任務完了。

朝、良い気持ちで目が覚めた。
予定通りに用事を済ませ、彼に連絡をした。在宅なのか留守なのはよくわからない返事だったけれど、それはもう私には関係がないことだった。チャイムを鳴らしたけれど、鳴っている感じがしない。切ってるのかな?まぁ、良いや。とりあえずドア付近に渡すものを置いて、置いたよメールを送った。どうやら、仕事で拘束されているらしい。彼の生活ではそれが当たり前なので、特に驚きもせず、体に気をつけてがんばって、と返信した。「ありがとう」と返ってきた。


おそらく、このプレゼントに関する連絡が彼から来ることはない。今まで私が囚われていた「普通」は、置いたよという事へのありがとう、受け取って中を見たよに対するありがとうの連絡が来るのが普通だと思っていた。ただ、それは私にとっての「普通」であって、彼の中では一度ありがとうと言ったから、もうそれで完結しているはず。忙しい中、私に割く時間はもう無いんだとわかってる。私に対する興味が薄れているから、これは当たり前のことだ。


でも、私はそれで良いと思った。
珍しく、自分の思う通りに行動ができた。格好つけたり、意地張ったりしがちなのに、プレゼントだけは何があっても渡す!という自分の気持ちを尊重できた。彼にとっては困る事かもしれない。それは考えた。でも、私自身が納得するにはこれしかなかったんだと思う。だから、私があげたプレゼントが開けられなかったとしても、断捨離されても、それはもう彼にあげたものなので私には何の権限もないし、何も思わない。


相変わらず咳がひどくて、体調はイマイチだけど、気分はスッキリしている。強がりかもしれないけれど。明日から私は前進できる気がする。これで終わったんだと思う。
もしかしたら、彼のような人は2度と現れないかもしれない。でも、彼のようでなくても私を愛してくれる人は現れるし、きっとまた私も誰かを同じか、それ以上に愛せるだろう。やっとそう思えた。

みんな、唯一無二の存在だから。


彼を愛したことに悔いはない。
たぶん、あの時じゃない別の時に出会っても、きっと好きになっていたと思うから。あはは、それは間違いないだろうな。


任務完了。



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