士的な掛け声が響き渡る。彼女の妹のふらんが庭で体操をしているのだ。
 いつもよりも早く美粋が目覚めたのは、別にラジオの音が大きかったからではない。
 いつの頃からか夏休みでもないのに、朝の体操をすることが彼女の妹の日課になっていた。時間があるなら一

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