三十路インタビュー Udo: IT担当

「パソコン全般のことは彼(Udo)に聞いて、でも彼は一週間のうちに一度だけしか来ないの。しかも事務所には5時間くらいしかいないからしっかり約束しな」

実習が始まったばかりのときに私の担当者にそう言われた。少し戸惑ったが、確かに今の世の中そんな働き方は当たり前にあっていい。

このような"ITサポート"はこれからの社会では会社や団体には欠かせないし、その重要性はさらに増してくるだろう。今回のインタビューは小さな市民団体でコンピューター関係全般担当をしているおじさんに。

名前はUdoさん、人生経験豊富なダンディーなおじさんです。

※このインタビューをさせてもらったのは私の実習先Friedenskreisという団体で、この団体については、、、https://note.com/kosokosolife/n/na89dbd23727d

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《 簡単に自己紹介をお願いします》

今は58歳。高校を卒業した後に旧東ドイツ国鉄で勉強をしながら交通エンジニアとして働いた。そして駅の裏方で働いていた。仕事内容としては駅付近の大型バスについての技術面におけるエネルギーのサポートだね。その後に東西ドイツが統一されて、統一直後は当時の嫁さんと犬のサロンをやってみたんだけど全然上手くいかず、そしてさらに職業訓練を受けて広告とか印刷のフライヤーとかの技術について学んだ。その後もいくつかの職種を試したかな。保険を売ったり、労働者専門服を売ったり、最終的にここFriedenskreisで働くことになって、合計で17年もいる。


《色んな職業を経験されていますが、どうやって仕事を選ぶ?》

大事なのは理性的に仕事を探すこと、かな。時には家族のためにお金、時には仕事に楽しさを追求するというものだったんだけど、この二つを達成できた仕事は見つからなかった。保険を売る仕事はお金は稼げたけど、楽しくなかったし、ここFriedenskreisは楽しんでやってるけどお金が。。。笑

今はここで週に10時間働くことになっている。週に一度は来るけど他は家で仕事している。自分には他にも仕事があって、違う会社のホームページをサポートを担当していて、そういう風に合計15のホームページを担当しているかな。自分はそうやっていろんなところと時給で契約しているから、ある小さな会社は週2時間で、あるホームページは月に1時間のみ働いている。



《仕事に対する動機はありますか?》

もともとはボスニア戦争の後にFriedenskreisがやっていたことをボランティアとして援助し始めた。その援助の内容としては要らなくなったコンピューターや、使い古しのコンピューターを回収して、それを組み立ててボスニアに持っていった。全部で120-130個程のパソコンを送った。 動機としてはもちろん、ここは常に『自由』や『平和』をテーマにやっていることかな。


《この仕事で気に入っていること気に入らないこと》

チームワークがあって、いい同僚に囲まれていることはとても幸せで楽しい。他にはある問題があればみんなでその問題を聞いて、意見を言って答えを導くことかな。もし新しい機器が必要になったら、どこからお金を集めるべきなのかとかなどの小さなことでも話せることかな。あとここにははっきりとした上下関係がないことかな。ボスでも同じレベルだしね、彼はそういうのを見せてはいけないけど、責任は持っている。気に入らないのは家から仕事場まで遠いからかな。週一日だけど130キロは離れて2時間もかかる。

そしてFriedenskreisはあまりお金が無いから、起きた問題は自分で答えを探さないといけないことかな。これは楽しいからポジティブでもあるかな。


《仕事を通して得た素敵な経験を教えてください》

みんなで1400km離れているボスニアに行ったことかな。冬の道中だったんだが、ある所では雪が2m近くあって周りが何も見えなかったりした。そんな思い出もあるし現地のボスニアでも素敵な経験があった。そしてここには“Friedenskreisの週“というのがあって、週末に同僚みんなで寝泊まりをする。その中で色んな年代の人と色んな意見があって、それをもとに理性的に意見や考えを交換できることも自分にとっていい経験。


《ITに関わる仕事をしている意味は?》

その意味は現在もさらに大きくなっていて、人間同士のコミュニケーションは常にコンピューターを通してのものになってきている。今は一つの会社があればコンピューターが必要となる。昔は手紙で色々と書いていたし、当時はドメインもたくさんあったし、、、Eメール用のサーバーもなければならなかったしね。

これに対して思うことは、まず素晴らしいということ。世界中の人とコミュニケーションが取れる、そして知りたいことをすぐに知れる。

良くないということは、間違った情報があり噂があり陰謀論があったりする。そしてそれぞれがコンピューターを持っていることで、長くコンピューターの前に座っていることかな。今のパートナーの子どもは基本的にずっとパソコンの前に座ってる。

自分が小さい頃は外に出て色んな選択肢や遊ぶことがあった。外に出れば体を動かすし、新鮮な空気を吸えるし、、そういう意味でもコンピューターはとても人工的な世界だと思う。昔は電車の旅の時には横の人と会話していたけど今はみんなパソコンや携帯に夢中。これは人工的な世界だし、そこでは現実が抜けていて人間社会に取って良く無いと思う。私たちは現実を生きているし人工的なものには匂いや経験や現実的なコミュニケーションがない。この世の中にはもっと素晴らしいものがたくさんある。

今は誰かに話しかけることは、彼の世界の邪魔をすることにもなるからね。それはコンピューターが現実となっているからね。

《そんな若者に一言!》

自分が何が好きで何に満足するのか、そういうことを大事にしてほしい。周りの人に対してももちろん気を向けて欲しい、まずは自分で考えて行動することがとても大事。


《これからのプラン?》

ここでは今まで通り仕事兼サポートしていきたいかな。今の10時間契約じゃなくて、もう少し仕事時間を増やして欲しい。今の仕事時間では全ての仕事をこなせない。

プライベートでは、、旅が趣味だからどんどん旅したい。そうだね、まだまだ旅がしたい。旅はとても楽しいし素敵な経験が出来る。何より好きなのは、自分が知らなかったことと出会えるから。それは好奇心だし、知らない人やものへの興味で、他の文化では人がどうやって働いているのかもなど含めて新しい文化や自然と出会える。人は好奇心を持つべきだし、好奇心がない人は人間ではない!

それだったら木ノ下でただ座っているのか!?

《あなたにとって幸せとは何ですか?》

—喜びを持つこと

—自分の子ども

—健康

—平和であること




《ベンゾウの終わりに変えて》

コンピューターがもたらしたものはなんなのか。そんなことを時々考える。

今回インタビューをさせてもらったUdoは彼の視点からその利点と不利点を語ってくれた。

携帯メールをはじめとして、このコンピューターの発展は人間関係を変化させた。(のか?) 

しかしその分、個々の情報が漏れ出した。言い方を変えれば透明性は増し、この透明性で人や情報はさらに距離は縮めた。(のか?)

彼が言っている通り、人工的な世界から外に出ればそこに自然がほぼ無限に広がっているしそこに現実がある。このバランスをしっかり忘れずやっていかねばあかん。のか?時々ネットから外れて考えていかねばならないと思う。しかしいろんな働き方が出来ているから知恵次第ではどうにか暮らしていけそうな時代なのかもしれない。


この三十路インタビューについて→https://note.mu/kosokosolife/n/n6d359d08e7e0


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