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転職って本当に難しいな

息子の運動会の日に無事お休みが取れました。今年も泣く気満々で臨みますので、10月30日は晴れることを願ってくださると幸いです。

こんにちは、コッシーです。


さて、先日うちのデイサービスを退職したスタッフが事業所を訪問してくれました。

スタッフはKさんという方で、今年の3月までデイサービスに所属しておりました。Kさんはうちのデイが開設した当初から在籍しておりまして、なんと勤続18年間デイ一筋で勤めてくれました。

3月に60歳を迎え定年となりましたが、こちらとしてはもちろん引き続き働いてもらうつもりでした。しかしKさんはうちだけではなく「外の世界を見てみたい」という希望があり、新しい環境に身を置く事を決められて3月いっぱいで定年退職されました。

Kさんは僕の介護の師匠とも呼べる人で本当に本当にお世話になった方です。その方が会社を辞めるということで当時は海よりも深く落ち込みました。

しかしノー友の皆さんから励まされたこともあり(あの時は本当にお世話になりました)、Kさんの新たな挑戦を応援しようと決心することができました。

そしてKさんの抜けた穴は残ったスタッフみんなでカバーしようと一致団結してこれまで頑張ってきました。


Kさんも新たな職場で頑張っていると聞いていました。

Kさんは以前から認知症にとても感心があり、認知症の高齢者にもっと寄り添った支援をしたいということで新しい職場に認知症特化型デイサービスを選択されました。

Kさんが転職したデイサービスの運営会社はうちの会社とは違いかなり大きい会社でデイサービスの他に介護付き有料やグループホームなどいくつか運営されています。

うちで働いていた頃とは違った大手ならではの刺激がたくさんあることでしょう。もともとスーパー介護職だったKさんですが、そういった環境の中で更なる成長をされるのではないかと期待をしていました。

そんなKさんと久しぶりにお会いしてその辺りの近況を聞けると思っていました。

しかし現実は期待とは違い厳しいモノでした。


Kさんははじめこそ前と変わらず明るい表情をされていましたが、話題が今の職場の話になると表情が曇りました。

どうやらあまり上手くいってない様子で、自分が思い描いた理想とかなりかけ離れてしまっているとのことでした。

認知症特化型デイサービスは正式には『認知症対応型通所介護』と言い、その名の通り認知症に特化したデイサービスであり、認知症の方しか利用が出来ません。

受け入れを少数にして手厚い人員で利用者を支援するデイサービスになります。

Kさんの当初の思いは、認知症の利用者一人ひとりとより深く関わり理解することでその方に本当に必要な介護をしていきたいと考えていたようでした。

ただ実際は人手不足や業務のマニュアル化により、効率の良い支援体制が組まれており、Kさんの思うような利用者に深く関わるような介護は出来ていないのが現状のようです。

意見をはっきりと言うタイプのKさんは管理者や責任者に対して自分の考えを何度も伝えました。しかし大手事業所の難しいところなのか、職員1人の意見が通る事は非常に困難で、Kさんの意見はいつまで経っても反映される様子は無いみたいでした。

誤解をしないで欲しいのが、そこの事業者は利用者を適当に支援しているわけでは決してありません。自分達の業務の枠組みの中でしっかりと利用者にサービスを提供していると思われます。

利用者や家族からクレームがあるわけではありませんし、他のスタッフから現在のやり方に対して大きな不満があるわけでもありません。

残念ながらKさんの考えと会社の考えにズレがあったという事です。

理想を持って入社したKさんでしたが、理想とは違う現場に戸惑い、現場を変えようと動いても全然変わらない現状に疲れている様子でした。


そのタイミングでこちらに訪問されたのは、もしかしてうちに戻ってきたいのかなと思いました。

個人的にはKさんが戻ってきてくれるのはとても嬉しく思います。しかし現場の事を考えるとどうしても迷ってしまいます。

今、現場はKさんというカリスマが抜けた穴をみんなでカバーして順調に運営を出来ています。その中でKさんが戻ってくるのは良い事ばかりとは言えないと思いました。

聡明なKさんですから、僕の悩む顔を見て全てを悟ってくれたんだと思います。

「全部話したらすっきりできました。まだ半年ですから、もうちょっと足掻いてみます。」

そう笑顔で言われ帰っていきました。


Kさんのことですから、自分の理想を叶えるために孤軍奮闘するに違いありません。しかし会社側の立場になって考えるとKさんの頑張りが実るのは難しいのではないかと思いました。

厳しい言い方をすると、会社としては現状を変える必然性がないため、いくら能力が高いとは言えほんの数か月前に入ったばかりの新人職員の意見には耳を傾けないと思います。

悲しいけれどこれが現実だと思います。

僕はKさんが好きだしとてもお世話になった方なのでKさんの力になってあげたいと思いますが、Kさんから意見や助けを求められたわけではありませんし、ましてや他の会社のやり方に僕が口を挟めるわけがありません。

今回の件で僕が出来ることは不甲斐ないですけど応援することしかないと思います。


Kさんは僕にとって本当にカリスマ介護職で、介護の分野でKさんに出来ない事はないくらいに思っていました。

そんなKさんでも働く環境が変わると力を発揮するのが難しくなる場合もあるのだと痛感し、本当に転職って難しいんだなと思いました。

もちろんKさんとは逆に転職して良くなるケースも多々ありますので、転職が悪いということではありません。

ただ実際に働いてみないと分からないことは多く、そして働いてみたらこんなはずではなかったと思うこともあります。

Kさんの理想が叶うように願いつつ、転職の怖さを改めて知ったKさんの訪問でした。


それではまた。

コッシー

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