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献血

 彼と過ごした田舎町では献血できる場所も無かったので、実に12年ぶりに献血センターに行ってきた。引っ越すときに献血カードを廃棄してしまったので「初めてというか十数年ぶりなんですけれど」と受付をするとデータが残っていたので驚いた。

 以前書いたように、彼が亡くなってから日赤に少しだけトラウマを感じてしまっていて、56歳の私の再就職できそうな場所が看護助手・介護ばかりというジレンマもあって献血センターなら大丈夫かな?と近寄ってみたのが1つ目の理由。
 彼の月命日にやることも無いので、だったら誰かの役に立つかなと思ったのもあるし、成長期が終わって以来、40kg台の体重になった事がないのでどんな比重になっているんだか知りたかったのもある。

健康体

 献血できる人の基準がいろいろ変わっていて、血小板成分献血は54歳まで、400ml全血献血は体重50kg以上。果たして私はお役に立つのだろうかとドキドキしながら事前検査をして血液の比重をみるとぜんぜん貧血ではなかった。心電図をとってもらってからお医者さんに説明してもらったけれど、問題なし。
要するに、彼が亡くなって3ヶ月かけて私は《健康的に痩せたおばさん》になったのである。彼の声が脳裏をかすめる「○○は強いから」

「お前は強いから大丈夫だよ」

 この台詞を言われて気分がいい女性はいるのだろうか?いや、ムカつかない女性はいるのだろうか?強くならせた本人から言われてしまうのだから始末が悪い。しかも、この台詞を吐くからには、本人にその自覚がまったくないのだから、まったくもって始末が悪い。
《健康的に痩せたおばさん》という現実に少しやさぐれた気持ちになった私は、彼が私の失敗を優しい言葉でフォローしながらも少しだけ私の失敗を楽しんでいるのを隠しきれないときのみかん目。嘘をついているときのみかん目を思い起こし、スルーする。
 結局、血漿成分献血をしてきたけれど体重が少ないと取れる量も少ないんだろうな。こんなんで誰かの役にたてるのだろうか?
でもとりあえず、血液センターには行っても平気だったしカフェラテ美味しかったし、帰りに100均で光沢紙、マツキヨでお餅と乾麺を買って帰ってきた。

なんとなく喪中

 そんな気分の私はお正月らしいことは全部パスする気でいたのだが、どう考えても息子は喪中の気分ではないだろうし、追い越されて先に逝かれても困るのでしっかりお餅とお蕎麦を食べさせなければと慌てて買って来た。
 昨日作ったなんちゃんって2ショットを印刷して、少しだけ今日の私は嬉しい気持ちを思い出している。
この元写真で彼の横にいた仕事でお世話になったOさん、ほんと消しちゃってすみません。ほんと助かりました。マスクなしの笑顔の写真は貴重なんです。




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