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長崎市東山手の歴史的町並み #1

 noteを始めて3つめの歴史的町並みは長崎市の東山手の町並みです。この町並みも、横浜市山手に引き続き、洋館群の町並みです。

 日本の伝統的町並みが大好きなんですが、煉瓦造りや木造などの近代西洋建築も好きです。

 長崎は、言うまでもなくキリスト教の布教と貿易の拠点として1571年にポルトガルに開かれた港町です。江戸幕府の鎖国政策によりポルトガル人の来航が禁止された後も、オランダ、中国との交易が続いた歴史的国際交易都市であったことが町並みの形成に重要な影響を与えています。長崎市には東山手町と南山手町に歴史的町並みがあります。国宝大浦天主堂を始め、グラバー邸などの観光地として有名な旧住宅、銀行を中心とした南山手と、総領事館、学校建築、洋風住宅群のある東山手に分かれていますが、変化に富んでおり、両地区が重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

 1859年の開国を契機に形成された外国人居留地を下地として、幕末から大正期までに渡って建てられた建築物が残されています。外国人居留地であったこと、町名も「山手」と横浜と共通していて、洋館群は「山手」という地名を想起させる崖面や高台に建てられる傾向がありそうです。


東山手の歴史的町並み

 観光地として著名な南山手とは対照的に、東山手地区は急な石畳のオランダ坂に沿うように建てられた7棟の洋風住宅群を中核とし、市民の暮らしの雰囲気を感じ取れる町並みが展開されています。また、1945年8月9日の長崎市中心部への原子爆弾投下による被害を免れ、地割と建物が現在に受け継がれてきたことも歴史的特徴と言えます。

 東山手の町並みを訪れたのは、2010年の9月。滞在時間は2時間程度。相変わらず、なぜか駆け足です。向かう道のりには、長崎孔子廟がありました。見たい気持ちを抑えつつ、先に向かいます。

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 孔子廟を過ぎると、創業100年を超える地元の銭湯「日栄湯」や、原爆被害を免れた長崎教会が並び、東山手の町並みの中核にいざないます。

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オランダ坂

現れた急勾配のオランダ坂。居留地時代に整備された石畳今も残る落ち着いた街路です。左側の煉瓦塀と煉瓦造りの建物は林たばこ店の店舗兼住宅。石畳、石垣、石溝なども居留地時代からの物が多く残っていました。

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 オランダ坂中腹の街路表示。ここから「東山手洋風住宅群」が軒を連ねます。

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東山手洋風住宅群

 東山手洋風住宅群は7棟の洋風住宅から構成され、様式が共通することから賃貸住宅として建てられたと推定されているそうです。「洋風」であるのは、西洋の建築様式を取り入れつつも、日本の様式や中国風の装飾を取り入れた和洋折衷の建物だからです。現在は住宅としてではなく、東山手地区町並み保存センター、古写真資料館、埋蔵資料館、国際交流施設、カフェとして活用されています。住宅として使用されてはいませんが、明治期に建てられた洋風住宅がこれほどに群として残されているのが東山手のみであることから、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

下の写真は東山手地区町並み保存センター。海側に面して開放的なベランダを持っています。

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住宅群の敷地に入ってしまうと、建物の全体を写真に捉えるのが難しいですね(汗)。どの住宅にも共通して板張りの壁、瓦屋根、白い煙突、中国風の欄間飾りを見ることができます。

 下の写真は、古写真資料館。日英の国旗が飾られていますが、唐草文様や宝珠など中国風の装飾が見られます。

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上の写真の住宅、屋根だけ見れば、寄棟・入母屋の日本式瓦屋根で面白いです。7棟の洋風住宅群は、「明治中期に建てられた」とされていますが、いくら調べてみても、それ以上詳しい建築年代がわかりませんでした。また、「賃貸住宅として建てられたと推定される」と書いたように、明らかになっていないことが多く、不思議がいっぱいで興味を引きます。

下の写真の住宅は、地元の国際交流団体によりランチ等を提供するカフェとして活用されています。長崎在住の留学生やその家族が、その国の家庭料理を提供するユニークな施設です。町並み踏査の時間優先のため、食事はせず。今思うと、食べておけばよかったなあと思うのです。

(2020.7.12追記)この建物、さだまさしの自伝的小説を映画化し、2003年に公開された「精霊流し」の中で、ジャズバー「椎の実」として登場しています。

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 下の写真には、中国国旗も見えます。東山手からは、国際交流の歴史を活かした地域活動の場として町並みが根付いている様子が伝わってきました。

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この記事はここまで。この後も、東山手の町並みと、少しだけ南山手の紹介を続けていきます。最後までお読みくださった方、ありがとうございました。

長崎市東山手(長崎県の港町・重要伝統的建造物群保存地区)

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