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Content is Kingから「Crazy Content is King」の時代へ

コロナ禍を背景に多くの企業がデジタルマーケティングに投資し、その中の重要な要素として『コンテンツ』に投資する企業が増えています。

私が知る企業でも、コンテンツマーケティングを強化するために元編集者やライターを採用したり、SNSマーケティングを強化するにあたりSNSネイティブな大学生インターンに大きな権限を与える例が出てきています。

こうした動きは今後も続くはずですが、同時並行で「コンテンツの飽和」も起きることが予想されます。

今回は、私が『クレイジーコンテンツ(Crazy Content)』と名付けるコンテンツが求められる背景と、『クレイジーコンテンツ』の事例や作成のポイントを紹介していきます。

なぜ、『クレイジーコンテンツ』が重要なのか?

私の前職のBtoB企業は2010年頃にオウンドメディアを構築し、自社が保有するノウハウや業界の最新動向を発信しはじめましたが、当時のSNS上では「ここまでノウハウ公開して大丈夫なんだ・・!」「BtoB企業で情報発信するの珍しいな・・」といった反応があったことを覚えています。

しかし、2021年現在、よほど濃い情報を発信しない限り、「ここまでノウハウ公開して大丈夫なんだ・・!」とは思ってもらえないですし、「BtoB企業で情報発信するの珍しいな・・」と言われることもないでしょう。

もはや、BtoB企業がWeb記事やメールマガジン、ホワイトペーパーなどで顧客に役立つ『コンテンツ』を出すことが当たり前になりつつあります。

2007年に発売された『情報大爆発』で、すでに人々が消費できる以上の情報が世の中に流通していることが指摘されましたが、「業務上の情報収集」においても、ビジネスパーソンが消費できる以上の情報が流通し、コンテンツの飽和が生まれはじめています。

いま求められる『クレイジーコンテンツ』の事例

そんなコンテンツが飽和した現代において求められるのが、『クレイジーコンテンツ』です。

『クレイジーコンテンツ(Crazy Content)』とは、私が勝手に定義した『業界の基準を作ったり、業界の基準を塗り替えるレベルの本当に優れたコンテンツ』ですが、自社・他社のクレイジーコンテンツの事例をいくつか紹介します。

例えば、1つ1つの事例を出すのではなく、50社分の事例を集めて公開したギブリー社「PEP」のコンテンツ。

DXにまつわる書籍、外部メディアでの連載、160ページ以上のホワイトペーパー資料を公開しているKaizen Platform社の『#DX白書2021』という特設サイト。

スーパーを解説するために、クラウドソーシングを使ってアンケートを取っていたり、14店舗に価格調査のフィールドワークに行っていたりと色々半端じゃない、こちらのnote。

自社のコンテンツだと、中身を埋めてもらえれば、高品質の営業資料が作れるテンプレートとチェックリストを個人情報取得なしで公開した記事。

BtoBサイトに関する豊富な知見を有するWACULさん、ベイジさんと共同で開発し、180のチェックリストとワイヤーフレームを個人情報取得なしで公開した以下の記事。

情報が飽和している現代において、『クレイジーコンテンツ』こそが人々の記憶に残り、ビジネスにつながる問い合わせや案件の依頼を創出してくれます。

クレイジーコンテンツを『業界の基準を作ったり、業界の基準を塗り替えるレベルの本当に優れたコンテンツ』と定義しましたが、その領域における参照点として機能し、顧客が「この領域に関しては、このコンテンツを見れば大丈夫。他のコンテンツは必要ない。」と思ってもらえるかが一つの目指すべき姿になるでしょう。

『クレイジーコンテンツ』を作るためのポイント

前職の巨大BtoBオウンドメディアの創刊編集長は、2010年頃、営業を兼務しながら就業後から朝までの時間、土日の時間を使って、クレイジーコンテンツを連発していましたが、やや再現性が低いように思うので、再現性高く『クレイジーコンテンツ』を作るためのポイントを3つほど紹介します。

①意思決定者がコンテンツへの投資を決める

Kaizen Platformの『#DX白書2021』はおそらくDX領域でのポジションを確立するために代表の須藤さんがコミットしていると推測しますが、クレイジーコンテンツを作るには、経営層やマーケティング責任者など意思決定者の協力が欠かせません。

当社も、代表の私がコンテンツに関しては予算制限なく投資すると決めているため、1つのコンテンツに膨大な執筆時間をかけたり、調査費用をかけることを許可しています。やはり、『クレイジーコンテンツ』を作るには一定以上の投資が必要になるでしょう。

②コンテンツメーカーを採用する

『クレイジーコンテンツ』を発信している人や企業は、以前からブログやnoteをやっていたり、セミナーやイベントで登壇して、コンテンツを発信し続けています。逆に、コンテンツ作成に慣れていない人や企業が『クレイジーコンテンツ』をすぐに作れるのは難しいかもしれません。

おすすめは、すでにコンテンツ作成に慣れている人を採用すること。ライター、編集者、記者、自分でブログやnoteを書いている人を採用要件に入れて、チームの仲間になってもらいましょう。

③継続的に発信する

研究者が画期的な論文(最も引用回数が多い論文)を発表する時期を調べたアルバート・ラズロ・バラバシらの研究では、その論文が研究者にとって画期的な論文になる可能性は、一つ目であろうと、二つ目であろうと、人生最後の論文であろうと全く同じであり、画期的な論文と発表時の年齢は関係がないことがわかりました。つまり、研究者が画期的な論文を数多く発表するには生涯にわたる生産本数のみが重要であり、どれが「クレイジー論文」になるかは予測不可能ということ。

これは『クレイジーコンテンツ』にも当てはまり、どのコンテンツが顧客に高く評価されるかはわかりません。我々がコントロールできるのは、継続的に良質なコンテンツを発信し、総生産本数を増やすことのみです。

まずは月1本ずつでも良いので、継続的にコンテンツを発信することをお勧めします。

以上、「Content is King」の時代から「Crazy Content is King」の時代になっていくかもしれない、という話でした。

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