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2022 J2第41節 FC町田ゼルビア戦 観戦記

 天皇杯決勝で広島にPK戦の末勝利し、初めての3大タイトルを獲得したヴァンフォーレ甲府はポポヴィッチ体制最後のホーム戦となるFC町田ゼルビアと対戦しました。

1.試合前

 天皇杯の歓喜から3日、余韻が抜けない中での試合となりました。
 町田GIONスタジアムへの行き方は様々ありますが、今回は多摩センター駅からバスに乗って行きました。バスは路線バスタイプではなく、観光バスタイプであり快適でした。また、多摩センターからのバスは無料でした。バスに乗ること20分で町田GIONスタジアムに到着しました。平日のナイターということもあってかバスには7人しか乗っていませんでした。
 私がスタジアムに着いたのはキックオフの2時間前でした。町田GIONスタジアムは山の中にあるということを利用して「天空の城」と銘打って、城をイメージさせるかのような雰囲気が作られていました。入「場」を入「城」といったり非常に徹底されていました。確かに山の中にあって、どこの駅からも等しく行きづらいので城を築くには良い所だよなとは思いますが、多摩センター駅から無料のバスで20分だったため、言われているほどアクセスも悪くないよなとも思いました。

グッズショップを「武器・防具屋」と呼ぶのは斬新すぎる

 そしてスタジアムグルメを買いました。今回買ったスタグルは上州麦豚を使った豚丼でした。濃い味付けでごはんがすすむがっつりした一品でした。豚肉も大きくジューシーで、脂がのっていておいしかったです。

上州豚丼(1000円)

 スタグルを場外で食べ、スタジアムの場内に入りました。私はメインスタンドで観戦し、その正面にはバックスタンドがありますが、改修されていて大きく、綺麗になっていました。前回来たときにはまだ改修中だったので立派なスタンドができたなと感心しました。

改修後立派になったバックスタンド

 試合開始45分くらい前になるとピッチ内アップが始まりました。町田の選手がピッチに登場した際にはバックスタンド側と町田ゴール裏側から花火が打ち上げられ、アップから盛り上がる演出がなされていました。

 この試合はナイトゲームで、この時期になると夜はかなり冷え込みますが、この日も暖かいものがほしいと思うくらい寒かったです。しかし、ヴァン君は寒い中でもパンイチで旗を振っていてタフだなと感じました。

公式発表で12.5℃の寒さの中、パンイチで旗を振るヴァンくん
君には気温という概念がないのか?
甲府のゴール裏
天皇杯よりは人数が少なかったですが、一体感があってホームのような雰囲気でした

 アップが終わり、選手入場となりました。この試合ではヴァンフォーレ甲府が天皇杯を優勝したことを祝おうということでガードオブオナーが行われました。甲府がガードオブオナーをされる瞬間を見ることができて嬉しかったし、天皇杯の影響で日程変更を余儀なくされたにもかかわらず優勝を祝ってくれた町田ゼルビアに感謝したいと思いました。また、大型ビジョンでも甲府のホームかというくらいの天皇杯優勝を祝う画像が示されました。

ガードオブオナー①
ガードオブオナー②
J2では史上初だそう

2.スタメン

 甲府は天皇杯の広島戦からGKの河田選手以外を変更し、ターンオーバーとなりました。本職はCBの大和選手が右WBに、本職はボランチの米原選手が左WBに入ったりと少し変則的になりました。また、その米原選手は加入後初出場となりました。
 一方の町田は前節から3名変更しました。古巣対戦となる太田修介選手やドゥドゥ選手がスタメンに入りました。甲府がターンオーバーをしてきたのに対し、町田は主力組で挑む格好となりました。

3.雑感

 いつものリーグ戦では甲府がボールを保持する展開となりますが、この試合では町田がボールを握る展開となりました。町田はボール保持時、CBとボランチでビルドアップを行い、両SBを高い位置に上げ、両SHとトップ下をライン間に立たせていました。太田修介選手とドゥドゥ選手が裏を狙い、ディフェンスラインを下げさせたところで長谷川アーリア選手や平戸選手がライン間で受けて起点を作るという狙いがあったと思います。実際にライン間を使われ、ダイレクトな攻撃を仕掛けられる回数が多かったですが、最後のところで合わなかったのと、甲府がゴール前でなんとか凌いでいたので大きなピンチにはなりませんでした。しかし、太田修介選手の背後への抜け出しは厄介だなと感じ、対応に手を焼いていたのかなと思いました。
 一方の甲府は、奪った後、町田のディフェンスラインが手薄になったところを狙って(特にSBの裏)速攻を仕掛けたかったですが、ディフェンスラインが下げさせられてしまっていたので、押し上げに時間がかかり、リラ選手のキープ力に頼らざるを得ない展開となりました。甲府ボールになっても、押し込まれていたのと町田の切り替えが早かったため、セカンドボールを回収され、攻め込まれる時間が長く続きました。
 前半の30分過ぎからは町田のプレスが弱まったこともあり甲府がボールを握ることができる時間が増えました。そして、前半の42分、河田選手のパントキックに反応したリラ選手がボールを収め、上がってきたイゴール選手に落とすと、強烈なシュートを放ち、ポストに当たってゴールに吸い込まれます。見事なカウンターが完結し、先制点を奪いますが、その直後、PKを与えてしまいます。しかし、キッカーの高江選手はクロスバーに当ててしまい、絶好のチャンスを逃します。天皇杯の決勝戦のPK戦で見事な活躍をした河田選手が目の前に立ち塞がっていたので、心理面での影響があったのかもしれないと思いました。

 後半も町田ペースで進みました。後半、町田は中盤の構成を高江選手がアンカー、安井選手と長谷川アーリア選手がIH気味のポジションを取る形に変えてきたように思いました。また、SBの奥山選手がハーフレーンにポジションを取り、かなり高い位置まで進入してくる場面も見られました。このように前線に人数をかけてきた町田は、前半より幅を使いながら甲府の守備陣を揺さぶりチャンスを作ろうとし、前半よりシュートの本数は増えましたが、決めきることはできませんでした。
 対する甲府は町田の右サイドをケアしようと荒木選手を投入します。すると町田は太田修介選手を右サイドに移し、初のWBで疲労が見られる大和選手のサイドを狙おうとします。すると甲府も右CBに須貝選手を入れそこをケアしようとします。この試合ではこのような選手交代による駆け引きもみられました。
 主力を次々と投入した甲府は次第にボールを握ることができるようになります。特に、両WBに須貝、荒木選手が入り、両シャドーに長谷川、鳥海選手が入り、いつもの形に近くなるとボール保持が安定したように思えました。しかし、後半40分、太田修介選手のクロスにチョンテセ選手が頭で合わせ同点に追いつかれます。終盤に追いつかれ気持ちが切れそうになる展開でしたが、この日は諦めることなく町田ゴールを脅かそうとします。そして後半50分、攻撃参加した浦上選手が浮き球を送ると松本選手がなんとか折り返し、最後はリラ選手が頭でたたき込み、勝ち越します。全員が諦めることなく勝利をつかもうとしたからこそ生まれたゴールだと思いました。試合はこのまま終了し、甲府が12試合振りの勝利を挙げました。

4.あとがき

 今季最後のアウェイ戦となった町田戦は、イゴール選手のJ初ゴールで先制したものの、終盤に同点に追いつかれこのまま引き分けかと思われたアディショナルタイム5分にウィリアン・リラ選手が勝ち越しゴールを決め、連敗を7で止め、12試合ぶりのリーグ戦での勝利をあげました。追いつかれたときはまたかと思いましたが、劇的なゴールを見ることができて興奮しましたし、天皇杯を制したときとはまた違ううれしさみたいなものを感じました。
 この試合はサブ組主体で、本来のポジションとは違うポジションで起用されている選手もいたため、いつものように主導権を握りながら試合を展開することはできませんでしたが、それでも体を張って戦っていましたし、最後のゴールは天皇杯を制した者として絶対に勝たなければならないという王者の意地やプライドがもたらした得点だったのかなと思いました。非常に寒い夜のナイターでしたが、非常に熱くなった試合でした。
 次節はホーム最終戦であり、今季最終戦でもある岩手戦です。このチームで戦える最後の一戦ですし、今季限りでの退任が発表された吉田達磨監督の下で戦う最後の一戦ともなります。2連勝して気持ちよく終わりたいです。

本日のヒーロー、ウィリアン・リラ選手と岩﨑ブルノ通訳


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