伊勢神宮 『三大疑問』
別の記事でもちらりと書いたが、ぼくは伊勢神宮が好きで、年に3~4回は参拝している。先週の5月7日にも参拝してきた。
だからだろう。伊勢神宮に詳しいと思われているようで、ちょくちょく知人から伊勢神宮について質問される。
特に以下の三つの質問は多い。
1:伊勢神宮で個人的な願い事は禁止なのか?
2:外宮と内宮には、詣でる順番があるのか?
3:片参りは縁起が悪いのか?
この三つの内容はネット上でもよく取りあげられており、さまざまなWEBサイトで、さまざまな見解がなされている。
せっかくなので、ぼくもその流れに乗っかって、ぼくなりの見解を記そうと思う。
1:伊勢神宮で個人的な願い事は禁止なのか?
伊勢神宮の正宮は公の願い事(国の安泰や平和)をする場であって、個人的な願い事をしてはいけない。
ちょくちょく言われていることで、ネット上でも、個人的な願い事は禁止という文言をよく見かける。
だが、これは間違っていると断言してもいい。
断言する理由はふたつある。
ひとつめは瀧祭神の存在だ。
※この章のトップ写真が瀧祭神である。
瀧祭神は内宮の境内にひっそりと鎮座する神さまで、「おとりつぎさん」とよばれて親しまれている。
正宮で参拝する前にこの瀧祭神を詣でておくと、神様に願い事を取り次いでくれる。
「烏目浩輔という者が、○○と願っております」といった具体にだ。
願い事を取り次いでくれる瀧祭神が鎮座しているというのに、願い事をしてはいけないというのはつじつまが合わない。
願い事をしても問題ない証拠だろう。
また、もうひとつの理由は伊勢神宮の公式ホームページにおける記述だ。個人的な願い事をしても構わないとしっかりと明記されている。
公式ホームページで明記されていれば、個人的な願い事も可能であることを、もはや疑う余地はない。ただし、国の安泰や平和などに感謝を述べたあと、個人的なお祈りをするのが適切とのことだ。
以上のふたつから個人的な願い事も可能だと判断できる。
では、個人的なお祈りをしてはいけないというのは、どこから発生した俗信なのだろうか。どうやら、地元の方々が広めたものらしい。
日本最高位の伊勢神宮において、個人的な願い事をするのは畏れ多い。勝手なイメージが先行してしまい、そういった噂が広まったようだ。
だが、たとえ過ちの俗信であっても、勝手なイメージであっても、ぼくはわりとその考えが好きだ。
神さまを敬っている感じするし、公とはいわば世間一般の他者のことだ。我が身のことを祈るのではなく、他者のことを祈るなんて、間違いであっても尊くて素晴らしい。
だから、ぼくはわりとその考えが好きだなのだ。
ただ、強欲を否めないぼくは、やはり個人的な願い事もするのだが。
2:外宮と内宮には、詣でる順番があるのか?
伊勢神宮は125の宮社があり、その中心とされるのが、外宮と内宮のふたつの宮社だ。
伊勢参りといえば、外宮と内宮だけを参るのが一般的で、125の宮社をすべてまわる強者はそうはいない。
外宮と内宮は4kmほど離れた位置に鎮座しているのだが、ふたつを詣でるさいには順番があり、外宮を参拝したあとに、内宮を参拝すべきだとしばしば聞く。
本当のところはどうなのか?
この答えも伊勢神宮の公式ホームページに明記されている。
それによれば、特に決まりはないそうだ。
ただし、神宮のお祭りは外宮先祭といって、まずは外宮で祭儀が取り行われて、次に内宮に移る。その祭儀の順序にならい、外宮のあとに内宮を参拝するのが、昔からの習わしではあるらしい。
つまり、正式な順番は決まっていないが、外宮の次に内宮を参るのが一般的ということだろう。
一般的ではあっても、正式な順番でなければ、内宮を参ったあとに、外宮を参ってもいいわけだ。
しかし、外宮から参っても、内宮から参っても、所要時間やその他諸々にこれといって変わりはない。
外宮から内宮の順を変える必要性はなく、習わしどおりに参拝すればいいと思う。
3:片参りは縁起が悪いのか?
外宮だけや、内宮だけなど、片方だけを参拝することを、片参りといって、縁起が悪いとされている。
この真偽を知るために公式ホームページを確認すると、片参りの記載がなかった。見逃している可能性もないとはいえないが、とりあえず見逃していないとして話を進める。
もし、記載があればコメントなどで教えてもらいたい。
公式ホームページに片参りの記載がないということは、そもそも片参りの概念が伊勢神宮にないのかもしれない。つまり、片参りの概念すら存在しないのだから、ひいては縁起が悪いなんてこともないはずだ。
また、外宮と内宮は異なる神様を祀っている。
外宮は食と産業の守り神である豊受大御神、内宮は皇室の祖神である天照大御神だ。
普通に考えれば、片参りしたとしても、それぞれの神様を参っているだけのことだ。
縁起の悪いことをしているとは思えない。
以上のふたつのことから、ぼくの個人的な意見としては、片参りをしても特に問題ないと考えている。
ただし、外宮と内宮の両宮を参っておいたほうが、より強い神徳をさずかれそうではある。
内宮に祀られているのは天照大御神だと前述したが、この神様はなによりも尊いとされる日本の最高神だ。そして、外宮の豊受大御神は食と産業の守り神であるほかに、天照大御神の食事を司る御饌都神でもある。
腹が減っては戦ができぬ、ではないが、天照大御神も空腹の状態だと、本来の力が発揮できない。つまり、豊受大御神の力がなければ、天照大御神の神力は万全ではないのだ。
片参りでも縁起が悪いということはないが、豊受大御神にも参拝しておいたほうが、より強い神徳を最高神の天照大御神から与えてもらえそうだ。
最後に
伊勢神宮の三大疑問について偉そうに語ってきたが、僕は神職にかかわっている人間ではない。伊勢神宮が好きなだけのただの一般人だ。
したがって、この記事の内容は、僕の個人的な見解にすぎない。言わずもがなだが、その見解が正しいという保証はどこにもない。
そして、最後の最後に、さらに個人的見解を述べておくと、参拝はそこそこ自由にすればいいと思う。神様を敬う気持ちがあれば、多少の作法間違いは問題ないはずだ。
神様の心は人間よりも広い。
こうでなければいけないということが、どういうわけだか伊勢参りに多いのだ。
参拝はそんな堅苦しいものではなく、もっと楽しいものであっていい。
僕はそう信じているが、あなたもそれを信じるか信じないかは、あなた次第&自己責任である。
サポートしていただけたら、祝盃をあげようと思います。と言いたいところですが、僕はお酒が飲めません。大好きな梨を大人買いしようと思います。ちなみに僕は梨を皮ごと食べます。柿も皮ごと食べます。