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上場グループ元経理担当者がフリーライターに。確定申告まで、“できる限り手を動かさない”ための10の工夫 #PR

※本記事は、​​Adobeの企画「僕と私の確定申告」にて提供します。

つらいですよね……確定申告。

何がつらいって、頑張ってやっても、褒められない。確定申告書を提出しても「え、これで終わり?」と拍子抜けしてしまうほどあっさりしている。合っていたのかどうか、手応えがない。

かと言って税理士さんにお願いすると、やはり相応のお金がかかる。次の仕事の保証がないフリーランスにとって、できることなら出費は抑えたい。

そもそも、仕事があるのに確定申告をしなければいけないことが、なんかムカつく。AIが文章だって書ける時代に、なぜいまだに手作業で集計しているのか……。

そんなモヤモヤを抱える方に向けて、私の経験をお伝えします。私は上場グループ企業で経理職になり、日商簿記検定は2級まで取得しました。その後、フリーライターになってから、経理の経験を活かして確定申告や日々の経理でいろんな工夫をしてきました。

重視しているのは、「正確で楽」であること。

「正確」=「抜け漏れを生じさせないこと」
「楽」=「できる限り手を動かさないこと」。

根本的な複式簿記の考え方は、上場グループ企業でもフリーランスでも同じです。ただ、フリーランスの経理は自由度が高い。例えば、四半期決算はしなくてもよく、年間を通した数字を正しく申告できればOKです。その分、手を動かさず楽をするところを見極め、なおかつ正確性を担保する必要があります。

それでは、合理的に経理を進めて確定申告を完遂するための10の工夫をご紹介していきます。少しでも参考になれば嬉しいです。

事前の準備編

①銀行口座とクレジットカードを分ける

フリーランスになりたての頃、銀行口座やクレジットカードの明細を見て、頭を抱えました。どの出費が事業用で、どれがプライベート用だかわからない……。この振り分け作業には、かなりの時間がかかりました。

企業の経理よりもフリーランスのほうが面倒くさいところは、このように事業用とプライベート用の支出が混ざることです。

企業の経理では、全てが事業用の取引情報であり、営業部門や研究開発部門といった他部門の社員が情報をインプットしてくれます。でも、フリーランスは、まず自分がインプットしなければ始まりません。ここがブレてしまうと、正確な経理ができず、どんどんやる気をなくしていく原因になってしまいます。

そこで私は、事業専用の銀行口座とクレジットカードを作り、仕事に関する入出金はそれらへ集約する方法に変えました。これが徹底できていれば、「事業用?プライベート用?」と悩む必要がなくなります。

例えば、資料用の本を買うときは事業用のクレジットカード。スーパーで買い物をするときは、プライベート用のクレジットカード。仕事で振り込みをするときは事業用の口座。水道光熱費や税金の引き落としは、プライベート用の口座。これで確定申告時の作業時間を短縮することができます。

②事業用のレシートや領収書を入れるファイルを持ち歩く

これも最初は悩んでいました。レシートを財布やバッグに突っ込んでいると、いつの間にかなくなってしまう。そして、確定申告が終わってから出てくる。レシートをなくした分だけ、経費が減って、税金が増えます……。

バックパックにしまってあるレシート用クリアファイル
PCとレシート用ファイルをバックパックに入れて持ち歩く

そこで、仕事用に使ったレシートを入れる専用のファイルを持ち歩くようにしました。

仕事でカフェを使ったり、書店で資料用の本を買ったりしたとき、必ずレシートをもらってファイルに入れます。アナログですが、大事な心がけです。

③銀行口座・クレジットカードを会計ソフトに連携させる

事業用に分けた銀行口座とクレジットカードのみ、会計ソフトに連携させます。

私はfreeeを使っています。設定は簡単で、一度連携させれば、基本的には入出金があったときに自動で入力されます。

事業用とプライベート用が分かれていない場合、連携したあとの分別が大変なのですが、インプットをコントロールすることで、連携の強みがより発揮されるようになります。

日々の経理編

④タスク管理ソフトで「請求」「入金確認」の欄をつくる

請求漏れや入金漏れは絶対に避けたいものですが、本業に集中していると忘れがちです……。

ここは仕組みで解決。私は全ての仕事をタスク管理ソフトに入れてステータスを管理しています。ソフトはTrelloを使っています。

ライターの仕事で原稿を納品したら終わりではなく、「請求」「入金確認」まで見える化して追いかけるのがポイントです。

「請求」「入金確認」のリストがある
実際に使っているTrelloの画面

特に、「入金確認」は重要です。お客様側も、悪意がなくても処理ミスや認識の違いによって入金が漏れることはよくあります(企業で経理をしていたときにもよくありました)。

そこで、毎月末にTrelloの「入金確認」欄と銀行口座を突き合わせて、正しく振り込んでもらえているかチェックします。もし入金されていない場合は、当日か翌日にすぐ連絡を入れて確認をお願いしています。

⑤支払請求書は毎月30分だけの作業で振り込む

仕事の一部では、他の方と協力していて、外注費用を請求書払いで振り込むことがあります。最初は大変申し訳ないことに、ミスで支払いが遅れてしまうこともありました。

企業では支払い先が多くて金額も大きく、あらかじめ決められた業務プロセスに沿って処理する必要があります。ミスや不正を防ぐために、重要な仕組みです。

しかし個人事業主には決められた業務プロセスはなく、ミスなく楽をできればOKです。

今の私は、定期スケジュールを組み、振り込みの作業時間を毎月30分ほど確保するだけでミスをなくせています。毎月20日頃までに前月の請求書を送ってもらい、翌月末の前日までに作業時間を用意します。既存のお取引先の振込先はオンラインバンキングで登録してあるので、入力するのは金額と、新しいお取引先の口座情報だけで済みます。

ゆうちょ銀行の振り込み画面
登録済みの送金先口座は、選択して金額を入力

⑥売上と費用、粗利をざっくり管理する

面倒なので、月次決算はしていません。企業では、この月次決算をもとに経営の重要な意思決定がなされていくわけですが、私はざっくり把握するだけにとどめています。

というのも、取引数も少ないので、月次決算をしなくても粗利でプラス3万円程度までの精度を出せるからです。

売上は請求書の合計額でほぼ確定していますし、費用も請求書の合計額とfreeeに口座とクレジットカードから自動で入ってくるものを合わせればわかります。

ここに入ってこない費用は、Suicaで払ったカフェ代などです。いちいちクレジットカードで払うのが面倒なのでレジで電子決済してしまい、レシートを取っておきます。これらは金額が小さいので、確定申告時に一括で入力します。その他、家賃の家事按分などもまだ入っていませんが、フリーランスの意思決定には、ざっくりわかればOKと考え、楽する方を選んでいます。

確定申告編

⑦レシートや領収書を月ごとに分別する

年が明けたら、ファイルに集めておいたレシートや領収書を、月ごとに分別していきます。ここには、クレジットカードで払ったもの、Suicaや現金などで払ったものが混在しています。

クレジットカードで払ったものは、すでにfreeeに連携されているので、ざっくり確認したらレシートを保存して終了です。

freeeに入っていないものだけ、入力しています。この作業は、別の方にお願いしていたこともありますが、量が少ないので今は自分でやってしまっています。

12ヶ月分のクリアファイルとレシート
レシートは月ごとに分類

⑧昨年度からコピー&ペーストする

自宅の仕事部屋の家賃家事按分は、引っ越していなければ前年と同じ金額なので、コピペします。一部、資産の減価償却もあり、時期を確認して同じようにコピペしていきます。

これも、月次決算をしているなら12ヶ月分を分けて入力しなければなりませんが、私の場合は1年分をまとめて入力します。

ちなみに水道光熱費はこれまで家事按分していませんでしたが、最近は高いので次からちゃんと計算して経費算入しようかと検討中です……。

⑨支払調書の処理をする

私たちは源泉徴収によって所得税を前払いしているので、支払調書をもとにきちんと申告することで、還付金が発生したりします。

しかし、実は今、企業に支払調書の発行義務はありません。届いていないお取引先の分も、正しく申告しなければ、自分が損をします。

売上を見れば、取引先を一覧にできるので、まずお取引先ごとに支払調書が届いているかどうかを確認します。届いていたら、その内容を確認して転記するだけ。もし届いていなければ、請求情報をもとに計算して入力していきます。

⑩確定申告書を作って提出する

ここまで終われば、あとはいくつかの処理をして確定申告書を税務署へ提出し、終了です。

所得税はシンプルな仕組みなので、企業の法人税計算のような複雑すぎる計算がなく、「インプット」がほぼ全てです。このインプットを効率化することで、楽に対応することができます。

税理士さんに依頼するのはおすすめですが、費用面が気になるものです。日々のインプットや集計作業の大部分を自動化して、確定申告だけを見てもらうのもありかなと感じ始めています。

電帳法に対応しなきゃ……

えらそうにいろいろと書いてきた私ですが、実はまだ電帳法(電子帳簿保存法)に対応していません。所得10万円分の税額を損しています。

これまで楽をするためにレシート類を紙のまま保存していたのですが、事業年度を重ねるごとに、紙で保存しておくのが邪魔になったり、検索性の低さで余計に手間がかかってしまったり……。今後は、レシートや領収書をスキャンして、電帳法に対応していく必要もあると感じています。

データ保存には、モバイルアプリの「Adobe Scan」を使おうと思っています。領収書を撮影するだけで、Adobe SenseiというAIが画質や傾きなどを調整してくれて、高品質なPDFファイルにしてくれます。PDFファイルは、Adobeの「Document Cloud」というクラウドストレージに自動保存されるので、整理の手間もかかりません。

クラウドに保存されたら、画像内に映っている文字をテキスト変換できます。領収書の画像をテキスト変換しておけば、「あの領収書を見たいな」と思ったときに、クラウド内で検索して領収書をすぐに見つけられるようになるそうです。

また、クラウドに複数のPDFを保存したあとは、ひとつのPDFにまとめることもできます。これまではデスクトップアプリのイメージもあったAdobe Acrobatには今オンラインツールがあり、Acrobatの一部の機能をオンライン上で使えるんです。


中でも、複数のPDFファイルをひとつにまとめる「PDFの結合機能」や、ひとつにまとめたPDFファイルのサイズを小さくしてメール添付しやすくする「PDFのファイル容量 圧縮機能」は、確定申告で活躍してくれそうです。
たくさんの領収書をPDF変換すると、ファイルが増え過ぎてしまうので、Acrobatオンラインの「結合機能」をぜひ使ってみてください。 (Acrobatオンラインは、「PDF結合」や「PDF圧縮」などの検索ワードでググるとすぐにアクセスできるので便利です)

●Acrobat オンラインツール
・複数のPDFをひとつに結合する
https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/merge-pdf.html

・PDFのファイル容量を圧縮する
https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/compress-pdf.html

おわりに

「確定申告やらなきゃ」「経理やらなきゃ」とモヤモヤした状態でいると、脳のリソースを食ってしまいます。すると、本業にも支障が出てしまいかねません。

本業で力を発揮するために、「正確で楽」であることが重要だと感じます。やるべきことを絞って、「Adobe Scan」や「Acrobat オンラインツール」などの便利なツールを使いながら、もっと効率化していきたいものです。

「もっと正確で楽なやり方があるよ!」という方がいたら、ぜひ教えてください!


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