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Eyja

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小説『Eyja』をまとめています。 どのように配置したら読みやすいかは検討中です。 noteのことまだよくわかっていません。
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2020年7月の記事一覧

Eyja twins #02

Eyja twins #02

チャールズ・ベルリッツが22歳の記憶、西暦で言うと1937年。1937年の冬。アイスランドの南西沖で海底火山の噴火があった。世界大戦の合間に起こった奇跡のような出来事。チャールズ・ベルリッツはそう言っていた。そう言っているところを内側から見ていた。私はチャールズ・ベルリッツとしてそう口にしていた。当時新聞か何かで知った記憶を引っ張り出したのだ。チャールズ・ベルリッツが。私が。ウルトラブルカノ式の

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Eyja #01

Eyja #01

 誇大広告だけが生活の風景になる前の1974年、誇張だらけのオカルト本『The Bermuda Triangle』が出版され、世界的なベストセラーになった。著者とされるチャールズ・ベルリッツは謎の失踪を遂げており、死体は見つかっていない。最後の目撃者とされるフロリダの証券投資家は、明け方の海で自身のサロンクルーザーの甲板に中腰で立つ彼の姿を見た。半身だけ振り返った彼の右眼から何かが突き出ているのが

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