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日本刀も錆びる

King & Princeの男性のファンの事を『オスティアラ』って言うらしいです。世の中まだまだ僕の知らない事はたくさんあるんだなって思いました。

こんにちは😃コッシーです。


さて、その起源は平安時代からと言われる日本刀は、強度と切れ味だけではなく、その妖しい美しさも相まって日本だけに留まらず海外にも多くのコレクターがおります。

その刃の輝きから美術品としても一流の存在感を持つ日本刀ですが、もちろん切れ味も相当なモノがあります。

かの有名なルパン一味の一人石川五右衛門が使う斬鉄剣は鉄をも切れると言われておりますが、実際にピストルの弾丸を真っ二つにして刃こぼれ一つ無いという強度と切れ味を持つ日本刀も世の中にはあるみたいです。

やはり日本人としてそんな日本刀のような切れ味とそして美しさを兼ね備えた人間になりたいと常日頃から思っているわけです。村正憧れる。


以前の記事で僕の介護技術が赤子レベルだと書かせていただいた事がありましたが、実は移乗に関してだけは、そこそこのレベルにありました。むしろ上手な方だったと自負しております。

数年前に全介助の男性入居者を病院に連れていった時、CTを撮るために車椅子からベッドへの移乗が必要となりました。

女性の技師さんで、移乗に苦戦をされておりましたので、僕が「やりましょうか」と一声かけ、サササッと車椅子からベッドへ移乗をしたわけです。

入居者に全く負担をかけることなく、そして自分にも負荷がかからないようなカタチでそれは完璧に移乗をしました。

その動作の美しさったら、まるで竹をキレイに一刀両断する日本刀のようで、技師さんも思わず「す、すごい…」と洩らしてしまうほどでした。

「いやそれほどでも。では。」と颯爽と造影室を出る僕の背中はきっと侍に見えたに違いありません。

幼少期からサッカーをやっていたせいか、介護研修等などでも講師の方から「あなたは体の使い方が上手ね」と褒められたりしていました。

そんな僕も責任者という立場になり、いつしか介助をしなくなっていき、今はもうほとんど介助をすることはなくなり、昔からダメダメだった介護技術はますます下降線を辿っていくばかりでした。

それでも『移乗』だけは大丈夫だと、いつでも完璧にやってやるぞという思いを持っていました。

それはまるでいざというときの為に日本刀を帯刀している武士のように、『移乗』という刀を常に腰につけている、そんな風に思っていたのです。


昨日のことです。


入居者の一人が右脇腹の強烈な痛みを訴えました。

特に転倒したわけでも強打したわけでもありません。

看護師に診てもらったところ、もしかしたら胆石かもしれないと言う事で、すぐに病院に連れていこうという事になりました。

しかし困った事に施設のリフト車が全て出はらっており、残っているのは普通車のみです。

「救急車呼びますか?」と言うスタッフを制し、「大丈夫。移乗する」と伝えました。

車を施設の入り口につけ、車椅子に乗った入居者を連れてきます。

「あとはやっておくよ」とスタッフに言い、現場に戻ってもらいました。

久しぶりに刀を抜く時がきました。日本刀のような切れ味の移乗を発揮する場面の到来です。

車椅子にロックをかけ、入居者に声掛けをして、入居者を持ち上げた瞬間でした。腰にするどい痛みが走りました。

まるで雷に打たれたかのように腰に強烈な電気が流れました。いや雷に打たれことないけどね。

あまりの痛みに意識が飛びそうでしたが、僕が倒れてしまったら入居者も共倒れです。それだけは絶対に避けなければいけません。

僕は最後の力を振り絞りました。

「うおおおおお!!!」

懸命に入居者を持ち上げ、車の後部座席に座らせることが出来ました!

それはかつて日本刀のような鋭い切れ味と言われた移乗とはほど遠い、不細工な移乗でした。唯一良かったところが入居者を無事に座らせたところくらいでした。


美しさと切れ味を兼ね備えた日本刀もきちんと手入れしないと錆びてしまうそうです。

移乗の技術もそれと同じで、日常的にやっていないと当然衰えます。

腰に鈍い痛みを覚えながら、「錆びた日本刀になってしまったか…」と思ったわけですが、そもそも僕の介護技術は赤子レベルなので、最初から日本刀ではなく、バターナイフくらいだったので、錆びても大丈夫だと思われます。

でも、移乗の際はコルセットを着用しましょう。マジで。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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