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プロローグ「あなたが頑張ってきたの、知ってるよ」

この本を手にとってくださった方は
もしかしたら今何かに疲れているのかもしれない。

学校でツラいことがあったのかもしれないし、
職場で悔しいことがあったのかもしれないし、
お家で悲しいことがあったのかもしれない。

「人生って、なんでこんなに大変なんだろう」と
「生きることは苦しいことだ」と
そんなふうに感じている方は多いのだろうと思います。

そして、その原因は“自分”なんだと感じて、
自分が悪いから、自分がダメだからと、自分の至らなさを感じ
さらに苦しい想いをしているのかもしれません。

 私もずっとずっと30代までそんなふうに
人生を大変で苦しいものだと感じていたひとりでした。

私のブログ『心が楽になる魔法』では、
心が楽になるメッセージを発信しながら、
おまけで生い立ちを綴っています。

「沙織さん、あんな過去があったんですか?!」
「女性でよくここまで赤裸々に公表してますね」
といろいろな方から私の生い立ちをビックリされるのですが、
普通の方からすると、それはそれは壮絶なんだそうです。

だけど今の私は、そんな過去も自分の大切な一部として
自慢に思っていますし、心から誇りに思っています。

もう一度あの生い立ちをやってこい! 
と言われたらキッパリお断りしますし、懲り懲りですが(笑)
あの過去があったから、あの経験があったからこそ今の私があると、
心の底から今感謝に感じています。


私は今、様々な家庭環境や、いじめ・不登校などで
生きづらさを抱え悩んでいる10代の若者たちの
SNS相談を始めて今年で7年目になりますが
3年前にNPO法人を立ち上げ(2018年当時)
今はその団体の理事長として活動し
毎週渋谷でラジオのパーソナリティをさせていただいたり
全国で講演をさせていただいたり
あの頃の自分からは想像もできないような人生を送り
そして何より、今こうして本を書かせていただいています。


ずっとひとりぼっちで孤独を抱えて生きてきた私が
今は支えてくれる家族がいて、信頼しあえる仲間もいて
いつも応援してくれる方々に囲まれて毎日を過ごしています。

 今こんな恵まれた環境でいろいろなことをやらせていただけるのは
じつはすべてあの過去があったからなのです。

 もちろん当時の私は
そんなことこれっぽっちも想像していませんでしたし
今タイムマシンで10代の私に会いに行ってそれを伝えても
信じてもらえないだろうと思います。

 そんな私の人生がどれだけ酷かったかは
ブログを読んでいただくとして(笑)
今、この本を手にとってくださった方の中には
もしかしたら昔の私のように何かに疲れ
何かを諦め、人生は大変で苦労が多いものだと
そんなふうに思っている方も多いのではないかと思います。

 もしかしたら頭のどこかで
「自分は幸せにはなれないんだ」とか
「人生がこうなってるのはすべて自分が悪いからだ」とか
「もうこの先良いことなんてないんじゃないか」と諦めて
身も心も疲弊してしまっているのかもしれません。

 なかには、そこまで疲弊はしてないし
仕事も楽しく充実してやっているけれど
「このままでいいのかな?」とふと不安に襲われたり、
「何のために毎日頑張ってるんだろう?」と
自分の幸せとは何なのかがわからなくなっているかもしれません。

「家族(親・パートナー・子ども)のために
今までがむしゃらに頑張ってきたけど
これで自分の人生いいのかな?」なんて、
ふと思うこともあるかもしれません。

そんなあなたに、私がこの本を通して伝えたいことがあります。

あなたは何も悪くない、ということ。

「そんなことない、自分は未熟でまだまだだ」とか
「いやいや、そうは言っても人に迷惑ばかりかけて生きてきてるよ」
と思った方もいるかもしれないですが
この本を読んでいただいている間
私がずっとあなたに伝え続けたいこと
それが“あなたは悪くない”ということなのです。

 だって、あなたは誰よりも頑張っているはずだから。

いつもいつも頑張っているはずだから。

 友達にバカにされたり、先生に怒られても
頑張って学校に行っているのかもしれない。

学校を休んだら、親や先生にいろいろ言われて
どうしたらいいのかわからなくなっても、
それでもそんな毎日を必死に頑張っているのかもしれない。

 上司が気分屋でその機嫌に毎日振り回されていても、
文句も言わずに仕事をこなしているのかもしれない

。会社のことを考えて、お客さんのことを考えて、
誰も認めてくれなくても毎日仕事を頑張っているのかもしれない。

 家事に子育てに、自分の時間がなくても
毎日家族のためにお母さん業を頑張っているのかもしれない。

なかにはお仕事をしながら親の面倒や家族の介護をしている人も
いるかもしれない。

老いてきた身体に鞭打って
パートナーの介護をしているのかもしれない。

 そんなふうに誰も褒めてくれなくても、誰も認めてくれなくても、
毎日毎日自分に鞭打って頑張っているはずなんです。

 でも頭の中は「あれをやらなきゃ」「これもやらなきゃ」
「もっと、こうすればよかった」と
焦りにも似た思いで自分のことを追い込んでいるのだろうと思います。

 もしかしたら、やるべきことをやらないと
自分はダメな人間だと思ってしまうのかもしれない。

すべきことをしなくちゃ、誰にも認めてもらえないと
思ってしまうのかもしれない。

 だけど、もうその呪縛からあなた自身を解放してあげてほしいのです。

だって、ずっとそうやって頑張ってきたはずだし、
他の人からもずっとそうやって追い込まれてきたはずだから。

 それを文句も言わず、逃げ出すこともせず、
今日までこうして頑張っているってことに、
どうか気づいてほしいんです。


 私の元に個人セッションでご相談にいらっしゃる方の中には
「自分には価値がない」「自分には愛される価値がない」と
自分の無価値感や孤独感に苦しんでいる
大人の方も多くいらっしゃいます。

 そういう方は、自分には誇れるような才能も実績もないし
何の取り柄もないと思い込んでいます。

そして、ずっと頑張ってきていても誰にも認めてもらえず
誰も味方がいないと苦しんでいます。

 今まで知らず知らずにたくさん頑張ってきているのに
それでもまださらに頑張って何かを身に付けようとする。

自分には足りないものばかりで
その足りない何かを身につけないと価値がないと信じこんで
さらに頑張ろうとするのです。

その上、恋人やパートナーや家族や友人にもたくさん気遣いをして
「自分は相手に何かをしないと愛されない」と、
誰かに何かをしてあげることにもまた頑張ってしまう。

 いつもそんなふうに頑張っていたら
疲弊してしまうのは当然だし
人生は疲れることばかりで苦労が多くて
大変なものだと思ってしまうのも当然です。

「自分を愛そう」「自分がワクワクすることをしよう」
「自分を大切にしよう」とあちこちで言われるようになって、
それを後押ししてくれる本や情報もたくさん出ていて、
頭ではそれが大切だとわかっていても、
今までずっと自分自身を追い込んで、自分に鞭打って、
やらなきゃいけないことを必死に頑張ってきていたとしたら、
そう簡単に自分に優しくすることなんてできないし、
自分を大切にする術もわからなくて当然なんです。

 自分のことをさて置いて、周りにいる誰かに一生懸命尽くして、
自分を犠牲にしてでも他の誰かのために頑張り続けてきたのなら、
それは心が疲弊してしまうに決まっています。

身体にだって疲れや不調が出ても不思議ではないんです。

 だけど、これだけは覚えておいてくださいね。

あなたのことを好きな人は、あなたが無理してすること
頑張ってやってくれることを好きになったわけじゃない
んです。

 人に何かをしてあげないと
見捨てられるような気持ちがして落ち着かない人もいるかもしれないし
嫌われてしまうかもと恐怖心すら感じる人もいるかもしれません。

でも、あなたのことを好きな人は、あなたが頑張ることも
無理をすることも本当は望んでいません。

親が子どもに対して
ただ元気で幸せでいてくれたらいいと思うように
あなたを大切に想う人は
あなたが自分に鞭打って必死で頑張る姿ではなくて、
あなたが自分の好きなことをして、
無理のない自然体のリラックスした笑顔で
笑っていてくれることを望んでいます。

もちろん、世の中には残念なことに
自分の子どもに自分の価値観を押し付けて
無理をさせている親御さんがいるのも事実ですし、
それを愛だと勘違いしている親子がいるのも事実です。

でも本来は、親は子どもがいくつになっても、
子どもが本当に幸せで
いつも楽しそうに過ごしていてくれることを願うもの。

それは私も同じです。

自分の子どもはもちろん
家族や仲間や相談に乗っている若者たちやクライアント
そしてこの本を手にとってくれたあなたには
もう自己犠牲のない自然体の笑顔で
自分だけの人生を生きてほしいと心の底から願って、
今これを書いています。

 だって、もう今までさんざん頑張ってきたのだから。

誰にもわかってもらえないときも
ひとりで闘い続けた夜も
孤独感で押しつぶされそうな日々も
あなたはずっと頑張ってきたのだから。



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