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お菓子の摂取とうつの関係、研究結果

本日のm3.comに興味深い研究結果があったのでご紹介します。日本人を対象とした3年間の前向き研究で、菓子(ケーキ、クッキー、チョコレート、アイスクリームなど)の摂取が多い人はうつ状態を発症しやすいことを示す結果です。

今日の記事は3分程度で読めます

どんな論文か

福岡女子大学国際文理学部食・健康学科の南里明子氏らが、日本人の労働者911人を対象に3年間追跡した結果をまとめたもの。論文は「The British Journal of Nutrition」に、8月12日に掲載されました。

うつレベルはCES-Dというスケールを用い、60点満点の16点以上でうつ状態と判断しました。日常の菓子の摂取量から対象を3群に分けて評価したところ、153人がうつ状態と診断されており摂取量とうつ状態の発症に相関関係があった、というものです。

著者らは本研究から、菓子摂取量の多さがうつリスクと関連していることが明らかになった、と結論付けています。詳しく知りたい方は以下をどうぞ。

何故、うつのリスクが高まるのか

今回の研究だけでなく、過去にも色々な研究や調査で、甘いものと抑うつとの関係は多数報告されており、いくつかの原因が考えられています。例えば冒頭でご紹介したものとよく似た研究を行ったユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究のレポート(下に引用元を書いておきます。申し訳ありませんが、何故かnoteにリンクを貼れないようです😢)では、以下を原因として考察しています。

✔️糖分の過剰摂取は脳細胞の成長や発達に役立つタンパク質である「脳由来神経栄養因子(BDNF)」のレベルを低下させている。
✔️以前から気分の落ち込みと関連付けられてきた、体内の微小な「炎症」を促進している。
✔️食後の反応性の低血糖やインスリン反応に干渉し、ホルモンを乱し、気分を落ち込ませている
Sugar intake from sweet food and beverages, common mental disorder and depression: prospective findings from the Whitehall II study.
Anika Knüppel, Martin J. Shipley, Clare H. Llewellyn & Eric J. Brunner
Scientific Reports volume 7, Article number: 6287 (2017)

機序がはっきりと判明したとは言えませんが、糖分と抑うつは関係がある程度関係があると言えそうです。ただもちろん、それはたくさんある原因の一つであり、「それでは糖質を制限すればうつが改善するか?」という問いには、まだ明確な回答(証拠)はありません。

逆に甘い物を摂ると気分は落ち着くのでは

甘いものを摂るとセロトニンが分泌され、一時的にせよストレスを軽減する、とも言われています。すると、ここで出て来る疑問は「糖質を摂るからうつになるのか」「うつになったからストレス軽減を求め糖質を摂るのか」という、「鶏と卵」的な疑問です。

ただ、これも上記のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究のレポートによれば甘い物の摂取が増えてから、遅れて抑うつが増加していることから、糖の摂取が「結果」ではなく「原因」であると結論付けています。

また上記から、「ストレス軽減のために甘いものを摂る」のは、長期的には逆効果である可能性も考えた方が良さそうです。

まとめ

以前から甘いものの摂り過ぎが抑うつの発症に関係があるのではないか、と言われており、今回はその考えを裏付ける報告をふたつ紹介させて頂きました。

ちなみにこの研究は、調査開始時にうつ状態にある人、精神疾患の既往がある人は含まれていません。にもかかわず、福岡女子大学の研究では3年間で911人中153人(16.7%!)が新規にうつ状態と診断されているわけで、うつ状態の発症率の高さも私にはインパクトがありました。

最後までお読み頂き、有難うございます!😊

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