見出し画像

大学スポーツ発展に必要な機能

1.はじめに

先日、大学スポーツの勉強会コミュニティでざっくらばんな交流会を開催しました。その時の話が非常に示唆深かったのでnoteにまとめます。

主に以下の2点。

①日本の大学スポーツ発展に必要な機能
②アメリカの教育制度と風土・文化に紐付く、高校スポーツのガバナンスモデルと地域性

この記事では①について書きます。②について以下の記事をご覧ください。

ちなみに上記のコミュニティはMSBSというスポーツビジネススクールの修了生のうち、大学スポーツについて追求しているメンバーで構成されているコミュニティです。

現在MSBSの第5期生を募集しているようですので、スポーツビジネス関係者やスポーツビジネスの情報が欲しい方には超おすすめです。

2.大学スポーツがアメリカモデルで発展するのに必要な観点

これまでも私のnoteで言及させていますが、アメリカの大学スポーツが発展したのは「大学の発展のために大学スポーツをどうデザインするか」という視点ですべてが構成されている、というベースがあります。

アメリカの場合主体は「大学」です。大学がリーグ運営を行い、学業面も含めてリーグのルールを作り上げています。NCAAは大学同士の合意形成をするための箱、および定められたルールの執行機関として機能しています。

ですが、日本の大学スポーツの主体は「学連」であり、学連のマネジメントにもガバナンスにも大学はほとんど関与していない、という構造になっています。

今回まとめる内容もそこをベースにディスカッションを行っています。

詳細は過去noteをご覧ください。

3.日本の大学スポーツの現状

まず日本の大学スポーツの現状を見てみます。

スポーツ庁「令和2年度大学スポーツの振興に係るシンポジウム当日資料」より以下引用します。

画像1

このように、大学スポーツと大学のマネジメントが分離されている状況となっており、アメリカ型の「大学のための大学スポーツ」とは異なる場合が多いです。

ただ、日本の大学の中にも大学のマネジメントと大学スポーツを融合させ、価値の創出を図る動きがあり、そういった大学はアスレチックデパートメント(AD)を設置し、スポーツアドミニストレーター(SA)を中心に大学の戦略、地域課題、大学スポーツ資源を連携させています。

画像2
画像3

ここからが交流会の時の話になりますが、上記の課題感は参加者の間でも共有されていました。

ただ、このような組織を整備できるのは比較的余裕のある大きな大学で、その中でもSAを担うことのできる人材がいる大学、と非常に限られてしまうのではないか、という意見が出ました。

特に中規模・小規模大学はやろうと思ってもリソースが足りず、身動きが取れない状況です。

少し脱線しますが、SAに必要なスキルが非常に高度である、ということも中々各大学整備できない要因の1つになります。

SAに求められる資質

上記がUNIVASが行っているSA向け研修のテキストに記載されているSAに求められる資質や能力です。

①知識・経験
・大学の仕組み(法制度、学則、3つのポリシー、学事日程等)や経営についての知識
・大学の教育理念及び教育方法等に関する知識と教育実践の経験
・スポーツ、スポーツ科学、スポーツ施設、スポーツ産業等に関する幅広い知識と経験
・教育、研究、課外活動及び社会貢献を含む学内のスポーツ活動に係る知識と経験
・学内の運動部に係る歴史や文化、活動実態や成績等に係る詳細な知識
・会計に関する知識
・運動部学生の特性についての知識

②企画・立案力
・大学スポーツの事業開拓及びブランド力の向上等に関する企画・立案力
・社会的な課題を踏まえ、大学スポーツを通じた地域貢献活動及び地域活性化の取組を企画立案する能力
・収益力向上に向けた取組を企画立案し、資金調達を図る能力
・運動部学生への学修支援やキャリア形成支援に係る企画立案能力

③コミュニケーション・調整力
・傾聴力及び学生に寄り添える能力
・部長(教員)、指導者及び事務担当者の学内スポーツ関係者と円滑なコミュニケーションを図り調整、折衝を行う能力
・大学組織における部署間連携を図り調整を行う能力
・学外組織(自治体、地域団体など)との関係を構築し調整を図る能力
・カリキュラム整備を含めたスポーツ教育のコーディネートを行う能力

④推進・実行力
・学内外の組織との協働によって効果的に事業を展開する能力
・大学スポーツの事業開拓とブランド力の向上を推進する能力
・運動部の意識改革、新たなシステムの開発・実行等、コミュニケーションを含む総合的推進力・実行力
・スポーツボランティアの育成と普及啓発活動を指揮する能力
・大学スポーツ施設・設備等の管理・整備を行う能力

全部を完璧に1人ができる必要はないのですが、ある程度は各事項に関する知識を持った人材が1人はいないと全体をコーディネートすることができません。

私個人の経験で大学スポーツの推進に係る中で、各要素の重要性を感じております。ただ、中々上記の要素を網羅した経験のある方は少ないです。

でもいくらUNIVASが頑張っても、結局各大学にADが整備されSAが配置されないと、現場の大学スポーツが変わってきません。

4.発展に必要な機能

アメリカ型に日本の大学スポーツを発展させるためにはSAが不可欠なのですが、SAに求められる能力が高く、そのような人材を保有していない大学は中々動けていない状況です。

また、そもそもSAができる人の絶対人数も非常に少ないです。(個人的な感覚ですが、全国で20~30人いれば良い方ではないでしょうか)

そこで、「SAの機能を持った支援機関」が各大学をサポートすれば良いのでは、というアイディアがでました。

支援機関

前述のスポーツ庁のスライドを修正してイメージ図を作りました。

「支援機関」というところがADにSAを配置する、という記載でしたが、ここを支援機関が担います。

また、これは個人的な意見ですがスポーツ庁の資料では「大学課題」「地域課題」「企業課題」という記載しかなかったのですが、大学スポーツで課題解決をしよう、という方向性はもちろん大事なのですがそれよりも、

・大学スポーツで魅力的な大学、地域を作ろう。
・それを共に推進するパートナー企業と取り組もう。

というストーリーを構築することの方が重視すべきと考えていますので、ちょっとそこもスライド資料を修正しました。

この支援機関のような存在があれば各大学は取り組みやすくなると思います。

UNIVASや国、自治体の政策と連携していくと面白い展開になっていく気がしています。

5.さいごに

この支援機関を立ち上げるのも大変ですが、個人的にやってみたいなとも感じてます。色々ディスカッション大歓迎ですのでご連絡いただければ。

また、結構このモデルって大学スポーツに限らず高校や中学校の部活動のヒントになる気がしています。
教員の負担減のために部活動改革やっていこう、という流れですがどうしても予算がない、という問題に直面し上手くいかない気がしています。
このように教育・地域・スポーツ・企業を融合する調整・企画をする機能があれば持続可能な新しい部活動を構築できるのではないかと思います。

大学スポーツだけで考えると上記の支援機関の市場規模ってとても小さいですが、中学・高校まで広げるとビジネスチャンスは一気に広がるような気がして面白そうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?