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ノーザンライツ 星野道夫

「自分の人生に何かをしかけるのではなく、人生が自分に与えてくれるままに生きた人だった。でも、私は別の道をとったの。」

まただ…忘れていた呼吸を思い出し、深く深呼吸をする。数ページ進んでは繰り返すこの作業は、星野道夫作品には度々起こりうる。そのぐらい、彼の作品に登場する”言葉”のもつ魅力に何度も魅了されているのはきっと僕だけではないはずだ。

僕が呼吸を止めた言葉との出会いはかなりあるのだが、その中でもスパークが起きた言葉とそこから感じたことをシェアしていきたい。

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「人と出会い、その人間を好きになればなるほど、風景は広がりと深さをもってくる」


日本人だけとではなく、海外に住む人々との出会いも含むことで、その風景に多様さが加わっていくと思う。実際に、僕には母国と呼ぶにふさわしい国がある。ひとつは人生観を変えてくれたブータン王国。ブータン人として住み、体育教師として暮らしたこの国には、家族や親友と呼べる人がいる。それは間違いなく僕の人生に新しい風を吹き込んでくれた。もうひとつは子どもを産み、育てたタイ王国だ。ここにも家族や親友と呼べる人たちがいる。日本国外に自分という存在が認められている場があるということは、人生の選択肢を大きく広げてくれると信じている。

「誰もが、それぞれの人生の中で、何かを諦め、何かを選びとってゆくのだろう。」


もう少し寝ようか・起きていようかという小さな選択から、職業の選択まで、人生は選択の繰り返し。だからこそ、早い段階で自分がこの人生で何を突き詰めていきたいのかを知る必要があるのだろう。

「シリアが辿っていった軌跡は、彼女の類い稀な行動力、人間としての資質、そして人生を肯定してゆこうとするオプティミズムに支えられている」


人生を肯定していく、というフレーズが頭から離れない。そこには、他人とは違った人生を歩んでいる者の不安というにおいも感じながら、自らの意志で決断して生きる強さを醸し出している。

「ノスタルジアからは何も新しいものは生まれてはこない。自然も、人の暮らしも、決して同じ場所にとどまることなく、すべてのものが未来へ向かって動いている」


ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。動きあるものはすべて慣性の法則通り
、未来へ向かって少しずつ動いている。

が。

人間は、未来の自分を想像して描き、そこから逆算できる動物だ。だから、本当は過去に向かって歩いていくべきなのかもしれない。未来から流れてくるものが現在で、その現在もすぐに過去へと流れていくのだから。

「人はいつも、それぞれの光を捜し求める、長い旅の途上なのだ」


1人1人の人生があり、それは比べるものではない。生き方の可能性に満ち溢れている日本でできないという選択肢は、ない。

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