見出し画像

隷王戦記 その後の物語

はじめに


【※※ネタバレアリ※※】
隷王戦記のその後の世界を、年表形式でご紹介します。
ボーナストラックのようなものとなりますので、読了された方の中で興味がある方、ご覧くだされば幸いです!

ネタバレなしの謝辞はこちら
https://note.com/kotaromoriyama/n/na39be8d536d7

人はとても弱く、愚かで、非論理的で、それでいながら強く生きることを望み、賢くあることに憧れ、論理的であろうとします。

だからこそ、理想の自分と現在の自分との差に苦しみ、そして理想に近い存在が実在することに絶望します。だけれども、それは決して誰か一人が抱く苦しみではなく、すべての人が等しく抱くものです。私もそうです。

前に進むことはとても怖いです。進んだとしても理想に近づけるかどうか分からないことが不安で、そもそも今立っている場所が不安定すぎて踏み出すために踏ん張ることができないこともあります。

隷王戦記の登場人物はそれぞれが苦しみを持っています。

人の苦しみがどのような歴史を作るのか、そして人は苦しみながらも物語を、歴史を作っていけるのだということを私は書きたかったのです。

弱いことこそが、人として当たり前のことで、それでもその弱さこそが前に進むためには一番大事なこととなる。弱くて、愚かで、非論理的でいいのだと私は思っています。

それぞれの弱さがどうなったのか、想像していくうちに年表という形でまとめてみようと考え、この形で公開させていただければと思うに至りました!

長らく、ありがとうございました。

その後の世界

1098
覇者の死後、左翼代将軍ジャライル、敗軍をまとめ鐵の民の領域へ撤退。
右翼代将軍ボオル、覇者の死に激昂し、世界の中央各地に戦火を広げる。

1099
諸侯カイクバード、追撃戦の中、アルアラス城に籠城した右翼代将軍ボオルを討つ。ボオル、享年38。
総元帥アルディエルと諸侯マイ・バアルベクの盟約に従い、聖地回復軍帰還開始。覇者の弟エラク、アルディエルに従い、その副将となる。

1100
マイ・バアルベク、戰の民に平和宣言発布。
鐵の民の領域に盤踞するジャライルと戰の民との間で和平が結ばれる。女帝城の和約。全世界に向けて銃の所有を禁止する。

1101
論功行賞。タメルラン、諸侯としてファイエル侯遺領を継承。サンジャル、バアルベク騎士へ叙任。エフテラーム・フレイバルツ、ガラリヤ地方総騎士へ叙任。カイクバード、筆頭諸侯となり、鐵の民復興、東方防衛の任につく。シェハーヴ、全ての職を辞しべリア砦の墓守となる。クザ、ラダキア騎士へ叙任、三世界を結ぶ街道事業と並行し、カイクバード侯の後方支援。シャルフ、七都市総騎士へ叙任。
諸侯マイにより、世界の中央における人頭税の二年間免除が公布される。

1102

1103
西方世界において十二国大戦勃発。暦星大戦。ウラジヴォーク帝国軍を率い、アルディエル・オルグゥ、平定戦を開始。盟約により、総指揮官タメルラン・シャール・アルアルフィー、副官エフテラーム・フレイバルツ率いる二十万の裁定軍が派遣される。
聖堂騎士団、病院騎士団の同士討ちにより教皇権力の弱体化。勝利したアラゴンの仲裁により、アルディエル、拝火教教皇の娘と婚姻。

1104

1105
東方世界に帰還したジャライルと生き残った三人の四駿四狗の間で後継者戦争が勃発。東方世界を四つに分断する大戦へと発展する。

1106

1107
西方世界ユウラ王国内乱平定戦の最中、タメルランを護り、エフテラーム・フレイバルツ陣没。享年41。
西方世界の人口三割を犠牲として、暦星大戦終結。マイ・バアルベクを後見人として暦星の和約が結ばれる。ウラジヴォーク帝国皇帝ヴォロダレドを頂点とする西方連合が創設される。

1108
四駿四狗の一人ジーヴ、覇者エルジャムカの事績『覇軍』を執筆。同盟を結ぶジャライルへ献上。

1109
タメルラン・シャール・アルアルフィー、ファイエル侯の姪と結婚。

1110

1111
諸侯マイによって、バアルベクに魂送りの塔が新設される。
バアルベクに西方世界十二カ国の元帥が集い、西方世界、世界の中央との間に永久不可侵の盟約を結ぶ。

1112
覇者の子を名乗るサーフェルが東方世界で台頭。三名の四駿四狗を瞬く間に束ね上げ、八十万の兵力を率い、恭順を拒否したジャライルと対立。
左翼代将軍ジャライルと四駿四狗ジーヴの交渉はならず。サーフェルとの全面戦争へと発展する。
タメルランの長子誕生。ローゼンと名付けられる。

1113
マイ・バアルベク、ジャライルとの不可侵条約締結のため東方世界アデンへの旅路で病没。船中、執務中のこと。享年34。遺言により、後継者にアルディエル・オルグゥを指名。
タメルランの第二子誕生、カテリナと名付けられる。
アルディエルの長女誕生、レイマーと名付けられる。

1114
アルディエル・オルグゥ、戰の民諸侯位に就き、東方世界遠征を宣言。カイクバード、アルディエルを総指揮官とし百二十万の大軍が陸路、海路に分かれ侵攻開始。サンジャル、シャルフ、クザ、エラクが副将として従軍。
エラク、陣中にて『英雄たちを知る者』の執筆開始。

1115
アルディエルとジャライルの間で同盟が結ばれる。サーフェル率いる四駿四狗との大戦の中で、ジャライル戦死。享年59。忠武左王と諡号される。
ジャライルの兵を併せ、四駿四狗の家国へ侵攻開始。

1116
バイリークの隠し子が見つかる。
タメルランの第三子が誕生。ディヴルーと名付けられる。

1117
アルディエル、サーフェル率いる六十万の軍をアスタナの戦いで破る。敗走する牙の民の殿を務めたサーフェルを、アルディエルが討つ。サーフェル・オルダ、享年25。アルディエルの副将として従軍したエラク、サーフェルの亡骸に、兄の面影を認める。
四駿四狗筆頭ジーヴ率いる残党討伐戦の中、エラク、ジーヴと相討つ。享年45。『英雄たちを知る者』絶筆。
アデンへと軍を進め、アルディエルが世界平和宣言を発布。アルディエル、シャルフは治安維持のためアデンに残る。

1118
東邦世界からの期間の途次、草原、神颪の森へと立ち寄ったアルディエルにより、カイエン・フルースィーヤとフラン・シャールの墓標が建てられる。「友」と墓標に刻む。

1119
東方世界に四十八の家国を分立させ、それらを束ねる首長として、ジャライルの第四子シージエを据える。四十八の家国には武力排除を徹底させ、シージエのみが裁定のための軍を率いる。アデンに駐屯する裁定軍は、世界の中央、西方世界から一年の任期付きで派遣されることが決まる。
初代裁定軍総督に、シャルフが任命される。

1120

1121
バイリークの隠し子が見つかる。

1122
東方世界の秩序を回復し、世界の中央軍は全軍が帰還開始。
東邦世界より帰還したシャルフ、東西交易の要として瀛の民諸侯へ叙任される。任地アルアラス城へ赴く。
東西の交易が盛んになり、活版印刷が世界に普及する。

1123
騎士たちの城の守護者として生きてきたシェハーヴ、城門前で長剣を抜き放った姿で死す。享年56。
狼騎、バアルベクの赦免を受け入れ、解散する。

1124

1125
ウラジヴォーク帝国皇帝ヴォロダレド、バアルベクを訪れアルディエルと会談。西方世界ヴェアブルクから東方世界アデンを結ぶ航路安全にかかる条約を締結。

1126

1127
バアルベクが聖地と呼ばれ始め、毎年春になると世界中から旅人が訪れ、平和を願う祝祭『父娘祭』が始まる。アルディエル、アラムート城の放棄を決定した暗殺教団に、道中の安全確保の任を与える。

1128
ラダキア太守として復興を支えたクザ、八人の孫に囲まれながら老衰により死去。享年65。その死後、クザによって整備されたウラジヴォーク帝国首都アレクシンから東方世界サマルカンドを結ぶ道は、クザ街道と名付けられる。クザ街道はさらに東へ向けて伸び続ける。

1129
カイクバード、70歳の祝いの席で三十人の竜騎兵を相手にして無傷で全員を組み伏せる。

1130

1131
バイリークの長子レムルスによる七星の乱が起きる。かつてバイリーク麾下だった者たちは、決して勝てぬ戦と知りながら、レムルスに助力。世界の中央における反アルディエル派が集結。
アルディエルの長女レイマー、タメルランの第二子カテリナを指揮官とする討伐軍が編成される。

1132
銃の設計図を奪取したレムルス勢力が西方世界、世界の中央にまたがる領土を確保するまでに勢いを増す。新教皇によるレムルスへの助力を認めた段階で、アルディエルから親書を受け取ったヴォロダレドが軍を興す。
レイマー、カテリナとヴォロダレドによる東西からの挟撃により、七星の乱鎮圧。
レムルス、極東への追放が決まり、移送される中で暗殺される。

1133

1134

1135

1136
タメルランの長子ローゼン、第二子カテリナの間に後継者戦争が勃発。
アルアラス城を襲ったローゼン軍により、瀛の民諸侯シャルフ、戦死。享年64。
諸侯としてタメルラン自ら討伐を決意。タメルラン、レイマーを後詰として、ナヴィアの戦いで第三子ディヴルーが、ローゼン、カテリナを討つ。

1137
春、タメルラン・シャール・アルアルフィー、城下で民と会談途中に吐血。十日後、眠るように病没。享年58。
ディヴルー、その力量に非ずとして、諸侯位を辞退。アルディエルに師事。

1138
アルディエル・オルグゥ、戰の民諸侯位を辞し、ディヴルーのみを従者としてバアルベクに庵をむすぶ。

1139

1140

1141
カイクバード、アルディエルの強い推薦により、ディヴルー、諸侯位に就く。カイエン・フルースィーヤの黒剣を継承する。
ディヴルーとレイマーの婚姻が民に発表される。

1142
アルディエル・オルグゥ、バアルベクの庵で『隷王戦記』の執筆を開始。

1143

1144
ディヴルーとレイマーの間に第一子誕生。アイレアと名付けられる。

1145

1146

1147
アルディエル、『隷王戦記』の執筆を終える。

1148
アルディエル・オルグゥ、死去。享年71。武烈侯と諡号される。
カイクバード・アルディン、アルディエルの死から三日後、バアルベクへ剣の柄を向け、騎乗のまま死去。アルディエルの死は知らず。享年89。軍神と諡号される。
『隷王戦記』、ウルファの商人テティスによって刊行される。扉に記された文字は「副官に捧ぐ」。
バアルベク魂送りの塔へ、『隷王戦記』、『覇軍』、未完の『英雄たちを知る者』が奉納される。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?