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WTF Bikexplorers(女性・トランス・フェム自転車探検隊)の行動規範

WTF Bikexplorers

WTF Bikexplorersというコミュニティーがある。その目的は、自転車を通じた探究――アウトドアはもちろん、自分自身やお互いをよりよく知ろうとする活動も含まれる――をしているWomen(女性)、Transgender(トランスジェンダー)、Femme(フェム)、そしてノンバイナリ―の人々を支え、祝福し、つなげること。Bikexplorersはbikeとexplorersがくっついたものなので、そのくらい自転車が好きな探究者たち、という意味づけだろう。大地と精神の自転車探検隊。

Guiding Principles 

このWTF Bikexplorersが素晴らしいGuiding Principles(行動規範)を掲げているので、今回ここに引用し日本語訳を添えてみた。

1. 
Trust Intent, Acknowledge Impact:
We have to trust each other to work together, but we may hurt each other along the way. Listen when you have harmed.
1.
善意を信じ、結果は認める。
共に何かをするには互いを信頼する必要があるが、どこかで相手を傷つけてしまう可能性はある。そうしてしまった時は耳を傾ける。
2. 
Respect Indigenous Stewardship of Land:
We ride on stolen land. Learn whose land you are on.
2.
先住民の土地であることを尊重する。
私たちは盗まれた大地を走っている。そこが誰の土地かを学ばなければ。
3. 
Practice Consent:
Ask for consent before touching people or their bikes, when giving advice, and taking photos.
3.
承諾を請うことを習慣に。
誰かの身体や自転車に触れたり、誰かに何かアドバイスをしたり、誰かの写真を撮ったりする前に、相手の承諾を請う。
4. 
Honor Language an Individual Chooses for Themselves:
No policing of identities.
4.
人が自分自身のために選んだ言葉遣いを尊重する。
アイデンティティーを取り締まるようなことをしない。
5.
Don’t Assume, Let People Share, Or Ask When Appropriate:
Do not make assumptions about gender, race, ability, skill level, or knowledge.
5.
決めつけは避け、本人が教えてくれるのを待つか、適切な機会に尋ねる。
この人のジェンダーや人種、能力、技術、知識の程度はこうだ、などと決めつけない。
6.
Avoid Harmful Language:
Avoid ableist, ageist, racist and gendered language. As a group, we are bikexplorers, WTF’s, and FTW’s; individuals in this space may identify otherwise.
6.
人を害する言葉は避ける。
障害、年齢、人種、ジェンダー等の差別にあたる言葉を避ける。集団としての私たちは、自転車探検隊であり、WTFたちであり、FTW(Forever Two Wheels?)の集まりである。メンバーのそれぞれは自分のことをまた違う形で定義しているかもしれない。
7.
Do Not Shame:
We come here from a wide variety of experience levels, financial access, and opportunities. No call-outs.
7.
人の自尊心を傷つけない。
それぞれ経験も、経済状況も、機会に恵まれている度合いも違うのだから、それじゃだめだ、みたいな言動は避ける。
8.
Work Towards Collective Understanding:
No body or mind can be left behind – only moving together can we accomplish what we require.
8.
みながみなを理解できるよう協力する。
どんな身体や精神の人も置いてけぼりにはできない ― 共に進んでいくことによってのみ、私たちが必要とするものは達成できる。
9.
Recognize Wholeness:
People have inherent worth outside of productivity. As a result, we acknowledge the necessity for rest and self-love.
9.
人を全体としてみる。
生産性に関係なく、人にはそれぞれ固有の価値がある。だからこそ、私たちは休息と自分を愛することの必要性を認める。
10.
Make Space and Step Back:
Make intentional space for people of color, indigenous and trans people.
10.
スペースを空け、一歩下がる。
非白人や先住民、トランスの人が前に出られるよう、意識して場所を譲る。

このGuiding Principlesは、自転車での活動に限定されない、人が生きる上での根本的規範になっていると思う。共に(自転車に乗って)様々な探究をしながら、焦ることなく丁寧に相互理解を進め、誰もが安心できる場を作っていく。とても優れた、そして先進的なコミュニティー形成の方法論だ。

WTF Bikexplorersの具体的な活動について日本語で読めるものとしては、Sim Works USAの澤田梨絵さんによる解説(2019)、2018年の「バイクエクスプローラーズサミット」の記録がある。

この次はWTF BikexplorersによるCycling Industry Pledgeを紹介する予定。

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