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恐れが生み出す、残念な職場関係

組織でありがちな残念な展開を、構造的に紐解いてみました。誰も悪意はなく、むしろ好意であったはずなのに。恐れにかられたメンバー同士の認識と行動の相互連鎖によって、いつのまにか否定的な虚像が立ち現れ、現実に変わっていく。不思議で皮肉なストーリーだなーと思います。
ぜひあなたの職場の、あなた自身と相手(上司や部下、同僚など)との関係に当てはめながら読んでみてください。



Phase1:良く思われたくて、いろいろ試す

入社や異動、組織改変などで職場の環境が変わるとき、誰でも「自分はこの職場でうまくやっていけるかな...」と不安になりますよね。
そこであなたは、まだよく知り合えていない職場の人から「自分に良い印象を持ってもらいたい」と前向きな期待を抱くと思います。
初めは相手がどんなことで良く思ってくれるか分からないため、あなたはあれやこれやと、相手の様子を見ながら試行錯誤することでしょう。

一方で相手も同じように、あなたから「良く思われたい」と思っているはずです。相手は試行錯誤でいろいろな行動をとるあなたを見て「この人はどんな人か、まだ分からないな」と思い、同じようにあなたの様子を見ながら試行錯誤します。
そんな相手の行動を見て、あなたはさらに「わからないけど、好かれたい」と試行錯誤する、、、というループに入っていきます。



Phase2:本意がわからない不安から、動けない

期待と試行錯誤のループが続くうちに、あなたは「相手は本当はどう思っているんだろう?」と本意が分からず不安になってくるはずです。相手の言動の一つ一つに疑心暗鬼になっていきます。
相手の真意がわからないため、あはたは「下手なことはしない、言わないようにしよう」と自己防衛のため消極的になるかもしれません。

一方で相手も同じように、あなたに疑心暗鬼になっていることでしょう。あなたの防衛的で消極的な行動を見て、ますます「本当はどう思ってるか、わからないな、、」という不安を膨らませ、相手も防衛的な反応を起こします。
そんな相手の行動を見て、あなたはますます疑心暗鬼を強め防衛的になって、、、というループになっていきます。



Phase3:ネガティブな憶測が芽生え、炎上する

人は「わからないまま」の状態にストレスを感じるもので、それを軽減するために自分なりの解釈を加えます。しかも不安な時には、ネガティブに考えがちですよね。
あなたはわからない相手の本意について「自分の保身しか考えていないんだろう」などと否定的に憶測するかもしれません。
そう考えると怒りや嫌悪の気持ちが湧いてきて、つい相手に攻撃的な態度や行動をとってしまいます。

一方で相手も同じように、あなたについて独自の解釈を積み上げていることでしょう。あなたの対抗的な行動を見て「やっぱり自分勝手でふざけた奴だ」などと否定的に憶測し、やはり対抗的で攻撃的な態度になります。
そんな相手の行動を見て、あなたはますます否定的憶測を強め攻撃的なになって、、、というループになっていきます。

つまり、わからない不安感を土台に、実態のない悪魔の虚像を、両者で共に作り上げてしまいました。



Phase4:ネガティブな関係が固定化し、冷えきる

一旦ネガティブなバイアスができると覆すのは難しく、むしろ強化されていきます。相手から対抗的反応を何度も受け、あなたの否定的な憶測は確信に変わっていきます
相手を「許せない」気持ちから逃れようとして、あなたはやがて相手との関係構築を諦め、見限り、無関心に転じるでしょう。
そうして相手を自分から切り離すため、なるべく関わらないようにするなど、逃避的な行動を取るようになります。

一方で相手も同じように、あなたへの否定的な解釈が確立しています。あなたの逃避的な態度を見て、相手もあなたを見限り諦め、切り離して関わらないようになります。
そんな態度にあなたもますます見限り、切り離し、、、というループに入っていきます。

ここまでくると、互いに抱く考えや気持ちすら無かったように振る舞うため、自力で関係修復するチャンスも巡ってきません。



では、どうすればいいのか?

このような残念な展開に陥らないために、どうすればよいでしょう?ここでは3つの対応を紹介します。

まずは、自分たちを取り巻く構造とストーリーに気づくことです。自分たちの状況を客観的に見ることで初めて、違ったストーリーを模索することができます。

次に、この構造を駆動させている根本的要因である「恐れ」をなくし「安心」に変えることです。つまり心理的安全性を高めることです。これは根本的な解決になりますが、一朝一夕にできることではありません。

そしてより直接的には、否定的憶測の温床である疑心暗鬼を膨らませないことです。それは互いの本意を伝え合い、理解を深め合うコミュニケーションを怠らないことです。

自分たちを客観的に見つめた上で、心理的安全性を高めながら、相互理解のコミュニケーションを怠らない、、、、良い職場づくりに近道なし、ですね。

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