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一月、丹沢山塊北麓でグラベル遊びの日

友達が誘ってくれたので、道志みち&道志川の南、丹沢山塊北麓の林道を探索に。ざっくりと「行く行く」「おけおけ」と答えていたら藤野駅に朝7時という割とガチなスケジュールになり、自転車を抱えて未明の中央線に乗った。八王子から松本行に乗り換え。左右の窓の向こうに徐々に朝焼けの空が広がっていく様子も良いものだ。隣に座った朝帰りっぽい姉さんはそんな感慨も無さそう。

藤野で友達と合流、輪行解除して南へ。道志山塊の一端を、いくつかの低い峠に分けて越えるルート。しばらく登っていないと記憶から辛さ成分が揮発して「なんかイケる気がする」ようになるのだが、ちょっと登ると現実がビシビシと身体に迸ってくる。それでもフレッシュなうちは「スタンド攻撃を受けているッ!」と叫びたくなるような時間停止状態には陥らず、なかなか爽やかでよろしい。斜度がそんなにキツくないせいもあるだろう。そんなこんなで厳道峠へ到達、銭湯のペンキ絵みたいなベタベタな富士山をバックに記念撮影など。

そこから道志みちを辿る形で西へ向かい、四里塚からまた南下。途中で吊り橋を渡ってみたり。吊り橋のところのお店で非常食/おやつとして干し柿を買った。食べなければそのまま土産になるから優秀。

しばらく舗装林道で西へトラヴァースし、道志の湯のある沢筋へ出たらそこを南へ登っていく。道中、ちらほら「停滞から前進へ」の幟が立っていて、谷間の地形もあってかどうも息苦しい気持ちになる。タラタラと前進し沢を辿っていくと、やがて的様の滝に差し掛かる。水場があるが生なので、自分は基本的にそのままでは飲まない(口をゆすいだり手を洗ったりはする)。身体に入れる水分は自転車に取り付けた水筒の中の白湯。山での予備として、ULバックパックに入れた500ミリリットルのミネラルウォーター。

滝を過ぎて少しするとグラベルが始まる。ここまでのアプローチは自分にはそこそこ大変。コンディションの分からないルートに入るには余力をなるべく多く残しておきたい。九十里を半ばとす、を先取りして考える感じ。「山に入る」時の考え方はトレーニングとは違うので、そこは忘れずにいたい。

路面はそう悪くない。フラットダートよりは荒れているが、大きな石はまれ。砂利が深いところや落葉が厚く積もっているところも殆どない。かといって退屈なわけでもなく、レパートリーがあって面白い。好き。

登り詰めていくとうっすら積雪しているところがあった。路面は締まった砂地のような感じ。雪と砂というのはちょっと新鮮。

さらに進むとゲートがあって通行止め。横浜市の水源林なんだって。

ちょっと戻って別の林道から道志みちへ下る。

こちらはなかなかに道が悪く、よい。亀裂のようになっているのは水が浸食した跡だろう。作業車両も通っていないようだ。ジムニーか何かに乗った変な人が遊んだようなタイヤ痕はあった。

洗い越しも何か所かあり、少し登り返すが基本的に緩い下り。

特にえぐれの酷かったポイントでは、止まってラインを考えた。決めた通りに行こうとしたら初手で前輪の位置がずれて失敗、戻ってやり直し。グラベルキングSKはSemi Knobタイヤなので一般的なMTBタイヤのようなサイドノブを持たず、斜面を横切ろうとしてもエッジが効かないのだ。賢明な友人は亀裂の底を通った。

里に出る手前に害獣対策のフェンス。通ったらしっかり閉じて、元あったようにチェーン等をかけよう。すぐ先の民家の爺様の情報では、名産の(というかそれくらいしか栽培できないという)クレソンを鹿やらに食べられてしまわないようにしているそうだ。

道の駅どうしに着いた時には二人とも割と疲れ気味。遅めのランチをとって、撤収ルートを考える。自分は来た道を戻るのが嫌いな性分なので、富士急行の駅から輪行するプランを提案。四里塚から都留市方面に抜ける県道がある。暗くなる前に道志山塊を越えておくことを考えると、これがほぼ唯一の選択肢であった。再始動して入った道は斜度こそ緩やかだったものの、景色がループしていると錯覚するような(スタンド攻撃だ!)ジワジワと長い登り。脚に体重がしっかりかけられなくなっている証拠に、サドルがギシギシ鳴る。買ってすぐに発生した製品の不具合が、センサーとなって自分のコンディションをフィードバックしてくれる。ちっとも嬉しくない。

登りがずっと登りばかりであったように、道坂トンネルからの下りはひたすらに下りで、こちらも斜度は緩いながらジワジワと体温を奪っていく。朝のスタート時には手袋を二重にしていたが、ここではそんなに寒くなるとは思わず夏物のフルフィンガーのみで発車してしまった。厚手のトレッキングソックスに3シーズンのトレッキングシューズを履いていても爪先が冷える。感覚が鈍くなるといけないので、エコノミークラス症候群対策のような足指グーパーを走りながら行う。手もでたらめに握ったり力を抜いたりを繰り返す。こういう時に停車して装備を追加しないのは何でだろうね。胴体は、トンネル手前で追加したウィンドブレイカーで間に合った。脚もロングタイツにLevi'sの自転車ジーンズで問題なし。谷村町駅に到着する手前で「2℃」の気温表示があった。下ってなくても普通に寒いわ。

どんどん冷えてくることが予想されたので、駅でULダウンとレインジャケットをパックから出して着込む。友人は追加のレイヤーを持っていないようだったが、軽くとはいえ山に入るのにそれはまずいぞ、と思った。そういえば靴も底がフラットなスニーカーだ。そこはあくまで「サイクリング」よりも「ハイキング」を軸に装備を組み立てるべきだろう(食糧なども含め)。一方コースタイムの読みはピッタリで、電車に乗る頃には谷は真っ暗になっていた。冬の日中を使い切るグラベル遊び、楽しかったねー。谷から谷へ、流れたり凍ったり薄く積もったりしている水の姿を見ながら、白い息を吐いて。また行こう。

※今回の写真は全て一緒に行った「盧舌」くんが撮ってくれました。ありがとう。アクションカム欲しい。

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