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クランベリー型形態素

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自分の在り方を探す大学生たちの物語。 今のところ短編集なのでお好きなところからお試しください。
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2020年1月の記事一覧

墨色を拭って、悲しみを洗って

墨色を拭って、悲しみを洗って

雨に温もりがあるとしたら君のおかげで、雨の雫が冷えていればそれは僕のせいだ。

バスは先日少しの期待を胸に進んだ道を、今日は虚しさを纏って逆から辿っていく。

この路線のバスに乗ることはもうないだろう。

街並みも。人も。もう見ることはない。

帰る先とこの街とは離れていると思い込みたくて、来るとき快速バスには乗らなかった。そして帰りもその気持ちは変わらなかった。

視線を少し右に動かすと、窓ガラ

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