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3学期の初回授業で中1に伝えたいこと

明日から出講している塾の3学期が始まります。
習熟度に応じて3つに分かれているクラスのうち、僕は真ん中のクラスを担当しています。ある生徒が1人、下のクラスに落ちてしまいました。
その生徒の課題は明らかでした。

【間違いをなかったことにしてしまう】傾向が強かったのです。

・答案を見られるのを極端に嫌がる。
・ミスしている部分についてやんわりヒントを上げたことで、間違いに気づくと、消しゴムで書き直して、丸をつけてしまう。
・宿題ももちろんいつも全問正解。

「間違いから人は学べる」ということや宿題のあるべき取り組み方について何度も伝えてきたつもりでしたが、2学期をかけても彼の姿勢を変えられなかったのは僕の指導力不足以外の何物でもないです。

明日は改めて、一人一人の目を見て、大事にして欲しいことを伝えようと思います。

ここからは実際に生徒に語っているつもりでいきます。

トークスクリプト

はい、では今日から3学期。このメンバーで一緒に学習を進めていきます。よろしくお願いします!

さて、改めて今日はみんなに僕が大事にしていること、みんなに持って欲しい考え方についてまずは話させてください。

ショートコント。間違いをなかったことにする中学生。
(あらかじめ英訳問題を板書していく)

先生:はい、じゃあこの問題英作しよかー

生徒:「彼はいつもお年寄りに優しい。」
He always is kind to old people.
よし、できた。

先生:(机間巡視をして)alwaysの位置、そこでよかったー?

生徒:always、、えっと、sometimesとかと同じ仲間のやつやんな。何が大事やっけ?あ、そや、頻度を表す副詞はnotと同じ位置やった!せやから、このalwaysを消して、、よしこれでOK!


はい、ちょっと待ったーーーーーーーー!!
消したら、あかん!絶対消したらあかん!

なんでか分かる?

間違いは「宝」だからです!

この子は「頻度を表す副詞はnotの位置」、という知識を知ってはいるのに、瞬時に思い出されへんかったことが原因で、つまり、その知識が身についていないことが原因で間違えててん。これがテストやったら点数落としてるよな?逆に、その知識が定着していて、最初から正しい答えを書けていたら点数に繋がったってことや。
何を当たり前って思うかもしれへんけど、普段のテストで起こっていることってこういうことことじゃない?

同じカリキュラムで、同じテキストを使って、同じ先生から習っているのに、なんで点数の差が生じるん?
さっきみたいな間違いをするかしないか、ってのが僕は大きな理由の一つやと思ってる。

ええか?
「知っている」と「分かっている」はちゃうで。
「分かっている」子はさっきみたいな間違いは決してせぇへんから。

つまり、ある問題を間違える時っていうのは、その問題で使われている知識がまだ「知っている」レベルに留まっているからやねん。

この「知っている」状態から「分かっている」状態に努力して近づけていくことが「勉強する」という行為なんや。

その状態に近づけていくための最初のステップは「自分はこの知識をまだ分かってないねんな」って認識すること、気づくことやねん。

気づけた時がチャンス!伸びるチャンスなんよ。

さっきのショートコントの中学生、思い出して。
そのせっかく気づいた伸びるチャンスをあろうことか自分で消して、なかったことにしてるねんで??
後からノートを振り返っても、手がかりが0やねんで??
なんてことしてくれとるねん!!って思わへん?

ちゃうちゃう、もっと「大事に」「丁重に」扱ってよと思うわけやねん。

じゃあ、間違いを「大事にする」「丁重に扱う」ってって具体的にどういうこと?何をすれば良い?

(板書で示しながら)
さっきの例に戻るよ。間違いは消さずに、赤ペンで直す。ほんで、気づいたこととか、覚えておかなあかんことをメモとしてちゃんと残す。これは青ペンがオススメ。青色は記憶に良いとされているから。

これが正しい、間違いとの向き合い方や。

この姿勢は宿題をする時にも持っておいて欲しい。

たまに、毎回全部キレーーイに赤丸がついた提出用紙を出す子がおるけど、「ほんま?」って思う。
これは調べな難しいやろうな、とかちょっと中1には難しい単語入っているなって思う問題も宿題用のテキストにはあるんよ。
それが全問見事に赤丸。
ほんま?信じて良い?見栄はってない?
間違えること、知らないことは恥じゃない。本当に恥ずかしいのは、良い格好をして、間違いに向き合おうとしないこと、それどころかそれを隠そうとする姿勢です。
間違えを大事にできない子は絶対に伸びない。

はい、じゃあまとめるよー

・「分かっている」人なら点数は取れる。成績は上がります。
・「分かっている」人になるには、「自分はこの知識をまだ分かってないねんな」って認識することが不可欠。
・認識するためには、間違いを残さないといけない。消してはダメ。
・「知っている」から「分かっている」状態に近づけるためのトレーニング。それが宿題。


だって、授業を1回聞いただけで、どうやって「分かっている」状態を作れるんよって話。
そんな簡単に覚えれたら誰も苦労せん。
ちなみに僕は普段宿題とは呼んでないねん。自主トレって呼んでる。

3学期はより一層、みんな「自主トレ」に励みましょう。

そして間違いを大事に、間違いから学べる人になってください。

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