見出し画像

【認知症をもっと身近に】ブルース・ウィルスさんが認知症と診断

家族が発表しました。
失語症で引退宣言をしていたブルース・ウィルスさんでしたが、現在はさらに症状が進行し「前頭側頭型認知症」と診断されたと発表されました。

家族は声明で「つらいことだが、明確な診断がついてほっとしている。報道によってこの病に光が当たるよう願っている」と訴えています。

認知症をもっと身近に

つい10年ほど前までは認知症というと、『物忘れ』とか『記憶に関する障害』とかその程度の印象しかなく、病院の医師や看護師も認知症といったってよくわからないというのが現状でした。

2019年にすでに看取った祖母が急性期で入院したときに、担当の看護師さんに『荷物取りにいったん帰りますがすぐに戻ります、祖母は重度の認知症を持っていて、アルツハイマーをベースとしてレビー小体のような症状も併発しますので注意してください』と伝えていったん離席。

ベットを後にする側から看護師さんが祖母に対して『〇〇さん〜生年月日教えてください〜、あとお薬手帳お持ちですか?』と聴いていて、すかさず、『あ、すみません、何度もすみませんが、認知症なので、後で僕が全部答えますし、お薬手帳も取ってきますから』と言い残し、30分ほど席を空けたのですが、戻ってみると。

看護師8人ほどに取り囲まれていて、祖母は泣き叫んでいました。

『〇〇さん、落ち着いてください、ここは病院です』とやりとりしていました。

やりとりは一人、残り7人は祖母を取り囲んで看ています。
これも看ながら護る看護?!と思いつつ・・・

戻ってきた私を見つけた看護師さんが『あ、よかった〜今ね、ご本人さん取り乱されていて困っていたんですよ。』

というので、『あ、だから認知症なんです。レビー小体も混ざってるんです、目が覚めたらいきなり見知らぬ部屋にいて、防護服の人間8人に取り囲まれたら誰でも怖いですよね?』なんて嫌味の一つもいってやったら一人の看護師を残して残りの7人はさーとどこかへ消えていきました。

2019年当時で、名のある大きな病院でこんな感じです。

これも認知症関係の知識が豊富な訪問看護出身の方が一人でもいらっしゃったら随分と現場の様子は変わっていたと思います。

もちろん急性期の現場で認知症の知識を入れる必要は全くないと思います。

しかし、あれから4年。
誰もが通るであろう認知症の知識や対応、サポートの方法など社会全体でシェアできれば、『視力裸眼で0.01なんです』くらいの認知度になれば、急性期の看護師さんでも、視力裸眼で0.01だという裸眼状態の人に対し『ここにサインしてください』なんて言わないでしょう。

認知症は大きく分けて3種類

認知症は大きく分けて3種類、3大認知症などと言われたりします。

前頭側頭型認知症

今回ブルースウィルスさんが診断された前頭側頭型認知症。

「神経変性」による認知症の一つ。
脳の一部である「前頭葉」や「側頭葉前方」が物理的に委縮することで発症します。

前頭葉といえば、簡単にいってしまうと理性を司る部分でもあるため、著しく社会性が欠如してしまったり、社会通念上の道徳観が失われたりするのも特徴。

側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を司るため、ブルース・ウィルスさんのように失語症などの初期症状がみられるわけです。

レビー小体型認知症

パーキンソン症状がみられることが特徴で、幻視が見えたりします。

暴れたり、夜中でも大声を出したりする症状が出るため、在宅介護では介護者の負担が非常に大きくなりがちです。

アルツハイマー型

誰もが通るとも言われるアルツハイマー型は、現在様々な説がありますが、脳の一部にタウタンパクというタンパク質が蓄積することで発症すると暫定されており、治療薬、予防薬含めて各製薬会社が開発を急いでいる認知症タイプです。

本来レビー小体の初期と見分けにくいものでありますが、あまり経験や知識のないドクターは長谷川式スケールを使い、とりあえず診断を出しておく名前の認知症になっています。

そしてもっと最悪なドクターに当たれば『なんでもかんでもアリセプト』状態。
アリセプトという薬がとりあえず処方されます。

医者には免許の更新がありません。
知識の乏しい医者の言いなりにならないようにしっかり勉強することをおすすめします。

フェルラ酸サプリがアルツハイマー型改善に効果あり?!なんて一時期は流行ったほど、初期症状はライトな認知症です。

経験

他に、非常に稀ですが、治る認知症と言われている水頭症を発症している可能性があります。

筆者の祖母の場合は、ある日呂律が回らなくなり、緊急で水頭症の手術も受けています。

当時まだ元気だった祖父はそんな祖母の様子に気がついていなかったのもあり、老老介護状態だと見過ごしてしまうケースも多々あるかと思います。

各種認知症との症状も似ている部分もあるため、判断は難しいですが水頭症も疑ってみるといいかもしれません。

まとめ

3大認知症はそれぞれサポートの方法も異なります。

非常に攻撃的で家族としては辛い症状も現れますが、現在では根治できる治療法は見つかっていませんので、根気よく付き合っていくしかありません。

ブルースさんのご家族も『明確な診断がついてほっとしている』とコメントしているあたり、在宅介護では相当辛い想いをされていることと想像します。

まずは認知症を知る。

裸眼で0.01が通じるくらい社会的に当たり前になる。

そんな世界を目指して。

【注意】
この記事は在宅介護での経験上の体験と知識のシェアです。
医学や専門分野に関しては各種専門機関、専門家からの情報を必ず参照してください。

プロフィール
元ヤングケアラーで在宅介護歴は8年目に突入!
服部 洸太郎
音大を卒業後ピアニストとして活動。
自身のピアノトリオで活動後北欧スウェーデンにてシンガーアーティストLindha Kallerdahlと声帯とピアノによる即興哲学を研究。
その後ドイツへ渡りケルンにてAchim Tangと共に作品制作。
帰国後、金田式電流伝送DC録音の名手:五島昭彦氏のスタジオ「タイムマシンレコード」にアシスタントとして弟子入りし、録音エンジニアとしての活動開始。
独立後、音楽レーベル「芸術工房Pinocoa(現在はKotaro Studioに統合)」を立ち上げ、タンゴやクラシックなどのアコースティック音楽作品を多数プロデュース。
その後、秋山庄太郎氏後継の写真スタジオ「村上アーカイブス」でサウンドデザイナー兼音響担当として映像制作チームに参加。
村上宏治氏の元で本格的に写真、映像技術を学ぶ。
祖父母の在宅介護をきっかけにプログラムの世界に興味を持ち、介護で使えるプログラムをM5Stackを使って自作。
株式会社 ジオセンスの代表取締役社長:小林一英氏よりプログラムを学ぶ。
現在はKotaro Studioにてアルゼンチンタンゴをはじめとした民族音楽に関する文化の研究、ピアノ音響、さらに432hz周波数を使った癒しのサウンドを研究中。
スタジオでは「誰かのためにただここに在る」をコンセプトに、誰がいつ訪れても安心感が得られる場所、サイトを模索中。